住宅の省エネ計算プログラムが、2026年10月1日にVer.3.10.0からVer.3.11.0へ改定されます。変更は7項目。このうち実務に一番効くのは外皮の2件で、窓の付属部材を冷房期と暖房期で切り替えて評価できるようになることと、付録C 表1に「内付けの日射遮蔽部材(和障子を除く)」の列が新設されることです。建築研究所の変更概要には「当該変更の前後で評価結果が変わる場合があります」と明記されています。技術情報の現行版と次期更新版のPDFを直接突き合わせ、変わる場所を数値まで拾って整理しました。
① 2026年10月1日にVer.3.11.0へ。変更6件+修正1件の計7項目。② 窓の垂直面日射熱取得率が ηd,H(暖房期)と ηd,C(冷房期)に分離。③ 上下・左右に開閉できる付属部材は、暖房期を「あり/なし」から選べる(設計者判断・国交省QAで確認済)。④ 付録C 表1に「内付けの日射遮蔽部材(和障子を除く)」の9つの値が新設。もとは非住宅にあった扱いで、住宅と非住宅の統一。⑤ 仕様基準・誘導仕様基準の付属部材の扱いは変わりません。
本記事は、2026年8月24日時点で公開されていた変更概要(変更6件+修正1件の計7項目)にもとづいて書いています。その後2026年8月31日に変更概要そのものが差し替えられ、変更7件+修正2件の計9項目になりました。新しく入ったのはNo.4「ダブルスキン及びエアフローウィンドウが評価対象として追加」とNo.8「オーバーハングが傾斜する場合の記載見直し」で、旧No.4以降は番号が1つずつ繰り下がっています。本記事に書いた各項目の内容そのものは、当社が差し替え後のPDFで確認した限り変わっていません。増えた2項目については 住宅の省エネ計算にダブルスキン・エアフローウィンドウが入ります で扱っています。
2026年10月1日に Ver.3.11.0 が公開され、建築研究所の変更概要は同じファイル名のまま再び差し替わり、「評価方法の変更」8件+「上記以外の修正等」3件の計11項目になりました。新しく入ったのはNo.6「低出力モードの電気ヒーター床暖房の確認方法の参照先を、日本電気床暖房工業会の評価手順書に変更」とNo.9「標準住戸の定義の記述の見直し(評価方法の変更は伴わない)」の2項目です。この記事の番号は8月24日版のもので、No.4以降は正式版と番号が違います。正式版の11項目の番号の対応と、外皮計算の入力画面・入力シートで変わる9か所は、「住宅の省エネ計算プログラム Ver.3.11.0 が公開されました」で整理しています。
建築研究所が「2026年10月における評価方法の変更等の概要」(令和8年10月1日)を公開しています。住宅版の計算プログラムが Ver.3.10.0 から Ver.3.11.0 になり、変更が6件、それ以外の修正が1件。あわせて7項目です。
当社が2026年8月に公開したVer.3.10.0の記事では、「次の改定は2026年10月1日と考えられます」と改定履歴からの推測として書きました。その推測が一次資料で確定した、というのが今回の位置づけです。
そしてもう一つ、実務上ありがたい事実があります。Ver.3.11.0 の技術情報のPDFは、すでに公開されています。建築研究所の「次期更新版」のページに、改定が入る7章分が並んでいます。改定日を待たずに中身を読めるので、影響のある物件は今から確認できます。
いつから:2026年10月1日。Ver.3.10.0 → Ver.3.11.0。
一番効くのは:窓の付属部材(ブラインド・和障子)の評価。冷房期と暖房期で分けて扱うようになり、内付けブラインドが住宅でも評価できるようになります。
結果は動くのか:変更概要に「当該変更の前後で評価結果が変わる場合があります」と明記されています(季節切替の項目について)。
まず全体を一覧にします。「対象となる章」は変更概要が挙げている技術情報の章で、実際に次期更新版として公開されているPDFのファイル名も併記しました。版数の上がり方を見ると、どこに手が入ったかが分かります。
表1|Ver.3.10.0 → Ver.3.11.0 の変更7項目
| No. | 分類 | 内容 | 対象となる技術情報の章(次期更新版のPDF) |
|---|---|---|---|
