2026年9月11日、改正建築物省エネ法の施行に伴う関係政令が閣議決定されました。 国土交通省の報道発表の副題は「令和9年4月1日より、上位住宅トップランナー制度・先導的な省エネ技術を評価する大臣認定制度が始まります!」です。 このうち上位住宅トップランナーの指定戸数は、2026年8月の意見募集(政令案)の段階で示されていた数字と同じでした(当社の既存記事で扱っています)。 いっぽう「先導的な省エネ技術を評価する大臣認定」のほうは、制度の中身を説明した資料を当社では見つけられませんでした。 条文を開くと、その正体は新設される法第30条の2の「同等性の認定」でした。 すでに法第16条にある大臣認定と何が違うのか、何の役に立つのかを、法律案・要綱・新旧対照条文から整理します。
① 2026年9月11日に2本の政令が閣議決定され、2026年9月16日(水)に公布されました(令和8年政令第291号・第292号)。改正法のこの部分の施行は2027年4月1日(木)です。 ② 1本目は施行期日を定める政令。改正法(令和8年法律第75号)附則第1条第2号に掲げる規定の施行期日を2027年4月1日と定めます。 ③ 2本目は施行令の一部を改正する政令。中身は上位住宅トップランナーの指定戸数(2,000戸・2,000戸・2,000戸・15,000戸)を定める2か条の新設と、条番号のずれ・見出しの文言の整理だけです。 ④ 「先導的な省エネ技術を評価する大臣認定」の条文上の名前は「同等性の認定」(改正後の法第30条の2)。今回の政令には、この認定についての政令事項はありません。 ⑤ 使う場面は性能向上計画認定(法第29条第1項)の申請をしようとする場合で、対象は特殊の構造又は設備を用いるため誘導基準に適合させることが困難な建築物です。 ⑥ 効果は、性能向上計画認定の認定基準が「イ 誘導基準に適合」と「ロ 同等性の認定を受けたもの」の2本立てになること(改正後の法第30条第1項第1号)。 ⑦ そこから容積率の特例(法第35条第1項)につながります。除ける床面積の上限は延べ面積の10分の1で、今回の政令でも変わっていません(施行令第9条・従来の第7条)。 ⑧ 審査は登録建築物エネルギー消費性能評価機関の評価に基づき(法第30条の3)、手数料を国に納めます(法第30条の4)。手数料の額を定める国土交通省令は、2026年9月16日時点で当社では公布を確認できていません。 ⑨ ライフサイクルカーボン(建築物通算炭素排出量評価)と第三者認証・表示制度の本体は、今回の施行対象に入っていません。ただし認証機関の登録に関する準備行為(附則第6条)と、認証業務規程の届出に関する準備行為(附則第7条)は今回から可能になります。 ⑩ 当社は対象となる技術の範囲を示す国土交通省令・告示・解説資料を、2026年9月16日時点で確認できていません。本記事は条文と公表資料から読み取れる範囲にとどめています。
本記事は2026年9月15日、つまり閣議決定(9月11日)のあと・公布の前に公開したもので、公布日は国土交通省の報道発表資料の「3.スケジュール」の記載によっていました。 予定どおり2026年9月16日(水)に公布され、令和8年政令第291号(施行期日を定める政令)と令和8年政令第292号(施行令の一部を改正する政令)になりました(官報 令和8年9月16日 号外第206号、12頁・13頁)。 官報での正式な題名は、1本目が「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」です(本記事では以下、報道発表資料にならって「施行期日を定める政令」と略しています)。 当社が官報の条文と突き合わせた範囲では、本文に訂正を要する箇所はありませんでした。照合したのは、表2の新設2か条の戸数(2,000戸・2,000戸・2,000戸・15,000戸)と条・項の対応、条番号の繰り下げ(第6条→第7条・第7条→第9条・第8条→第10条)、見出しの「新築する」→「新築した」・「建設する」→「建設した」、第2条第2項第1号の引用の改正、そして施行期日の令和9年4月1日です。 いっぽう表2の現行の戸数(150戸・1,000戸/300戸・1,000戸)、容積率の特例の上限、登録の有効期間は、官報の該当頁に現行条文が載っていないため照合の対象外です(これらは閣議決定時の新旧対照表によっています)。 なお同等性の認定の申請手続・添付図書・手数料の額を定める国土交通省令は、当社が9月16日の官報(本紙第1791号・号外第206号)の全体目次を確認した範囲では、掲載されていません。
[参考・省エネ計算の外の話] 同じ日の官報には、建築基準法施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第284号・8頁)も掲載されています。 こちらは施行が令和8年11月1日と早く、型式適合認定の類型の追加・採光規制の対象の合理化・防火及び避難の規制の対象の合理化・用途地域における危険物の総量規制の合理化を行うものです。 採光・防火・避難の規制では「国土交通大臣が定めるもの」を規制の対象から除き、用途地域における危険物の総量規制では「国土交通大臣が定める基準に適合する」設備により貯蔵・処理される圧縮ガス及び可燃性ガスを除きます。 いずれも具体的な基準は別途の告示に委ねられています(報道発表資料も(2)〜(4)について「具体的な基準は別途告示で規定」と注記しています)。当社が9月16日の官報の全体目次と、同日掲載の国土交通省告示3件(第1153号=港湾法関係、第1154号=船舶安全法関係、第1155号=労働施策総合推進法関係)を確認した範囲では、この基準を定める告示は同日の掲載項目としては見当たりませんでした。 省エネ計算そのものには関わりませんが、同じ設計で効いてくる改正なので付記します。(2026年9月28日追記:採光・防火・避難の規制に関する告示案などが意見募集に出ました。下の追記をご覧ください)
