日本の住宅の省エネ基準で、夏の評価に関わる指標は主に2つです。窓などから入る日射熱を外皮全体で平均したηAC(冷房期の平均日射熱取得率)と、一次エネルギー消費量に含まれる冷房のエネルギーです。冷房を止めたときに部屋が何℃まで上がるかは、基準の対象になっていません。 フランスの新築の基準RE2020は違います。冷房を動かさずに室温を1時間ごとに計算し、快適温度を超えた量を1年分積み上げて、上限を超えた建物は不適合にします。この仕組みについて、国は2026年11月5日に報告会を開き、将来の温暖化を織り込んだ気象データへの切替、ヒートアイランドの反映、しきい値の地域別化などの見直し案を示しました。政令と省令の公布は2027年2月が目標です。 ニュージーランドも、新築住宅の過熱リスクを評価する方法を2026年末までに公表すると発表しました(具体的な指標やしきい値は、今回の発表には示されていません)。両国の資料を原文で読み、日本の基準との違いをまとめます。
① フランスのRE2020は、夏の快適性をDH(度時、°C.h)で評価する。冷房を止めた状態で室温を計算し、快適温度(夜は26℃、昼は26〜28℃)を超えた温度差を、在室時間について1年分足し合わせる。
② DHが350以下なら、計算上の不快は限られるとされる。350を超え上限(DH_max)以下なら適合だが、冷房を設置しない建物には冷房の定額分をエネルギーの計算に加える(冷房を設置する建物はその冷房のエネルギーを計算に入れる)。上限を超えると不適合。上限は戸建・集合住宅とも、基本となるカテゴリー1で1,250(条件により緩和あり)。
③ 2026年7月15日の会議で国は、実際の新築住宅のDHは地中海沿岸を除いて上限を大きく下回ること、将来気候の気象データに替えると2100年の極端な熱波のデータでDHの平均が戸建で約3.1倍になることを示した。
④ 11月5日の報告会で示した見直しの柱は4つ。気象データの更新(将来気候・ヒートアイランド・しきい値の地域別化)、日射遮蔽と天井扇の誘導、必要なときの冷房を認める、健康の指標を参考表示。新しいしきい値の数値は、今回の資料には示されていない。
⑤ 日程は、2026年11月に起草、12月に意見募集、2027年1月にコンセイユ・デタ(国務院)の審査、2027年2月に公布が目標。施行までは猶予を置くとし、日付は示していない。
⑥ ニュージーランドのMBIEは、2026年末に新築住宅の過熱リスクの評価方法を任意の手引きとして公表し、大臣・閣議の決定を条件に2027年に建築基準を改正してその方法を検証方法にする。指標やしきい値は、今回の発表には示されていない。
⑦ 日本の基準は、夏をηAC(外皮全体の平均)と冷房のエネルギーで見る。室温の上がり方そのものは評価していない。
フランスの新築の基準RE2020には、一次エネルギー消費量やCO2排出量の上限と並んで、夏の不快の累積を表す指標の上限があります。指標はDH(degrés-heures、度時)です。
計算は次の順に進みます。まず、2003年の熱波を含む、計算用に定められた夏の気象データで建物をシミュレーションし、室温(作用温度=空気温度と壁の表面温度の平均)を1時間ごとに出します。次に、在室している時間について、室温が快適温度を上回った分を足し合わせます。快適温度は、夜は26℃、昼(7時〜22時)は26〜28℃で、昼の値は直前の数日の外気温に応じて日ごとに変わります。暑い日が続くと人の体が慣れることを織り込んだ「適応型」の考え方です。快適温度を2℃上回る状態が5時間続けば10 DHで、これを1年分積み上げます。
大事なのは、冷房を止めた状態で計算することです。冷房を動かすと室温は設定温度で止まり、DHは見かけ上小さくなります。国は、DHは建物そのものの暑さへの強さを測るもので、冷房のエネルギーは一次エネルギーの指標(CepとCep,nr)で数える、と説明しています。RE2020は冷房を禁止していません。
表1|RE2020のDHの判定(住宅の現行値)
| DHの値 | 扱い |
|---|---|