| 1 | 全般 | 主たる居室・その他の居室・非居室の床面積について、端数の扱いを明記 | 第一章 概要と用語の定義1_261001_v12.pdf(Ver.11→12) |
| 2 | 外皮 | ガラスの仕様および付属部材の種類に応じたガラスの垂直面日射熱取得率を、住宅と非住宅で統一 | 第三章第一節 全般 3-1_261001_v21.pdf(v20→21)第三章第四節 日射熱取得率 3-4_261001_v21.pdf(v20→21) |
| 3 | 外皮 | 日射制御を目的とした付属部材を、季節(冷房期/暖房期)に応じて切り替え可能な評価方法へ変更。※前後で評価結果が変わる場合あり | 第三章第四節 日射熱取得率3-4_261001_v21.pdf |
| 4 | 暖冷房設備 | 主たる居室・その他の居室に暖房設備機器等/冷房設備を設置しない場合で、ルームエアコンを将来的に設置することが確認できる場合の考え方を追加 | 第四章第一節 全般4-1_261001_v15.pdf(v14→15) |
| 5 | 給湯設備 | JRA 4090:2025 の制定に伴い、引用規格および本文中の参照を追加。表記が変更された用語の記載を変更 | 第七章第一節 全般 7-1_261001_v31.pdf(v30→31)第七章第四節 電気ヒートポンプ給湯機 7-4_261001_v31.pdf(v30→31) |
| 6 | 自然エネ | 令和5年3月の電気事業法等の改正に伴い、「小出力発電設備」の名称変更を反映 | 第一章 概要と用語の定義 第九章第一節 太陽光発電設備 9-1_261001_v13.pdf(v12→13) |
| 7 | 給湯設備 (修正) | 給湯使用および入浴のスケジュールのうち、居住人数1人における浴槽入浴人数(生活スケジュール:休日外出)の不備を修正。※前後で評価結果は変わらない | 第七章第一節 全般7-1_261001_v31.pdf |
出典:国立研究開発法人 建築研究所「2026年10月における評価方法の変更等の概要」(令和8年10月1日)。PDFのファイル名と版数は同研究所の技術情報「次期更新版」のページで当社が確認したものです。No.1の床面積の端数処理は別の記事で詳しく扱っています。
7項目のうち、数値が動きうるのはNo.2とNo.3です。No.1の床面積は最大0.01㎡の話、No.5・No.6は用語と引用規格の整理、No.7は修正で結果は変わらないと明記されています。No.4は新しい選択肢の追加です。
ですので以下、No.3(季節切替)とNo.2(内付けの追加)を先に詳しく見ていきます。Ver.3.11.0への差し替えを見据えた計算のご相談は、省エネ計算 代行から承ります。
これまで、窓の垂直面日射熱取得率 ηd は年間を通じて1つの値でした。ブラインドを付ければ夏も冬も同じ低減率がかかる、という扱いです。
実際の暮らしを考えると、これは不自然です。夏は日射を遮りたいので下ろす、冬は日射を取り込みたいので上げる。開閉できるブラインドなら当然そう使います。Ver.3.11.0 はこの使い方を計算に反映できるようにしたものです。
技術情報 第三章第四節の式を新旧で並べると、変わり方がはっきりします。
表2|開口部の日射熱取得率の式 — 新旧対照
| 現行 Ver.20(2026.04) | 改定後 Ver.21(2026.10) | |
|---|---|---|
| 暖房期 | ηH,i = fH,i ・ ηd,i | ηH,i = fH,i ・ ηd,H,i |
| 冷房期 | ηC,i = fC,i ・ ηd,i | ηC,i = fC,i ・ ηd,C,i |
| 垂直面日射熱取得率 | ηd,i の1本立て | ηd,H,i(暖房期)と ηd,C,i(冷房期)の2本立て |
| ドア等(不透明) | ηd,i | 暖房期と冷房期で同じ値とすることが明文化 |
出典:建築研究所 技術情報(住宅版)第三章第四節「日射熱取得率」現行版 Ver.20 と次期更新版 Ver.21 の突合。fH,i・fC,i は取得日射熱補正係数で、こちらは従来から季節別です。二重窓については外気側・室内側それぞれの窓について暖房期・冷房期の値を持つ形になり、式が2本に分かれます。