上の追記で「具体的な基準は別途の告示に委ねられています」と書いた建築基準法施行令の改正(令和8年政令第284号)について、国土交通省が施行に伴う告示の案と、建築基準法施行規則の改正の案を、e-Govのパブリック・コメントに出しました(案の公示日 2026年9月26日、意見の受付締切 2026年10月26日 17:00)。 意見募集の概要資料によると、公布は令和8年10月末の予定、施行は令和8年11月1日(政令第284号の施行の日)です。以下はいずれも案であり、公布されるまでに変わることがあります。(2026年10月30日追記:告示・施行規則の改正が公布されました。下の追記をご覧ください)
①採光規制の対象から除く施設(令第19条第2項第4号の告示・新設)…… 老人デイサービスセンター(老人福祉法第20条の2の2)のうち、老人福祉法施行規則第1条の3の2に規定する第一号通所事業の用にのみ供するもの。施行規則の改正案では、確認申請の際に、この告示の施設に当たることを確認するのに必要な事項を明示した図書の提出を求めます。
②層間変形角の制限・防火区画の対象から除く建築物(令第109条の2の2第1項・令第112条第1項・第4項・第5項・第11項の告示・新設)…… 案文では、いずれも令第136条の2第2号ロに掲げる基準に適合する建築物のうち、令和元年国土交通省告示第194号の構造方法を用いるものが対象です。対象は次の3種類です。
・地階を除く階数が3で延べ面積500㎡以下の建築物(同告示 第四第一号の構造方法・防火地域内のものを除く)
・延べ面積50㎡以内の平家建ての附属建築物(第四第二号の構造方法。概要資料では「外壁及び軒裏が防火構造であるもの」)
・卸売市場の上屋、機械製作工場その他これらと同等以上に火災の発生のおそれが少ない用途の建築物(第四第三号の構造方法。概要資料では「主要構造部が不燃材料で造られたもの」)
地上部分の層間変形角を1/150以内とする制限(令第109条の2の2第1項)が適用されなくなるのは、2つ目と3つ目です。
面積区画(令第112条第1項・第4項)が不要になるのは、3つ目の卸売市場の上屋等です。同条第5項も3つ目が対象ですが、令第109条の3第2号の基準または1時間準耐火基準に適合するものに限ります。
竪穴区画(令第112条第11項)が不要になるのは、1つ目と3つ目です。
③構造型式認定の新設にともなう確認申請の図書…… 平成28年国土交通省告示第698号を改正し、構造耐力に係る型式(改正後の令第136条の2の11第1号イ)に適合する部分をもつ建築物では、主要構造部・天井・防火設備その他の建築物の部分に関する荷重(構造耐力上主要な部分、法第37条の指定建築材料を使用する部分、建築設備に関する荷重を除く)と、昇降機・貯水タンクその他大規模な建築設備に関する荷重を明示した図書を求めます。 あわせて施行規則では、構造型式認定を受けた型式に適合する部分をもつ建築物について、提出を省略できる図書を定める規定を新設します。また、型式部材等製造者認証の対象を追加します。全体計画認定では、所定の図書・書類の提出を求める対象に、構造型式認定を受けた建築物を追加する案です。
上の追記で触れた用途地域における危険物の総量規制の「国土交通大臣が定める基準」は、今回の2件の意見募集には含まれていません(当社が2件の概要、告示案文4本、省令案文を読んだ範囲)。同等性の認定(本記事の本題)の国土交通省令・告示の案も、この2件には含まれていません。 今回の概要・案文には建築物省エネ法や省エネ基準に関する規定は出てきませんが、確認申請の図書が変わるので付記します。
上の追記(9月28日)で案として紹介した告示・施行規則の改正のうち、次の3本が2026年10月30日の官報で公布されました。いずれも施行は令和8年11月1日(政令第284号の施行の日)です。
・国土交通省告示第1316号「採光のための窓その他の開口部を設けることを要しない衛生上支障がない建築物を定める件」(官報 本紙第1819号 3頁)…… 令第19条第2項第4号の建築物を、老人デイサービスセンター(老人福祉法第20条の2の2)のうち、老人福祉法施行規則第1条の3の2に規定する第一号通所事業の用にのみ供するものと定めています。上の①の案と同じ内容です。
・国土交通省令第85号「建築基準法施行規則の一部を改正する省令」(官報 号外第238号 69頁〜74頁)…… 確認申請の図書に、令第19条第2項第4号の児童福祉施設等に該当することの確認に必要な図書を加えるほか、令第136条の2の11第1号イに掲げる規定に適合するものであることの認定を受けた部分をもつ建築物について提出を省略できる図書、型式部材等製造者認証、全体計画認定の申請に関する規定を改正しています。
・国土交通省告示第1326号(官報 号外第238号 86頁・87頁)…… 平成12年建設省告示第1467号、確認審査等に関する指針(平成19年国土交通省告示第835号)、平成28年国土交通省告示第698号の一部改正です。第698号の改正では、令第136条の2の11第1号イに掲げる規定に適合する場合に明示する事項として、上の③の案のとおり、主要構造部・天井・防火設備その他の建築物の部分に関する荷重(構造耐力上主要な部分及び法第37条の規定により同条に規定する指定建築材料を使用する部分並びに建築設備に関する荷重を除く)と、昇降機・貯水タンクその他大規模な建築設備に関する荷重などを定めています。
いっぽう、上の②(層間変形角の制限・防火区画の対象から除く建築物)を定める告示は、当社が10月30日の官報(本紙第1819号・号外第238号・号外第239号)の全体目次と、上記3本の掲載頁を確認した範囲では見当たりませんでした。用途地域における危険物の総量規制の「国土交通大臣が定める基準」も、同じ範囲では見当たりません。 今回公布された3本の本文・改正箇所を当社が確認した範囲では、建築物省エネ法や省エネ基準を直接改正する規定は見当たりません。
2026年7月に公布された「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律」(令和8年法律第75号)について、 その一部を施行するための政令が2026年9月11日に閣議決定されました。閣議決定されたのは2本です。
