TOPサービス選ばれる理由進め方ニュース公式Q&A会社情報 お問い合わせ
フランスRE2020のライフサイクルCO2算定で、住宅の共用廊下・ホール・駐車場は排出量に数えるが床面積(居住面積)には入れないことを示す図
最新情報 海外動向 ライフサイクルカーボン

フランスの住宅では、共用廊下や駐車場のCO2も数えますが、その面積は「1㎡あたり」を求める分母に含めません|
非住宅との線引きの違いと、日本の算定ルール案

フランスの建築規制RE2020は、新築の建物について、ライフサイクルアセスメント(フランス語でACV)で計算したCO2換算の排出量に上限値を置いています。 その計算にどの部屋を入れるかを示した適用シートFA10が、2026年9月24日付で新しく出ました。 住宅では共用廊下・ホール・駐車場・機械室までCO2に数える一方、割り算に使う床面積(居住面積)には共用廊下もホールも入れません。非住宅は、暖房されているとみなす空間か、決められた室の種類に当たるかで振り分けます。 日本でも、2026年10月5日に国土交通省の検討会で算定ルールの骨子案が示され、評価面積は建築基準法の延べ面積とする方向です。 フランスの線引きと上限値の補正のしかたを整理し、日本の骨子案と並べました。

この記事の要点

① RE2020で上限値と比べるCO2指標(Icconstruction)は「建物の構成要素」と「工事」の合計を、住宅は居住面積(SHAB)、非住宅は有効床面積(SU)で割った値。期間は50年。 ② 適用シートFA10(2026年9月24日・法的効力はないと明記)によると、住宅は共用廊下・ホール・駐車場・ごみ置場・機械室・小屋裏まで全部CO2に数える。ただし共用廊下とホールは居住面積に入らない。 ③ 非住宅は「暖房されているとみなす空間か」と6種類の室のリストで振り分け、残りは「敷地(Parcelle)」へ。敷地に回った分は規制の判定に入らない参考値になる。 ④ 上限値の側には、住戸の平均面積・建物の規模・地下構造・バルコニー・天井高などに応じた補正係数がある(2026年3月の政令で3つ追加)。 ⑤ 日本の骨子案(2026年10月5日)は、評価面積=建築基準法の延べ面積・評価期間60年・建築物に当たらない外構の工事は対象外。複合用途は事務所部分だけか建物全体かを選べる方向。 ⑥ 分母・期間・範囲が違うので、フランスと日本の公表値をそのまま並べて比べることはできない。

01何が出たのか:適用シートFA10

フランスの新築の建築規制RE2020(Réglementation environnementale 2020)は、2022年1月1日に住宅から適用が始まり、省エネ性能に加えて、ライフサイクルアセスメント(ACV=Analyse du cycle de vie)で計算した建物のCO2換算の排出量を規制の対象にしています。2026年5月1日からは、ホテル・飲食店・物販・医療施設・工場など13類型の建物にも対象が広がりました。

国の公式ポータルは、規制の運用を説明する「適用シート(fiche d'application)」を出しています。2026年10月2日の更新で、FA10「ACVに含める室の範囲」(Périmètre des locaux intégrés à l'ACV)v1が新しく加わりました。シートの日付は2026年9月24日、全9頁です。

シートの冒頭には、複数の用途が入る建物・暖房しない室・プロセス用の室について、構成要素を「建物の構成要素(Composants)」に入れるのか、「敷地(Parcelle)」に入れるのか、ACVの範囲外にするのかを示す、と書かれています。あわせて、適用シートは説明のための資料で法的効力はなく、正本は官報に載った条文であるとも明記されています。本記事もその前提で紹介します。

02RE2020のCO2の物差し:何を足して、何で割るか

FA10の話に入る前に、RE2020でCO2の指標がどう組み立てられているかを確認しておきます。国の公式ポータルが配布しているCerema(フランスの公的な技術機関)の「RE2020ガイド」2026年9月版によると、CO2換算の排出量は5つの「寄与(contribution)」に分けて計算します。上限値と比べる炭素の指標は2つで、ComposantsとChantierを合わせたIcconstructionと、Énergieに対応するIcénergieです。