| 350 °C.h以下 | 所定の計算条件では、熱波のときも快適と判断される。加算なし |
| 350超〜DH_max以下 | 適合。ただし、日射遮蔽や通風などの工夫を促すため、冷房の定額分(forfait de froid)を、一次エネルギー消費量の指標(Cep・Cep,nr)と、エネルギー消費に伴う温室効果ガス排出の指標(Icénergie)の計算に加える。冷房を設置する建物は、定額分の代わりに冷房のエネルギーを計算に入れる |
| DH_max超 | 不適合(過度の不快) |
| DH_max(戸建) | カテゴリー1:1,250/カテゴリー2:1,850 |
| DH_max(集合住宅) | カテゴリー1:1,250。H2d・H3地域で冷房を設置するカテゴリー1と、カテゴリー2は、住戸の平均面積に応じて1,400〜2,600の範囲で緩和 |
出典:Cerema「Guide RE 2020」(2026年9月版)p18・p19・p88、DHUP 2026年7月15日の会議資料 p6・p7。カテゴリー2は、暑い地域(H2d・H3)の低地にあり、冷房を設置し、騒音にさらされる(窓を開けにくい)建物です。DH_maxの値は建設・住居法典R.172-4条の附属書で定められています。H1a〜H3はフランスの8つの気候区分で、H2dとH3は地中海沿岸と内陸部です。要旨は当社の訳です。
DHとは別に、窓そのものにも決まりがあります。RE2020の省令(2021年8月4日の省令)の第24条は、一時的にしか使わない部屋を除いて、窓ごとに日射の入りやすさ(日射熱取得率に当たる facteur solaire)の上限を定めています。上限の値は、気候区分・標高・騒音・寝室か否か・方位・鉛直か水平かで変わります。日除けがあれば、いちばん広げた状態で判定します。第25条は、一時的にしか使わない部屋と、衛生・安全の規則で窓を開けられない場合を除き、同じ部屋の窓の面積の合計のうち30%以上を開けられるようにすることを求めています。いちばん低い開口の下端から、いちばん高い開口の上端までの高低差が4m以上の部屋は、10%以上です。日本のηACが外皮全体の平均なのに対し、フランスは窓1つずつに上限を置いている点が違います。
見直しのきっかけは、国の気候変動適応計画と、近年の熱波を受けた「熱波耐久計画(plan d'endurance contre les vagues de chaleur)」です。国は2026年7月15日に関係者との会議を開き、RE2020の施行後に建った建物のデータ(観測所OPEE)を示しました。要点は表2のとおりです。
表2|2026年7月15日の会議で国が示した現状のデータと将来気候の分析
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| DHの実績(OPEE) | これまでに建った住宅は、地中海沿岸を除いて上限を大きく下回る。学校も同じ傾向 |
| 冷房の申告(OPEE) | 冷房を申告した建物は戸建8%・集合住宅9%。一方、空気-空気ヒートポンプ(いわゆるエアコン)を備えた建物は戸建31%・集合住宅17%で、申告より多い |
| 天井扇(OPEE) | 天井扇のある建物は戸建2.3%・集合住宅2.8%。地中海沿岸のH3地域は戸建19.7%・集合住宅20.7%。天井扇でDHは150〜190下がる例がある |
| 将来気候に替えた場合 | DHの平均の増加は、2100年の平均的な気候で戸建+20%・集合住宅+6%、2050年の極端な熱波で戸建+52%、2100年の極端な熱波で戸建+209%・集合住宅+180%。2050年の平均的な気候は、いまのデータ(2003年の熱波)より涼しく、DHは小さくなる |
| 将来気候のデータ(TRACC) | フランス気象局が作成し、建築科学技術センター(CSTB)が確認して2025年6月に公表。RE2020の8地点、2030年・2050年・2100年の3つの時点、平均的な気候と極端な熱波(20年に1回未満)の2種類 |