表1|2026年9月11日に閣議決定された2本の政令(2026年9月16日公布)
| 政令 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 施行期日を定める政令 政令第291号 | 改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行期日を令和9年4月1日とする | 改正法 附則第1条第2号 |
| 施行令の一部を改正する政令 政令第292号 | 上位住宅トップランナーの指定基準となる戸数を定める(第6条・第8条を新設)。あわせて条番号のずれと見出しの文言を整理 | 法第22条の2第1項・第5項/法第25条の2第1項・第5項(戸数の新設)。制定文は法第21条・第24条も引用 |
2本の政令の公布日は令和8年9月16日(水)。政令第291号が定める「改正法 附則第1条第2号に掲げる規定」の施行期日と、政令第292号自身の施行日は、いずれも令和9年4月1日(木)です。国土交通省の報道発表資料(令和8年9月11日)の「3.スケジュール」に予告されていたとおりに公布され、官報 令和8年9月16日 号外第206号に政令第291号(12頁)・政令第292号(13頁)として掲載されました。
報道発表の副題は「令和9年4月1日より、上位住宅トップランナー制度・先導的な省エネ技術を評価する大臣認定制度が始まります!」。 ところが、報道発表資料の「2.政令の概要」は、(1) で「上位住宅トップランナー制度や先導的な省エネ技術を評価する大臣認定制度等に係る規定について、令和9年4月1日から施行します」と述べ、(2) で戸数を挙げています。つまり「2.政令の概要」で具体的な中身として数字が示されているのは、上位住宅トップランナーの指定戸数だけで、「先導的な省エネ技術を評価する大臣認定」については、施行期日以外に政令で定める事項が示されていません。(同資料の「1.背景」には、所管行政庁による建築物エネルギー消費性能向上計画の認定の対象に国土交通大臣の認定を受けたものを追加する制度の拡充である、という説明があります。)
理由は単純で、この大臣認定制度には、今回の政令で定めるべき事項が無いからです。 施行令の改正の中身を新旧対照条文で確認すると、新設されたのは第6条(分譲型の戸数)と第8条(請負型の戸数)の2か条だけで、 あとは従来の第6条→第7条、第7条→第9条、第8条→第10条という条番号の繰り下げと、見出しの「新築する」→「新築した」・「建設する」→「建設した」という文言整理です。 大臣認定の手続きは、政令ではなく国土交通省令に委ねられています。
表2|施行令の新旧(第5条〜第10条)
| 改正後 | 現行 | 内容 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 第5条 | 第5条 | 特定一戸建て住宅建築主等の戸数=150戸(法第21条第1項)/1,000戸(同条第2項) | 見出しのみ |
| 第6条 | (新設) | 特別特定一戸建て住宅建築主等の戸数=2,000戸(法第22条の2第1項)/2,000戸(同条第5項) | 新設 |
| 第7条 | 第6条 | 特定一戸建て住宅建設工事業者等の戸数=300戸(法第24条第1項)/1,000戸(同条第2項) | 条ズレ・見出し |
| 第8条 | (新設) | 特別特定一戸建て住宅建設工事業者等の戸数=2,000戸(法第25条の2第1項)/15,000戸(同条第5項) | 新設 |
| 第9条 | 第7条 | 容積率の特例に係る床面積=国土交通大臣が定めるもの(延べ面積の10分の1が上限) | 条ズレ |
| 第10条 | 第8条 | 登録建築物エネルギー消費性能判定機関等の登録の有効期間=5年 | 条ズレ |
新旧対照条文による。あわせて第2条第2項第1号の引用が「第7条第1項」から「第9条第1項」に改められます。容積率の特例の上限(10分の1)は、今回の政令でも変わっていません。
改正法の法律案本文を開くと、第30条の次に3か条が加えられています。第30条の2・第30条の3・第30条の4です。 このうち第30条の2の見出しは「建築物エネルギー消費性能向上計画に係る特殊の構造又は設備を用いる建築物の認定」で、 条文中で「同等性の認定」と略称が付けられています。これが報道発表のいう「先導的な省エネ技術を評価する大臣認定」の正体です。
第30条の2第1項は、おおむね次のように書かれています。
建築主は、第29条第1項の規定による認定の申請をしようとする場合において、 当該申請に係る建築物が特殊の構造又は設備を用いるため建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合させることが困難なものであるときは、 国土交通大臣に対し、当該建築物が建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合する建築物と同等以上のエネルギー消費性能を有するものである旨の認定(以下「同等性の認定」という。)を申請することができる。
ここから読み取れることを、順に押さえます。
第一に、使う場面が限定されています。単独で取れる認定ではなく、 第29条第1項の認定=性能向上計画認定の申請をしようとする場合に使うものです。 性能向上計画認定は、エネルギー消費性能の一層の向上に資する建築物の新築等について、 建築物エネルギー消費性能向上計画を作成して所管行政庁の認定を申請できる制度です。 同等性の認定は、その前段に置かれる別の手続きということになります。
第二に、要件は「特殊の構造又は設備を用いるため建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合させることが困難なもの」です。 条文には、どのような構造・設備がこれに当たるかの列挙はありません。