そして新しく表3「日射制御を目的とする付属部材の分類と取り扱い」が設けられました。付属部材を3つに分け、冷房期と暖房期それぞれで「あり」「なし」のどちらとして扱うかを定めるものです。ここが今回の改定の核心です。
表3|日射制御を目的とする付属部材の分類と取り扱い(技術情報 第三章第四節 表3)
| 分類 | 対象とする付属部材の例 | 冷房期 | 暖房期 |
|---|---|---|---|
| 付属部材を設置しない又は評価しない | ― | なし | なし |
| 上下又は左右に開閉することで付属部材の有無が変更可能な付属部材を設置する | 外付けブラインド、内付けブラインド※ | あり | あり又はなし |
| 上記以外の付属部材を設置する | 外付けブラインド(スラット角度調整機能のみ又は固定)、内付けブラインド(スラット角度調整機能のみ又は固定)、和障子 | あり | あり |
出典:建築研究所 技術情報(住宅版)第三章第四節 Ver.21(2026年10月)表3。※脚注:当該開口部の直近内側にレール等を設置する場合、付属部材の取り扱いが「あり」には付録C 表1に示す「内付けの日射遮蔽部材(和障子を除く)」の値を、「なし」には「付属部材なし」の値を適用することができる。
読みどころは2行目の「あり又はなし」です。上下・左右に開閉できるブラインドであれば、暖房期は「付属部材なし」として評価してよい。つまり冬は日射を取り込む前提で計算できるということです。冷房期は「あり」で固定なので、夏の遮蔽は従来どおり効きます。
一方で、制約も同時に書き加えられました。第三章第四節 6.2に、開口部ごとに異なる評価方法を用いることはできるが、同一の開口部に対して暖房期と冷房期で異なる評価方法を用いることはできないという一文があります。ここでいう「評価方法」はJIS試験値を使うか付録Cの表を使うかといった値の求め方のことで、季節ごとに都合のいい求め方を混ぜることはできません。
また、同一の開口部に複数の付属部材がある場合は「いずれか1つを評価する」という従来のルールが引き続き適用されます。
もう一つの外皮の変更が、ガラスのηを使う場合の表です。技術情報 第三章第四節の付録C 表1「ガラスの垂直面日射熱取得率」に、列が1本増えます。
現行は「付属部材なし/和障子/外付けブラインド」の3列。改定後は「付属部材なし/和障子/内付けの日射遮蔽部材(和障子を除く)/外付けの日射遮蔽部材」の4列になります。
表4|付録C 表1 ガラスの垂直面日射熱取得率 ηg — 改定後 Ver.21(2026.10)
| ガラスの仕様 | 付属部材 なし | 和障子 | 内付けの日射 遮蔽部材※ | 外付けの日射 遮蔽部材 |
|---|---|---|---|---|
| Low-E三層複層/Low-E真空複層(2枚以上のガラス表面にLow-E膜) 日射取得型 | 0.54 | 0.34 | 0.41 | 0.12 |
| 同 日射遮蔽型 | 0.33 | 0.22 | 0.26 | 0.08 |
| Low-E三層複層ガラス/Low-E真空複層ガラス 日射取得型 | 0.59 | 0.37 | 0.44 | 0.14 |
| 同 日射遮蔽型 | 0.37 | 0.25 | 0.29 | 0.10 |
| 三層複層ガラス/真空複層ガラス | 0.72 | 0.38 | 0.53 | 0.18 |
| Low-E二層複層ガラス/Low-E真空ガラス 日射取得型 | 0.64 | 0.38 | 0.47 | 0.15 |
| 同 日射遮蔽型 | 0.40 | 0.26 | 0.31 | 0.11 |
| 二層複層ガラス/真空ガラス/単板ガラス2枚を組み合わせたもの | 0.79 | 0.38 | 0.57 | 0.17 |
| 単板ガラス | 0.88 | 0.38 | 0.62 | 0.19 |
出典:建築研究所 技術情報(住宅版)第三章第四節 Ver.21(2026年10月)付録C 表1。※正式な列名は「内付けの日射遮蔽部材(和障子を除く)」。網掛けの列が今回の新設分です。日射取得型/日射遮蔽型の区分は、JIS R3106の夏期の日射熱取得率が0.50以上か未満かで判断します。この ηg に、枠が木製・樹脂製なら0.72、木と金属/樹脂と金属の複合材料製・金属製なら0.8を掛けて開口部の ηd を求めます。