出典:DHUP「CONCERTATION SUR LES TRAVAUX RELATIFS AU CONFORT D'ÉTÉ EN RE2020」(2026年7月15日)p4・p9・p10・p12〜p14・p17・p20。冷房の申告の割合はOPEEの2026年1月1日時点、天井扇は2026年7月1日時点のデータです。TRACCの3つの時点は、フランスの気温で+2℃・+2.7℃・+4℃の温暖化に当たります。資料には2050年の極端な熱波の集合住宅の値がありません。要旨は当社の訳です。
表2から読めることは2つあります。1つは、いまの上限は、多くの地域で厳しく効いていないことです。もう1つは、気象データをどれに替えるかで、同じ建物のDHが大きく変わることです。2100年の極端な熱波のデータを使えば戸建のDHは平均で約3倍になり、2050年の平均的な気候のデータなら逆に小さくなります。どの将来を設計の前提にするかが、見直しの中心の論点になりました。
2026年11月5日、国は関係者からの意見を踏まえた報告会を開き、資料(16頁)を公表しました。RE2020を見直す柱として、次の4つを挙げています。
表3|RE2020の夏の快適性の見直しの柱(2026年11月5日の報告会)
| 柱 | 示された見直し案 |
|---|---|
| I 気候のデータを更新 | ①気象データを、いまの2003年の熱波のデータから将来気候のデータ(TRACC)へ。どのデータ(時点、平均か極端か)を使うかは選定中。②気象データにヒートアイランドの度合いを3段階(ICU0=密度が低い、ICU1=市街地、ICU2=非常に密な地区)で入れる案。③新しいデータでDHは大きくなるため、しきい値を計算し直し、事業の実現性を損なわない範囲で気候区分ごとに地域別化する |
| II 日射遮蔽・通風などを促す | ①省令第24条の日射遮蔽の表を強化しつつ簡素にする。外付けブラインド・雨戸・可動ルーバー・ガラスなどから選べる点は変えない。戸建では窓の面積の81.7%に日除けがすでにある。②天井扇を後から付けられること(天井の配線と安全に吊れる下地)を仕様として求める案。引渡し時の設置は求めない。十分な天井高の確保も。③医療・高齢者施設、学校・保育施設、そして住宅で、DHの上限を見直す |
| III 必要なときの冷房を認める | ①天井扇と冷房の併用を認める(資料は、冷房のある建物でも天井扇がDHで評価されるようになったと説明)。②冷房のある建物でも窓を開ける前提を認め、夜間の換気を評価する。③住宅の非再生可能一次エネルギー消費量(Cep,nr)の上限を5〜6 kWhep/㎡・年(一次エネルギー換算のkWh)引き上げる案(OPEEで観測された冷房の消費量に基づく)。あわせて、冷房の定額分を新しい気象データとヒートアイランドに合わせて調整する |
| IV 健康への影響 | DHは不快の累積なので、補う指標として暑い夜(夜の間に体が十分に回復できない状況)、室内の最高温度、過熱の継続時間を検討。新たな義務を伴わない参考表示として1つ採る案 |
出典:DHUP「RESTITUTION DE LA CONCERTATION SUR LE CONFORT D'ÉTÉ EN RE2020」(2026年11月5日)p4〜p12。天井扇の効果の目安として、室温30℃で体感27℃(体感で2〜4℃下がる)と示されています。要旨は当社の訳です。
表3で目を引くのは、建物の暑さ対策への要求を強めつつ、必要な冷房は使えるようにするという両建ての案になっていることです。日射遮蔽で室温の上昇を抑え、天井扇で体感の暑さを和らげる工夫を促す一方、住宅のCep,nrの上限には冷房の需要を見込んだ上乗せを検討しています。当社は、「冷房を前提にするか、しないか」の二択ではなく、建物の工夫と冷房を両立させる案だと読んでいます。
もう1つは、ヒートアイランドを計算の気象データに入れる案です。同じ気候区分でも、緑の多い郊外と建て込んだ市街地では夜の気温が違います。いまの計算では市街地の建物の暑さを小さく見積もり、設計の判断を誤らせるおそれがある、と国は説明しています。
表4|見直しの日程(目安)