第三に、申請先は国土交通大臣です。性能向上計画認定そのものの申請先である所管行政庁とは別です。
第四に、条文上、申請できるのは「建築主」と書かれています。 第29条第1項の性能向上計画認定を申請できるのが「建築主等」であるのと、条文上の語が異なります。 現行の法第16条第1項も「建築主」で、そちらと語がそろえられた形です。
表3|新設される3か条の骨格
| 条 | 見出し | 内容 |
|---|---|---|
| 第30条の2 | 建築物エネルギー消費性能向上計画に係る特殊の構造又は設備を用いる建築物の認定 | 建築主は、性能向上計画認定の申請をしようとする場合で、特殊の構造又は設備を用いるため誘導基準に適合させることが困難なときに、国土交通大臣へ同等性の認定を申請できる(第1項)。申請書の様式・記載事項は国土交通省令(第2項)。大臣は同等以上と認めるときに認定できる(第3項) |
| 第30条の3 | 審査のための評価 | 大臣は、登録建築物エネルギー消費性能評価機関が行う評価に基づいて審査する(第1項)。申請者は、評価機関が作成した評価書を申請書に添えて申請する(第2項) |
| 第30条の4 | 手数料 | 申請者は、国土交通省令で定めるところにより、実費を勘案して国土交通省令で定める額の手数料を国に納める |
改正法の法律案本文(令和8年3月27日 閣議決定時の添付資料)による。第30条の2には、現行の第16条第4項にある「所管行政庁への通知」に相当する項は置かれていません。
あわせて、性能向上計画認定の認定基準そのものが書き換えられます。 現行の第30条第1項第1号は「申請建築物のエネルギー消費性能が建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合するものであること」の一本です(誘導基準の定義の括弧書きは省略しています)。改正後は次のようになります。
一 申請建築物が次のいずれかに該当するものであること。
イ そのエネルギー消費性能が建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合するものであること。(※誘導基準の定義の括弧書きは省略しています)
ロ 次条第1項に規定する同等性の認定を受けたものであること。
この「イかロか」の二段構えが、今回の改正の核心です。 同条第1項第4号(他の建築物に係る基準)も、「第1号イ又はロのいずれかに該当する」という形に改められます。
建築物省エネ法には、すでに「特殊の構造又は設備を用いる建築物の認定」という大臣認定があります(現行の法第16条〜第19条)。 名前も条文の作りもよく似ているので、実務ではどちらの話をしているのかを取り違えないことが大事になります。 いちばん大きな違いは、何と比べて「同等以上」と認めてもらうのかです。認定の効果と、所管行政庁への通知の有無も違います。
表4|2つの大臣認定の対照
| 現行 第16条〜第19条 | 新設 第30条の2〜第30条の4 | |
|---|---|---|
| 比べる基準 | 建築物エネルギー消費性能基準(適合義務の水準) | 建築物エネルギー消費性能誘導基準(一層の向上を誘導する水準) |
| 使う場面 | 法第10条第1項により基準に適合させなければならない建築物の建築をしようとする場合 | 法第29条第1項の性能向上計画認定の申請をしようとする場合 |
| 要件 | 特殊の構造又は設備を用いるため基準に適合させることが困難なもの | 特殊の構造又は設備を用いるため誘導基準に適合させることが困難なもの |
| 申請先 | 国土交通大臣 | 国土交通大臣 |
| 審査の方法 | 登録建築物エネルギー消費性能評価機関の評価に基づく(第17条第1項)/評価書を申請書に添付(同条第2項) | 同じ構造(第30条の3第1項・第2項) |
| 認定の効果 | 基準に適合するものとみなす(第18条第1項)。省エネ適判についても適合判定通知書の交付を受けたものとみなす(同条第2項) | 性能向上計画認定の認定基準(第30条第1項第1号ロ)を満たす。そこから容積率の特例(第35条第1項)につながる |
| 所管行政庁への通知 | あり(第16条第4項) | 条文上、これに相当する規定は置かれていません |
| 手数料 | 実費を勘案して国土交通省令で定める額(第19条) | 同じ(第30条の4) |
現行条文はe-Gov法令検索の建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号)、改正後の条文は法律案本文による。
言い換えると、第16条は「義務を満たすため」の認定、第30条の2は「上乗せの認定を取るため」の認定です。 第16条の認定を受ければ適合義務はクリアできますが、それだけでは性能向上計画認定は受けられません。 逆に、第30条の2の同等性の認定は、適合義務そのものを免れる効果をもつ規定ではありません。
評価機関の側の条文も整えられます。改正後の第53条第1項では、登録建築物エネルギー消費性能評価機関が行う業務に 「同等性の認定」に係る評価が追加されます。 さらに改正法の附則第3条で、施行の際に現に現行の第17条第1項の登録を受けている者は、 改正後の第53条第1項に規定する評価の業務を行う者として登録を受けたものとみなされます。 既存の評価機関が登録を取り直す必要はない、という整理です。
同等性の認定を受けるまでの流れは、条文から次のように読めます。 ただし各段階の様式・添付図書・手数料の額は、いずれも国土交通省令に委ねられており、本記事の時点で当社は公布を確認できていません。審査期間についての定めも確認できていません。 以下は、あくまで法律の条文の順序です。
表5|条文から読める手続きの順序
| 順 | 誰が | 何をするか | 条 |
|---|---|---|---|
| 1 | 建築主 | 登録建築物エネルギー消費性能評価機関に、当該建築物のエネルギー消費性能に関する評価を依頼する | 第30条の3第1項 |