新旧を突き合わせて確認したポイントを3つ挙げます。
①「なし」「和障子」「外付け」の数値は変わっていません。増えたのは内付けの列だけです。ですから内付けブラインドを評価しない計画では、この表による値は従来と同じになります。
②「外付けブラインド」という列名が「外付けの日射遮蔽部材」に変わりました。名称の変更で、値は同じです。
③行が1つ統合されました。現行は「二層複層ガラス又は真空ガラス」と「単板ガラス2枚を組み合わせたもの」が別の行でしたが、値が同一(0.79/0.38/0.17)だったため1行にまとめられています。あわせて区分の見出しが「3層以上」から「3層」に変わっています。
では、なぜ内付けの列が増えたのか。変更概要の書き方は「住宅と非住宅で評価内容が統一されました」です。国土交通省のQAがこれをより具体的に説明しています。2026年10月以前の住宅の評価方法で対象としている「外付けブラインド」および「和障子」、非住宅建築物の評価方法で対象としている「内付けブラインド」が、2026年10月以降の住宅の評価方法での評価対象になります——つまり非住宅側にあった内付けブラインドを、住宅側に取り込んだという改定です。
付属部材まわりの用語が、第三章第一節「全般」の用語の定義でまとめて整理されます。地味な変更ですが、審査で言葉の意味を問われたときに効く部分です。
表5|第三章第一節 用語の定義 — 新設・改称された用語
| 扱い | 用語 | 定義(Ver.21) |
|---|---|---|
| 新設 | 内付けの日射遮蔽部材 (和障子を除く) | 窓の直近内側に設置され、金属製スラット等の可変により日射調整機能を有するブラインドをいう。 |
| 新設 | 和障子 | 和紙等を木材等の格子に貼付した障子によって窓の直近内側を覆うことのできる建具をいう。 |
| 新設 | 雨戸 | 外部からの侵入や風雨を防ぐため、金属等のパネルによって窓の直近外側を覆うことのできる戸をいう。 |
| 新設 | シャッター | 外部からの侵入や風雨を防ぐため、金属製のスラットを連結して窓の直近外側を覆うことのできる部材をいう。 |
| 改称 | 外付けブラインド → 外付けの日射遮蔽部材 | 名称の変更。付録C 表1の列名も同様に変わります。 |
出典:建築研究所 技術情報(住宅版)第三章第一節「全般」現行版 Ver.20 と次期更新版 Ver.21 の突合。和障子・雨戸・シャッターはこれまで「付属部材」の定義の中で例示されるだけでしたが、それぞれ独立した用語として定義が置かれました。
あわせて「付属部材」そのものの定義も書き換わります。ここは読み比べる価値があります。
表6|「付属部材」の定義 — 新旧対照
| 現行 Ver.20(2026.04) | 改定後 Ver.21(2026.10) | |
|---|---|---|
| 付属部材 | 和障子、外付けブラインド及びその他これらと同等以上の日射遮蔽性能を有し、開口部に建築的に取り付けられるものをいう。 | 和障子、シャッター、雨戸及びその他これらと同等以上の付加断熱性能、又は和障子、外付け又は内付けの日射遮蔽部材及びその他これらと同等以上の日射遮蔽性能を有し、開口部に平行に配置され建築的に取り付けられるものをいう。 |
出典:同上(第三章第一節 用語の定義)。改定後は「付加断熱性能を有するもの(和障子・シャッター・雨戸)」と「日射遮蔽性能を有するもの(和障子・外付け/内付けの日射遮蔽部材)」の2系統に整理され、「開口部に平行に配置され」という要件が加わっています。なお変更概要は季節切替の項目について「評価対象となる付属部材は、従前と定義の変更はありません」としており、内付けの追加は上の表1のNo.2(住宅と非住宅の統一)に位置づけられています。
2026年8月19日、国土交通省が「26年10月変更予定の、日射制御を目的とした付属部材の季節(冷房期/暖房期)に応じて切り替え可能な評価方法に関するQA」を公開しました。A4で1枚、5問だけですが、実務で必ず引っかかる点をきれいに拾っています。要点だけ整理します。
Q1 付属部材の定義/ブラインドシャッターの扱い
2026年10月以前に外付けブラインドとして評価可能な付属部材であれば、10月以降も「外付けの日射遮蔽部材」として評価可能(従前と定義の変更はない)。個別製品は各審査機関へ。