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年7月15日 | 関係者との最初の会議(その後、9月7日まで書面で意見を受付) |
| 2026年11月5日 | 報告会(見直しの柱の提示) |
| 2026年11月 | 政令(décret)と省令(arrêté)の起草 |
| 2026年12月 | 一般と諮問機関への意見募集 |
| 2027年1月 | コンセイユ・デタ(国務院)の審査 |
| 2027年2月 | 公布が目標。公布から適用まで、関係者が新しい要求に対応するための猶予を設ける。具体的な施行日は示されていない |
出典:DHUP 2026年11月5日の報告会資料 p13、2026年7月15日の会議資料 p2・p23。日程は、調査・協議・最終判断の結果によって変わり得る目安とされています。
まだ決まっていないことは多くあります。どの将来気候のデータを使うか、新しいしきい値の数値と地域ごとの値、ヒートアイランドの段階を建物ごとにどう決めるか、日射遮蔽の新しい表の数値は、いずれも今回の報告会の資料には示されていません。Cep,nrの5〜6 kWhep/㎡・年も「検討している引き上げ」です。国のページには、示した内容は検討の途中で、そのまま最終的な改正の内容になるとは限らない、と明記されています。「フランスが夏の基準を厳しくした」と言える段階ではありません。本記事の内容は、2026年11月6日時点で公表されている資料によるものです。
同じ方向の動きが南半球にもあります。ニュージーランドのビジネス・イノベーション・雇用省(MBIE)は2026年10月30日、「Reducing overheating in homes(住宅の過熱を減らす)」を公表しました。一年を通して暖かく、湿気が少なく、健康で快適に暮らせる住宅を目指す方針です。設計で過熱のリスクを減らすことを重視し、建築基準(Building Code)とその関連文書での過熱の扱いを段階的に強めるとしています。
表5|ニュージーランドの過熱対策の段階(MBIE、2026年10月30日)
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年末まで | 新築住宅の過熱リスクを評価・管理する技術的な方法を、任意の手引きとして公表。設計の早い段階で過熱を検討してもらうのが狙い |
| 2027年 | 大臣・閣議の決定を条件に、過熱に関する新しい適合の要件を支える建築基準の改正を行い、上記の方法を検証方法(Verification Method)にする。検証方法は任意の適合ルートだが、使った場合、建築確認機関は適合の証明として受け入れなければならない |
| 2031年の建築基準の改訂 | 関連する性能要件が建築基準全体でどう組み合わさるかを見直し、過熱をより包括的に扱う |
| 今夏(南半球の夏) | 消費者団体 Consumer NZ と組み、住まい手向けに熱のこもりを減らす方法や、換気・冷房の選び方の情報を出す |
出典:MBIE「Reducing overheating in homes」(2026年10月30日)。要旨は当社の訳です。評価方法は新築住宅を対象としていますが、過熱の指標・しきい値・気象データや、今後の適合要件の詳しい適用範囲は、この発表には示されていません。
ニュージーランドは2025年11月に断熱・省エネの規定(H1)の適合文書を改正し、住宅の簡易計算で比べる参照建物の壁のR値を2.0から1.6に下げています(当社の記事「ニュージーランドが断熱基準を改正」)。冬の断熱の要求を整理した次に、夏の過熱を評価の対象に加えようとしている、と読めます。ただし、今回の発表は方針の告知で、義務化が決まったわけではありません。2027年の建築基準の改正は大臣・閣議の決定が条件で、その適合を示す検証方法も任意のルートです。