| 2 | 評価機関 | 誘導基準への適合に関する評価書を作成する | 第30条の3第2項 |
| 3 | 建築主 | 国土交通省令で定める事項を記載した申請書に評価書を添えて、国土交通大臣に同等性の認定を申請する。あわせて手数料を国に納める | 第30条の2第2項 第30条の3第2項 第30条の4 |
| 4 | 国土交通大臣 | 評価書に基づいて審査し、誘導基準に適合する建築物と同等以上のエネルギー消費性能を有すると認めるときは、同等性の認定をすることができる | 第30条の2第3項 第30条の3第1項 |
| 5 | 建築主等 | 建築物エネルギー消費性能向上計画を作成し、所管行政庁に性能向上計画認定を申請する | 第29条第1項 |
| 6 | 所管行政庁 | 認定基準(第30条第1項各号)に適合すると認めるときは、認定をすることができる。第1号は「ロ 同等性の認定を受けたもの」で満たせるが、基本方針との適合・資金計画など他の号も満たす必要がある | 第30条第1項 |
条文の規定順から当社が整理したものです。実際の運用の順序や、評価と申請の並行可否については、国土交通省令・告示および国土交通省の解説を確認してください。
現行の第16条の認定と手続きの骨格が同じである以上、 実務としては「評価機関の評価書をどう作るか」が中心になると考えられます。 ただしこれは条文の構造からの推測であり、公式に予告されたものではありません。
同等性の認定それ自体には、適合義務をクリアするような効果はありません。 価値があるのは、その先にある性能向上計画認定です。認定を受けると、次の2つが効きます。
1つ目は容積率の特例です。法第35条第1項は、認定建築物エネルギー消費性能向上計画に係る建築物の床面積のうち、 誘導基準に適合させるための措置をとることにより通常の建築物の床面積を超えることとなる場合における政令で定める床面積を、 容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しないと定めています。 施行令(改正後の第9条)で、その床面積は国土交通大臣が定めるものとされ、 当該床面積が延べ面積の10分の1を超える場合は、延べ面積の10分の1が上限になります。
今回の改正で、この第35条第1項の要件の書き方が変わります。 現行は「建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合させるための措置」でしたが、 改正後は「第30条第1項第1号イ又はロのいずれかに適合させるための措置」になります。 つまり、同等性の認定のルート(ロ)で性能向上計画認定を受けた建築物も、容積率の特例の対象になります。 ここが、今回の改正で実際に事業の数字につながる部分です。
2つ目は省エネ適合性判定の扱いです。法第30条第8項により、 性能向上計画認定を受けたときは、省エネ適合性判定を受けなければならないものについて、 適合判定通知書の交付を受けたものとみなして建築基準法の確認の手続きが進みます (第30条第2項の申出があった場合と、法第2条第2項の条例が定められている場合を除く)。 これは現行からある効果で、今回の改正で変わるものではありません。
同等性の認定は、BELSや省エネ性能ラベルの評価を代替する制度ではありません。 条文上の効果は、性能向上計画認定の認定基準の1つ目を満たすこと、そこから先の容積率の特例につながることです。 また適合義務(法第10条第1項)の判断は、従来どおり基準側の話であって、 誘導基準側の同等性の認定で置き換えられるものではありません。 適合義務の側で特殊な構造・設備が問題になる場合は、現行の法第16条の認定が対応する条文です。
今回の施行期日政令は、大臣認定だけでなく上位住宅トップランナー制度も同じ2027年4月1日から動かします。 こちらの制度の中身は、当社の既存記事 上位住宅トップランナー制度とは|指定は年2,000戸から・2027年4月施行と施行令パブコメ で扱っています。その記事は2026年8月の意見募集(政令案)の段階で書いたものですが、そこで紹介した戸数と、今回の報道発表資料に載った戸数は同じでした。数字の確認だけ、ここに置いておきます。
表6|上位住宅トップランナーの指定基準となる戸数(改正後の施行令)
| 区分 | 住宅の種類 | 戸数 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 特別特定一戸建て住宅建築主 | 建売戸建て住宅 | 2,000戸 | 令第6条第1項 |
| 特別特定共同住宅等建築主 | 分譲マンション | 2,000戸 | 令第6条第2項 |
| 特別特定一戸建て住宅建設工事業者 | 注文戸建て住宅 | 2,000戸 | 令第8条第1項 |
| 特別特定共同住宅等建設工事業者 | 賃貸アパート | 15,000戸 | 令第8条第2項 |
いずれも「前年度に新築した」「前年度に新たに建設した」戸数。区分の日本語の対応(建売戸建て住宅・分譲マンション・注文戸建て住宅・賃貸アパート)は、国土交通省の報道発表資料の表記によります。
指定されると、中長期的な計画の提出と取組状況の報告が義務になります。ただし開始の時期がずれていて、計画は「指定を受けた日の属する年度の翌年度以降」に定期に提出(法第22条の4・第25条の4)、報告は「指定を受けた日の属する年度の翌々年度以降」に毎年度(法第22条の5・第25条の5)です。
計画の内容や取組状況が判断の基準に照らして著しく不十分と認められるときは勧告ができます。さらに勧告を受けた者が正当な理由がなくてその措置をとらなかった場合で、かつ供給する住宅のエネルギー消費性能の一層の向上を図ることが困難であると認めるときに、社会資本整備審議会の意見を聴いて、相当の期限を定めて命ずることができるという組み立てです(法第23条・第26条)。勧告に従わなければ直ちに命令、という形ではありません。
ここが、報道発表の見出しだけでは分からない部分です。 今回の政令で2027年4月1日から動くのは、改正法のうち附則第1条第2号に掲げられた規定だけで、 改正法のもう一方の柱であるライフサイクルカーボンの評価制度は入っていません。