Q2 外付けロールスクリーン・防犯用シャッターは日射遮蔽部材として使えるか
評価対象になるのは、従来の住宅の「外付けブラインド」「和障子」と、非住宅の「内付けブラインド」。レール等が設置されていれば設置されるものとみなして評価できる非住宅の扱いも、住宅に入る。個別製品は各審査機関へ。
Q3 1つの開口部に外付けブラインドと和障子が併設されている場合
「いずれか1つを評価する」、または表3の一番上の分類として「いずれも評価しない」。
Q4 暖房期の「あり又はなし」は設計者判断で選んでよいか
「ご認識の通りです」。ただし「上下又は左右に開閉することで付属部材の有無が変更可能な付属部材を設置する」場合に限る。
Q5 仕様基準・誘導仕様基準にも適用されるか
仕様基準・誘導仕様基準における付属部材の取り扱いは、これまで同様。
実務で一番大きいのはQ4とQ5です。Q4は「冬はブラインドを上げる前提で計算していい」ことの裏づけになります。Q5は逆で、仕様基準ルートで計算している物件には今回の季節切替は効かないということです。性能基準(計算ルート)と仕様基準を混同しないよう注意してください。
外皮以外の4項目を簡単に押さえます。
No.4 ルームエアコンを将来設置する場合(第四章第一節)
現行でも、主たる居室・その他の居室に暖冷房設備を設置しない場合は、地域区分に応じた機器を想定して評価します(1・2地域はパネルラジエーター+石油従来型温水暖房機、3・4地域はFF暖房機、5〜7地域はルームエアコン区分(ろ))。今回、これに但し書きが加わりました。ルームエアコンを将来的に設置することが確認できる場合は、ルームエアコン(エネルギー消費効率の区分は「区分を確認しない場合に適用される区分」)として評価できる——ただし条件があります。そう算定した設計一次エネルギー消費量が、上記の想定による値を上回る場合に限り、です。
つまりこれは有利側に振るための選択肢ではありません。実際に設置される機器を素直に申告したいときに、不利側であれば選べる、という整理です。なお「将来的に設置することが確認できる」とは何をもって確認するのか、第四章第一節の本文には書かれていません。適用を考える場合は提出先に確認が必要です。
No.5 JRA 4090:2025 の追加(第七章第一節・第四節)
家庭用ヒートポンプ給湯機の性能仕様の測定方法として、従来のJRAIA試験方法にJRA 4090が規定する方法が並記されました。用語の表記もあわせて整理されており、「実働効率比」→「実動効率比」、「貯湯損失熱量」→「貯湯熱損失量」、回帰式の傾きの単位が「kW/℃」→「kW/K」、「試験時の等価貯湯温度」→「試験時の冬期給湯保温モード条件における等価貯湯温度」といった書き換えが入ります。新旧PDFを突き合わせた限りでは数値の変更は見当たりませんでした。
No.6 「小出力発電設備」の名称変更(第一章・第九章第一節)
第九章第一節の該当箇所は、住宅用太陽光発電設備が電気事業法上の「一般用電気工作物」の「小出力発電設備」から「小規模発電設備」へと書き換わります。計算式に変更はありません。
No.7 給湯スケジュールの修正(第七章第一節)
変更概要のいう「居住人数1人における浴槽入浴人数(生活スケジュール:休日外出)の不備」を実際に探すと、表1(d)-6 の21時の1マスでした。
表7|給湯スケジュールの修正箇所(第七章第一節 表1(d)-6・居住人数1人・休日外出・21時)
| 項目 | 現行 Ver.30(2026.04) | 改定後 Ver.31(2026.10) |
|---|---|---|
| 浴槽湯はり量 Wb(浴室等がある場合) | 0 L/h | 0 L/h(変更なし) |
| 浴槽入浴人数 nb(浴室等がある場合) | 1 人/h | 0 人/h |
出典:建築研究所 技術情報(住宅版)第七章第一節 現行版 Ver.30 と次期更新版 Ver.31 の突合(当社が表の列位置を座標から特定して確認)。湯はり量が0なのに入浴人数が1人と記載されていた不整合が解消されたものと読めます。変更概要は「当該前後で評価結果は変わりません」としています。
2026年10月をまたぐ物件について、確認しておきたいことを整理します。