日本の住宅の省エネ基準で、夏に関わるのはηAC(冷房期の平均日射熱取得率)と、一次エネルギー消費量に含まれる冷房のエネルギーです。ηACは、窓や屋根・外壁から入る日射熱の量を外皮全体で平均した値で、基準値は5地域で3.0、6地域で2.8、7地域で2.7、8地域で6.7(1〜4地域は基準なし)です。一次エネルギーの計算では、所定の条件を満たす通風の利用を入力すると、冷房のエネルギーが小さく評価されます(蓄熱の利用は暖房側で評価されます)。つまり日本は、暑さを「冷房に使うエネルギー」に置き換えて評価していると言えます。住宅性能表示制度の温熱環境も、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級で、室温の上がり方そのものは評価しません。
表6|夏の評価の比較(フランス・ニュージーランド・日本の住宅)
| 項目 | フランス(RE2020) | ニュージーランド | 日本(省エネ基準) |
|---|---|---|---|
| 夏の指標 | DH(冷房を止めた室温の超過の積算) | 新築住宅の過熱リスクの評価方法を2026年末に公表予定(中身は今回の発表に示されていない) | ηAC(外皮全体の日射熱取得の平均)と冷房のエネルギー |
| 室温の計算 | する(1時間ごと・1年分) | 今回の発表に記載なし | 基準の判定には使わない |
| 窓の日射 | 窓ごとに上限(第24条) | 今回の発表に記載なし | 外皮全体の平均(ηAC) |
| 気象データ | 2003年の熱波 → 将来気候(TRACC)に替える案 | 今回の発表に記載なし | 地域区分ごとに定められた外気温度・湿度・日射量などの1時間ごとのデータ |
| 位置づけ | 義務(上限超は不適合)。見直しは2027年2月公布目標 | 2026年末は任意の手引き。2027年は、大臣・閣議の決定を条件に建築基準を改正し、検証方法を整備する計画(検証方法の利用も任意) | 義務(ηACは5〜8地域) |
出典:フランスとニュージーランドは第1〜5節の出典。日本は建築物省エネ法の住宅の基準(外皮基準と一次エネルギー消費量基準)。表の整理は当社によるものです。
フランスの見直しが日本の基準に直接入ってくるわけではありません。日本で同じ仕組みの導入が公表されたことも、当社は確認していません。そのうえで、ここからは当社の実務上の考えです。
1. ηACが基準を満たしていても、暑くなりやすい部屋は個別に見る。ηACは外皮全体の平均なので、南面の窓に庇があれば、西日の当たる大きな窓が残っていても数値は通ることがあります。フランスの窓ごとの上限は、外皮全体の平均では捉えにくい部屋を確かめるうえでも参考になると当社は考えます。最上階の住戸や西向きの寝室は、外付けの日除けや窓の大きさを個別に確認しておくと安心です。
2. 通風と天井扇は、数値に表れにくくても効く。フランスの資料は、天井扇で体感温度が2〜4℃下がる目安を示し、後から付けられる下地を求める案を出しています。日本でも、天井の補強と配線は、新築時なら比較的取り入れやすい備えだと当社は考えます。
3. どんな夏を前提に設計するかを意識する。日本の計算も、地域区分ごとに定められた1年分の気象データを使います。フランスが「どの将来を設計の前提にするか」を議論しているのは、日本の設計者にとっても考えておきたい論点です。
フランスについては、省エネ性能表示(DPE)で使う電気の一次エネルギー換算係数の引き下げ(「フランスは電気の換算係数を1.7へ」)と、RE2020でライフサイクルのCO2を数える範囲(「フランスの住宅のCO2算定の範囲」)も記事にしています。テトでは、集合住宅・非住宅の省エネ計算と、BELSなどの性能評価を、図面からお引き受けしています(省エネ計算 代行/BELS・性能評価 代行)。
まだ決まっていません。2026年11月5日の報告会で国(住宅・都市計画・景観局、DHUP)が示したのは、見直しの方向性と日程です。国のページにも、示した内容は検討の途中で、そのまま最終的な改正の内容になるとは限らない、と書かれています。新しいしきい値の数値も示されていません。政令と省令の公布は2027年2月が目標とされています。