国土交通省が報道発表に添付した改正法の要綱には、 「傍線部分は今回施行期日を定める分」という注記があります。当社が傍線の引かれている範囲を確認したところ、次のとおりでした。
表7|改正法の要綱のうち、今回施行期日が定められた部分
| 要綱の項目 | 内容 | 今回の施行 |
|---|---|---|
| 1〜6 | 題名/目的/基本理念/定義(建築物通算炭素排出量)/基本方針/国及び地方公共団体の責務 | 入っていない |
| 7 | 特別特定一戸建て住宅建築主等及び特別特定一戸建て住宅建設工事業者等に係る措置(=上位住宅トップランナー制度) | 対象 |
| 8 | 建築物エネルギー消費性能向上計画の認定制度の拡充(=同等性の認定・容積率の特例・評価機関の業務追加) | 対象 |
| 9 | 建築物通算炭素排出量評価に係る措置等(第64条の2〜第64条の9)=LCCカーボンの届出 | 入っていない |
| 10 | 建築物環境性能の認証(第64条の10〜第64条の18)=第三者認証・表示制度 | 入っていない |
| 11 | その他所要の改正 | 対象 |
| 12 | 附則(経過措置等・その他所要の改正) | 一部が対象 |
改正法要綱(報道発表の添付資料)の傍線の位置を、当社がPDFの下線の座標と本文の対応から確認したものです。項目の区切りは同資料の番号によります。
入っていない部分のうち、ライフサイクルカーボンの評価制度と第三者認証・表示制度の本体は、改正法の本則として 「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行されます(改正法附則第1条)。なお附則第1条第1号に掲げられた規定(附則第2条・第4条・第9条)は、すでに公布の日から施行されています。 公布は2026年7月ですから、遅くとも2028年7月までには施行されることになります。 LCCカーボンの届出義務の中身は、別記事 ライフサイクルカーボンの届出が義務になります|建築物通算炭素排出量評価の中身と、LCCO2の計算のしかた で条文単位に整理しています。
ただし、例外があります。附則第1条第2号には、上の7・8に対応する改正規定のほかに、次の附則の規定も掲げられていて、 これらは今回、2027年4月1日から施行されます。
表8|今回の施行に含まれる附則の規定
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 附則第3条 | 登録建築物エネルギー消費性能評価機関の登録に関する経過措置(第03節で触れたもの) |
| 附則第6条 | 登録建築物環境性能認証機関の登録に関する準備行為。第三者認証の制度本体の施行日より前でも、登録を受けようとする者は申請でき、国土交通大臣は登録・公示ができる |
| 附則第7条 | 同機関の認証業務規程の届出に関する準備行為 |
| 附則第8条 | 罰則(第71条・第72条第1号)について、今回の施行日から本則の施行日の前日までの間、第64条の9に係る部分を読み替える経過措置 |
| 附則第12条・第13条 | 登録免許税法の改正(登録建築物環境性能認証機関の登録を課税対象に追加)とその経過措置。※第12条のうち別表第一第155号の2(1)(2)の改正規定は除かれます |
改正法附則第1条第2号および各条による。第三者認証を行う機関の受け皿を先に用意しておく、という組み立てです。
最後に、2026年9月16日時点で当社が確認できていないことを明示しておきます。 ここを曖昧にしたまま設計の前提にすると危ないので、正直に並べます。
表9|2026年9月16日時点で確認できていない事項
| 項目 | どこで決まるか | 状況 |
|---|---|---|
| どのような技術が「特殊の構造又は設備」に当たるか | 条文に列挙なし。国土交通省令・告示・運用 | 未確認 |
| 申請書の様式・記載事項・添付図書 | 国土交通省令(法第30条の2第2項) | 未公布 |
| 手数料の額 | 国土交通省令(法第30条の4) | 未公布 |
| 評価機関が行う評価の方法・基準 | 国土交通省令・告示 | 未確認 |
| 容積率の特例で除ける床面積の算定方法 | 国土交通大臣が定めるもの(令第9条)。上限は延べ面積の10分の1 | 告示の改正の有無を未確認 |
「未公布」は、当社が国土交通省の公表資料を確認した範囲で、当該省令が見当たらないという意味です。
制度が動くのは2027年4月1日です。それまでに国土交通省令・告示と、通例であれば解説資料が出ることになります。 当社では、省令・告示が公表された段階でこの記事を更新します。
合同会社テトは、住宅・非住宅の省エネ計算、省エネ適合性判定、BELS、東京都の建築物環境計画書、CASBEEの各種届出を代行しています。 性能向上計画認定や低炭素建築物の認定に必要な計算と根拠資料の作成も承っています。 新しい制度がからむ案件ほど、根拠資料の作り方で審査の手戻りが決まります。 まずはお気軽にお問い合わせください。
誘導基準に適合させることが難しい特殊な構造・設備を使った建築物でも、国土交通大臣の認定を受ければ、性能向上計画認定の認定基準の1つ目を満たせるようになります。性能向上計画認定(法第29条第1項)は、所管行政庁が建築物エネルギー消費性能向上計画を認定する制度で、認定を受けると容積率の算定の基礎となる延べ面積から一定の床面積を除けるという効果があります(法第35条第1項)。これまで認定基準の1つ目は「申請建築物のエネルギー消費性能が建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合するものであること」の一本でした(誘導基準の定義の括弧書きは省略しています)。2027年4月1日からは、ここがイ(誘導基準に適合するもの)とロ(同等性の認定を受けたもの)の2本立てになります(改正後の法第30条第1項第1号)。つまり、条文の言葉でいえば「特殊の構造又は設備を用いるため建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合させることが困難なもの」であっても、大臣が「誘導基準に適合する建築物と同等以上のエネルギー消費性能を有する」と認定すれば、第1号を満たす道ができます。ただし性能向上計画認定を受けるには、第1号のほかに、計画が基本方針に照らして適切であること・資金計画が適切であることなど、第30条第1項の他の号も満たす必要があります。また条文はいずれも「認定をすることができる」という書き方で、認定が必ず行われるという規定ではありません。