① 開閉できるブラインドを採用している物件を洗い出す
上下・左右に開閉できる外付け/内付けブラインドがある計画は、暖房期を「なし」で評価できる可能性があります。ηが上がる方向なので、暖房負荷の側で有利に働きます。効くのは南面など日射取得の大きい開口部です。
② 内付けブラインドを「使える」ようになることを設計に織り込む
これまで住宅では内付けブラインドは評価できませんでした。10月以降は付録Cの新設列が使えます。レール等の設置でも評価できる点も含め、外皮性能をあと一歩詰めたいときの手札が増えます。ただしレール等の設置が図書で確認できることが前提です。
③ 仕様基準ルートの物件は対象外と割り切る
国交省QA No.5のとおり、仕様基準・誘導仕様基準の付属部材の扱いは変わりません。
④ 提出先に「どの版で審査するか」を確認する
技術情報のどの版で審査するかについて、一律のルールを定めた公表資料は確認できていません。2026年秋をまたぐスケジュールでは、事前確認をおすすめします。床面積の端数処理(No.1)については質疑応答集で12月末までの経過措置が示されていますが、項目ごとに扱いが違います。
⑤ 次期更新版のPDFを先に読む
建築研究所の「次期更新版」のページに、7章分のPDFと改訂履歴版(_rireki)が公開されています。自社の計算で使っている章が入っているかを確認しておくと、10月に慌てません。
外皮計算・一次エネルギー消費量計算・BEIの算出を、一級建築士・省エネ適合判定員が直接担当します。付属部材の評価のように改定で扱いが変わる部分は、提出先の取扱いを確認したうえで計算方針を決めています。2026年10月をまたぐ計画のご相談も承ります。お見積り・ご相談はこちら/省エネ計算 代行のご案内
国土交通省のQA(2026年8月19日公開)のNo.4で、まさにこの点が問われています。回答は「ご認識の通りです」、つまり設計者の判断でいずれかを選んでよいとされています。ただし同じ回答に条件が付いており、技術情報 第三章第四節 表3の「上下又は左右に開閉することで付属部材の有無が変更可能な付属部材を設置する」に該当する場合に限られます。スラットの角度調整だけができるもの、固定されているもの、和障子は、暖房期も「あり」で評価することになります。
技術情報 第三章第一節の用語の定義3.6は、内付けの日射遮蔽部材(和障子を除く)を「窓の直近内側に設置され、金属製スラット等の可変により日射調整機能を有するブラインドをいう」と定めています。これは仕様基準の告示が外付けブラインドについて使っている表現と同じ組み立てです。個別の製品が該当するかどうかについては、国土交通省のQAも「個別製品に関する取り扱いについては各審査機関等にお問い合わせください」としており、一次資料から一律に判断することはできません。採用予定の製品が決まっている場合は、審査機関に先に確認しておくのが安全です。
技術情報 第三章第四節 表3の脚注に、当該開口部の直近内側にレール等を設置する場合は、付属部材の取り扱いが「あり」には付録C 表1の「内付けの日射遮蔽部材(和障子を除く)」の値を、「なし」には「付属部材なし」の値を適用することができる、と定められています。国土交通省のQA No.2は、これがもともと非住宅の評価方法にあった扱い(完了検査時に設置が確認できない場合でもレール等があれば設置されるものとみなす)を住宅にも入れたものであることを明示しています。ただしレール等の設置が図書で確認できることが前提ですので、平面詳細図や建具表への記載は必要とお考えください。
いいえ。国土交通省のQA No.5がこの点を明確にしています。回答は「仕様基準・誘導仕様基準における付属部材の取り扱いについては、これまで同様です」。今回の季節切替は性能基準(計算ルート)の話であり、仕様基準(平成28年国土交通省告示第266号)および誘導仕様基準(令和4年国土交通省告示第1106号)の付属部材の扱いは変わりません。告示の側では付属部材は「紙障子、外付けブラインド及びその他これらと同等以上の日射遮蔽性能を有し、開口部に建築的に取り付けられるもの」と定義されたままです。