室温が快適温度を何℃、何時間上回ったかを、在室している時間について1年分足し合わせた量で、単位は℃・h(°C.h)です。例えば快適温度を2℃上回る状態が5時間続くと10 DHです。RE2020の快適温度は、夜は26℃、昼(7時〜22時)は直前の数日の外気温に応じて26〜28℃の間で変わります。冷房は止めた状態で計算します。
冷房を動かすと室温は設定温度で止まり、建物の暑さへの弱さが数字に出なくなるためです。DHは日射遮蔽・建物の熱容量・通風といった建物そのものの工夫を評価する指標とされ、冷房のエネルギーは別の指標(一次エネルギー消費量のCepとCep,nr)で数えます。RE2020は冷房を禁止していません。
現時点で義務化が決まったわけではありません。MBIEは、2026年末までに新築住宅の過熱リスクの評価方法を任意の手引きとして公表し、大臣・閣議の決定を条件に、2027年に過熱に関する新しい適合の要件を支える建築基準の改正を行うとしています。その適合を示す検証方法(Verification Method)の利用は任意ですが、使った場合は建築確認機関が適合の証明として受け入れなければなりません。指標やしきい値は、今回の発表には示されていません。
住宅では、外皮の基準のうち冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)と、一次エネルギー消費量に含まれる冷房のエネルギーで評価します。ηACは窓などから入る日射熱の量を外皮全体で平均した値で、基準値は5地域で3.0、6地域で2.8、7地域で2.7、8地域で6.7です(1〜4地域は基準なし)。冷房を止めたときに室温が何℃まで上がり、何時間続くかを直接評価する基準はありません。
当社の考えとしては、ηACが基準を満たしていても、西日の当たる窓や最上階の住戸など、室温が上がりやすい場所を個別に確認しておくことをおすすめします。フランスは窓ごとに日射の入りやすさの上限を定め、天井扇を後から付けられる下地も求める方向です。外付けの日除けや通風の経路、天井扇の下地は、計算の数値に表れにくくても、夏の住み心地を左右します。
省エネ性能表示(DPE)で2027年1月に1.9から1.7へ。建物を変えずに評価が変わる仕組み。
共用廊下や駐車場の扱いと、日本の算定ルール案との違い。
参照建物の壁のR値は2.0→1.6。それでも水準は変わらない理由。
部位別のU値、評価の枠組み、表示制度の違い。
排出量の閾値79g/kWhを超えるボイラーの設置禁止と、日本のBEIとの違い。
集合住宅・非住宅の省エネ計算を、図面からお引き受けします。
Sources — 出典・参考資料
フランス 住宅・都市計画・景観局(DGALN/DHUP)「[RE2020] Travaux sur le confort d'été : présentation et supports de restitution」(2026年10月20日掲載・11月5日更新)
DGALN/DHUP「Restitution de la concertation sur le confort d'été en RE2020」(2026年11月5日・16頁)
DGALN/DHUP「Concertation sur les travaux relatifs au confort d'été en RE2020」(2026年7月15日・23頁)
Cerema「Guide RE 2020」(2026年9月版・DHの判定とDH_maxの値、快適温度)
Légifrance「Arrêté du 4 août 2021 relatif aux exigences de performance énergétique et environnementale des constructions de bâtiments en France métropolitaine」(第24条・第25条)
ニュージーランド MBIE「Reducing overheating in homes」(2026年10月30日)
※ 資料の訳、表1〜表6の整理、第3節の「両建て」の読み方、第6節の実務上の考えは当社によるものです。フランスの見直しは検討段階で、内容は今後の協議と最終判断で変わり得ます。