比べる相手の基準が違います。現行の法第16条は「建築物エネルギー消費性能基準」(=適合義務の水準)に適合させることが困難な場合の認定で、認定を受けた建築物は基準に適合するものとみなされ(法第18条第1項)、省エネ適合性判定についても適合判定通知書の交付を受けたものとみなされます(同条第2項)。新設の法第30条の2は「建築物エネルギー消費性能誘導基準」(=より高い水準)に適合させることが困難な場合の認定で、効果は性能向上計画認定の認定基準を満たすこと(法第30条第1項第1号ロ)と、そこに続く容積率の特例です。前者は「義務を満たす」ための認定、後者は「上乗せの認定を取る」ための認定で、目的が違います。一方で、審査を登録建築物エネルギー消費性能評価機関の評価に基づいて行う点、評価書を申請書に添えて申請する点、手数料を国に納める点は、条文の構造がそろっています(本文の表4)。
条文には具体的な技術の列挙がありません。書かれているのは「特殊の構造又は設備を用いるため建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合させることが困難なもの」という要件だけです。手がかりになるのは、2026年3月27日の閣議決定(法律案)のときに国土交通省が公表した法案の概要で、そこでは「先導的な省エネ技術を用いた建築物において、大臣が個別にZEH・ZEB水準適合を認定」と説明され、先導的な省エネ技術の例として「自然換気システム」が図示され、その説明として「風向・風速、室内外の温度差等をセンサーで検知して窓を開閉し、自然通風を利用して空調エネルギーを削減」と書かれています(図中の名称と説明文は別々に書かれているものを、当社がつないで紹介しています)。ただしこれは法案の概要の図における例示であって、認定の対象として告示等で定められたものではありません。当社が確認した範囲では、2026年9月16日時点で対象技術の範囲を示す国土交通省令・告示・解説資料は公表されていません。
申請先は国土交通大臣です(法第30条の2第1項)。性能向上計画認定そのものの申請先は所管行政庁(法第29条第1項)ですから、同等性の認定は、所管行政庁への申請の前に置かれる別の手続きということになります。申請には、登録建築物エネルギー消費性能評価機関が作成した評価書を申請書に添える必要があります(法第30条の3第2項)。手数料は「実費を勘案して国土交通省令で定める額」を国に納めると定められていますが(法第30条の4)、その額を定める国土交通省令は、2026年9月16日時点で当社は公布を確認できていません。申請書の様式や記載事項も国土交通省令に委ねられており、これらについても当社は公布を確認できていません。
同等性の認定の規定が動き出すのは2027年4月1日です。改正法の附則には、登録建築物環境性能認証機関について、施行日前においても登録の申請を行うことができるという準備行為の規定(附則第6条)と、認証業務規程の届出を施行日前に行えるという規定(附則第7条)が置かれていますが、同等性の認定の事前申請を認める規定は見当たりませんでした(当社が確認した範囲での記述です)。なお附則第9条は「この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める」としているので、実際の受付の扱いは今後の政令・省令と運用によります。なお附則第3条には、施行の際に現に現行の法第17条第1項の登録を受けている登録建築物エネルギー消費性能評価機関は、改正後の法第53条第1項に規定する評価の業務を行う者として登録を受けたものとみなす、という経過措置が置かれています。つまり、いま登録を受けている機関が改めて登録を取り直す必要はない、という整理です。ただし個別の機関が実際にこの評価業務を扱うかどうかは、各機関の判断によります。
いいえ。今回の施行期日政令には入っていません。改正法の要綱で今回施行期日が定められた部分(傍線部分)は、7の特別特定一戸建て住宅建築主等に係る措置(=上位住宅トップランナー制度)と、8の建築物エネルギー消費性能向上計画の認定制度の拡充(=同等性の認定)、11のその他、附則の一部です。9の建築物通算炭素排出量評価に係る措置(第64条の2〜第64条の9)と、10の建築物環境性能の認証(第64条の10〜第64条の18)には傍線が引かれていません。これらは改正法の本則として「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行されます(改正法附則第1条)。ただし例外があり、認証機関の登録の準備行為を定めた附則第6条、認証業務規程の届出の準備行為を定めた附則第7条と、登録免許税法の改正を定めた附則第12条(一部を除く)と、その経過措置を定めた附則第13条は、今回の2027年4月1日の施行対象に含まれています。制度本体が動く前に、認証を行う機関の登録申請を先に受け付けられるようにする趣旨の規定です。LCCカーボンの届出義務の中身は、別記事(ライフサイクルカーボンの届出が義務になります)で条文単位に整理しています。
第四次答申で決まっていること・まだ示されていないこと。
改正建築士法の施行日は2027年4月1日。見積書の作成も努力義務に。
指定は年2,000戸から。中長期計画の提出と毎年度の報告、勧告・命令までの流れ。