技術情報 第三章第四節 6.2に「同一の開口部に対して複数の付属部材がある場合は、いずれか1つを評価する」と定められています。国土交通省のQA No.3も同じ回答で、これに加えて表3の一番上の分類にあたる「付属部材を設置しない又は評価しない」を選んでいずれも評価しないこともできる、としています。なお、同じ開口部について暖房期と冷房期で異なる評価方法を用いることはできない、という制約が第三章第四節 6.2に新しく書き加えられていますので、季節ごとに有利な部材を選び分けることはできません。
技術情報のどの版で審査するかについて、一律のルールを定めた公表資料は本稿執筆時点で確認できていません。改定日(2026年10月1日)と申請日の関係でどう扱うかは、提出先である省エネ適合性判定機関・所管行政庁の取扱いによります。スケジュールが2026年秋をまたぐ計画では、事前に確認しておくことをおすすめします。なお同じ2026年10月改定に含まれる床面積の端数処理については、質疑応答集で「2026年12月末までに申請するものはこれまでの方法でも差し支えない」という経過措置が示されています。項目ごとに扱いが違いますので、まとめて判断しないほうが安全です。
正式版で変更は11項目に。外皮計算の入力画面で変わる9か所。
メーカーが2034年度の化石エネルギーの目標を公表。電気ヒーター温水器も対象に。
2050先導型住宅推進事業 第2回。断熱等級5・一次エネ等級6が必須要件。10月19日締切。
熱効率からモード熱効率への換算と、適合の早見表。引く数字は3つ。
住棟単位登録なら計画書 第4面・第5面の様式の一部に代替可。集計プログラムの落とし穴。
2026年10月改定は7項目から9項目に。新規2項目を整理。
指定は年2,000戸から。2027年4月施行の施行令改正案。
SAP 10.3とHEMの24か月併走。版の切替の設計。
2026年4月改定で変わった9項目。今回の前の改定。
同じ2026年10月改定のNo.1。経過措置は12月末まで。
2026年12月1日 lowenergy.jp → lowenergy.mlit.go.jp。
どちらのルートで計算するかで変わること。
外皮計算の前提になる図面の作り方。
外皮計算・一次エネルギー消費量計算・BEI算出を一級建築士が直接。
垂直面日射熱取得率・付属部材・UA値・BEIなど。
Sources — 出典・参考資料
国立研究開発法人 建築研究所「2026年10月における評価方法の変更等の概要」(令和8年10月1日・全3ページ)
国土交通省「26年10月変更予定の、日射制御を目的とした付属部材の季節(冷房期/暖房期)に応じて切り替え可能な評価方法に関するQA」(2026年8月19日公開・全5問)
建築研究所 技術情報(住宅版)第三章第四節「日射熱取得率」Ver.21(2026年10月)/現行版はVer.20(2026年4月)(表3・付録C 表1・式の新旧はこの2本の突合)
建築研究所 技術情報(住宅版)第三章第一節「全般」Ver.21(2026年10月)/現行版はVer.20(用語の定義の新設・改称)
建築研究所 技術情報(住宅版)第四章第一節「全般」Ver.15(2026年10月)/現行版はVer.14(付録A.3・A.4の但し書き)
建築研究所 技術情報(住宅版)第七章第一節「全般」Ver.31(2026年10月)/同 第七章第四節「電気ヒートポンプ給湯機」Ver.31(JRA 4090の並記・用語表記・表1(d)-6の修正)
建築研究所 技術情報(住宅版)第九章第一節「太陽光発電設備」Ver.13(2026年10月)(小出力発電設備 → 小規模発電設備)
建築研究所「エネルギー消費性能の算定方法(次期更新版)」(次期更新版の章別PDFの一覧)
※本記事の新旧対照は、建築研究所が公開する現行版と次期更新版のPDFを当社が直接比較して作成したものです。表4の数値は次期更新版 付録C 表1の記載をそのまま転記しています。
※「将来的に設置することが確認できる場合」の確認方法、および技術情報のどの版で審査するかについては、本記事の執筆時点で公表されている一次資料に定めがありません。本文中でもその旨を明示しています。
※本記事は2026年8月24日時点の公表資料に基づいています。技術情報は改定前に内容が変更されることがあるため、実際のご判断にあたっては各公表元の最新版と、計画地の所管行政庁・省エネ適合性判定機関の取扱いをご確認ください。