建築物通算炭素排出量評価。着工14日前までの届出、勧告、20万円以下の過料。
日本国内・BD+C限定の適用条件と、提出物3点セット。
2026年4月のBEI引き上げと、3つの計算方法の選び方。
2026年10月改定で変わる項目と、窓の付属部材の冷暖分離。
住宅・非住宅の計算から適判の指摘対応まで、一貫してお引き受けします。
Sources — 出典
国土交通省 報道発表資料「改正建築物省エネ法の施行に伴う関係政令を閣議決定 ~令和9年4月1日より、上位住宅トップランナー制度・先導的な省エネ技術を評価する大臣認定制度が始まります!~」(令和8年9月11日)。閣議決定の日付、2本の政令の別、公布日(令和8年9月16日)と施行日(令和9年4月1日)、上位住宅トップランナーの4区分と戸数、区分の日本語の呼び方(建売戸建て住宅・分譲マンション・注文戸建て住宅・賃貸アパート)は、この資料の記載によります。これらは表1・表6に対応します。
同 添付資料「【施行期日政令】要綱」「【施行期日政令】案文・理由」(令和8年9月11日)。改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行期日を令和9年4月1日とすることは、この2資料によります。
同 添付資料「【施行期日政令】改正法要綱」(全4頁)。表7は、この資料の「傍線部分は今回施行期日を定める分」という注記に従い、当社がPDF中の下線の座標と本文の位置を突き合わせて、傍線の引かれている項目を特定したものです。傍線は要綱の7(特別特定一戸建て住宅建築主等及び特別特定一戸建て住宅建設工事業者等に係る措置)の全体、8(建築物エネルギー消費性能向上計画の認定制度の拡充)の(1)〜(5)、11(その他)、12の(2)(4) に引かれており、1〜6・9・10 には引かれていませんでした。
同 添付資料「【整備政令】要綱」「【整備政令】案文・理由」「【整備政令】新旧対照表」(令和8年9月11日)。表2の施行令の新旧(第6条・第8条の新設、第6条→第7条・第7条→第9条・第8条→第10条の繰り下げ、第2条第2項第1号の引用の改正、見出しの「新築する」→「新築した」「建設する」→「建設した」)と、容積率の特例に係る床面積の上限が延べ面積の10分の1であること、登録の有効期間が5年であることは、この3資料によります。
国土交通省 報道発表資料(令和8年3月27日 閣議決定)添付の「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律案」本文(全52頁)および「概要」。第30条第1項第1号のイ・ロの二段構え、第30条の2(同等性の認定)・第30条の3(審査のための評価)・第30条の4(手数料)の条文、第35条第1項の「建築物エネルギー消費性能誘導基準」から「第30条第1項第1号イ又はロのいずれか」への改正、第53条第1項への「同等性の認定」の追加、附則第1条(本則は公布から2年以内/第1号は公布の日/第2号は公布から1年以内)、附則第3条・第6条〜第8条・第12条・第13条の内容は、法律案本文によります。表3・表8と、第02節・第03節・第05節・第07節の条文の説明に対応します。また「先導的な省エネ技術を用いた建築物において、大臣が個別にZEH・ZEB水準適合を認定」という説明と、先導的な省エネ技術の例としての自然換気システム(風向・風速、室内外の温度差等をセンサーで検知して窓を開閉し、自然通風を利用して空調エネルギーを削減)は、「概要」の記載によります。これは法案の概要における例示であって、認定の対象を定めたものではありません。
e-Gov法令検索「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号)」現行条文。表4の左列(現行の第16条〜第19条)、第29条第1項・第30条第1項・第30条第8項・第35条第1項の現行の条文は、この現行法の本文によります。
官報 令和8年9月16日(号外 第206号)。2本の政令が令和8年9月16日に公布されたこと、政令番号(政令第291号・第292号)、1本目の正式な題名に「の一部の」が入ること、および条文(施行期日=令和9年4月1日、施行令の新第6条・新第8条の戸数、条番号の繰り下げ、見出しの文言)は、この官報の12頁・13頁によります。同号8頁の建築基準法施行令の一部を改正する政令(政令第284号)の改正内容と、その附則第1項による施行期日(令和8年11月1日)も、同じ官報によります。同等性の認定に係る国土交通省令が令和8年9月16日の官報に掲載されていないことは、当社が同日の本紙第1791号および号外第206号の全体目次を確認した範囲での記載です。
e-Govパブリック・コメント「建築基準法施行令の一部を改正する政令の施行に伴う関係告示等の制定及び改正案に関する意見募集」および「建築基準法施行規則の一部を改正する省令案に関する意見募集について」(いずれも案の公示日 令和8年9月26日・受付締切 令和8年10月26日17時・国土交通省住宅局建築指導課・参事官(建築企画担当)付)。9月28日の追記の内容(告示案・省令案の中身、公布予定 令和8年10月末、施行 令和8年11月1日)は、この2件の「概要」、告示の「案文」4本および省令の「案文」によります。
官報 令和8年10月30日(本紙 第1819号)および同日(号外 第238号)。10月30日の追記の内容(国土交通省告示第1316号・第1326号と国土交通省令第85号の題名・内容、施行日 令和8年11月1日)は、本紙3頁と号外第238号の69頁〜74頁・86頁・87頁によります。上の②を定める告示が同日の官報に見当たらないことは、当社が同日の全体目次(本紙第1819号・号外第238号・号外第239号)を確認した範囲での記載です。
表5(手続きの順序)と、第02節・第03節・第05節における制度の読み取り・比較・実務上の評価は、出典の記載そのものではなく当社の整理です。国土交通省令・告示を当社が確認できていない事項については、表9のとおり明示しています。