表1|RE2020のライフサイクルCO2の内訳と、規制との関係

寄与中身規制との関係
Composants
(建物の構成要素)
建物のすべての構成要素。建物の設備網と駐車場を含む。製造から解体までの段階をカバーIcconstructionに入る(上限値あり)
Chantier
(工事)
工事中のエネルギー・水、掘削土の処理、仮設の構成要素Icconstructionに入る(上限値あり)
Énergie
(エネルギー)
使用段階の規制対象のエネルギー消費Icénergie(別の上限値あり)
Eau
(水)
使用段階の水の使用と排水入力するが規制の指標には影響しない
Parcelle
(敷地)
建物の外の工作物(塀・駐車場以外の道路など)の構成要素入力するが規制の指標には影響しない(参考値)

出典:Cerema「Guide RE 2020」2026年9月版 p14〜p16・p57。表の要約と和訳は当社によるものです。ガイドの用語集(p57)は、駐車場について、屋内・屋外・別棟を問わず構成要素を「Composants」に計上するとしています。

Icconstructionの単位はkg CO2換算/㎡で、割り算に使う床面積(Sref)は住宅は居住面積(SHAB)、非住宅は有効床面積(SU)です。評価の期間(période d'étude de référence)はすべての建物で50年とされています(同ガイド p10・p12・p16)。

上限値(Icconstruction_max)は、用途ごとの基準の値を段階的に下げていく形で決められています。

表2|Icconstruction の上限の基準値(Icconstruction_maxmoyen・主な用途の抜粋)

用途2022〜20242024〜20272028〜20302031〜
戸建住宅・連続住宅640530475415
集合住宅740650580490
事務所980810710600
物販-800670540

単位:kg CO2換算/㎡。出典:Cerema「Guide RE 2020」2026年9月版 p29。期間の列見出しはガイドの表記(「2022 à 2024」「2024 à 2027」など)のままです。物販は2026年5月1日からの対象拡大で加わった用途で、最初の期間の値はありません。実際の上限値は、この基準値に第05節の補正係数を掛けたり足したりして求めます。

つまり、ある部屋の構成要素が「Composants」に入ればIcconstructionの分子が増え、「Parcelle」に回れば規制の判定には効かない、という関係です。そして分母は、住宅なら居住面積だけです。FA10は、この振り分けを部屋の種類ごとに示しています。

03住宅の共用廊下・駐車場:CO2は数え、面積は居住面積に含めない

FA10によると、暖房しない室の扱いは、2026年5月1日(2026年3月19日付のアレテ=省令に当たる規則の施行日)から住宅と非住宅で別のルールになりました。

住宅(または建物の住宅部分)では、「敷地」の説明に挙がっている室を除き、暖房しているかどうかに関係なく、すべての室の構成要素を「Composants」に入れます。FA10は、必ず入れるものとして次の7つを挙げています。

一方で、FA10は「住宅の割り算に使う床面積は居住面積(SHAB)なので、共用動線やエントランスホールは床面積に含まれない」と注記しています。早見表でも、住宅の共用動線・ホール・駐車場・ごみ置場・機械室・小屋裏は、すべて「Composantsに入れる/床面積には入れない」になっています。

共同住宅で考えると、共用廊下やエントランス、機械室、駐車場の躯体・仕上げ・設備のCO2は分子に全部入るのに、分母は住戸の居住面積だけです。住戸の居住面積や構成要素の仕様などが同じ条件なら、共用部が増えるほど1㎡あたりの値は大きくなることになります。

04非住宅の室は、暖房されているとみなす空間か、決められた室の種類かで振り分ける

非住宅(事務所などの第三次産業、工業・手工業)では、暖房しない室は、次のどちらかに当たるときだけ「Composants」に入れます(FA10 p3〜p4)。

これ以外で対象用途に属する暖房しない室は「Parcelle(敷地)」の第4ロットに入れ、どの対象用途にも属さない室はACVの範囲外です。Ceremaのガイドも、非住宅でComposantsに入らなかった暖房しない室の構成要素は、参考として敷地(Icparcelle)に計上されると説明しています(p10)。

もう一つの論点がプロセス用の室です。温度・湿度・空気質に特殊な条件が要る室(手術室、温湿度管理された倉庫や実験室、製造エリアなど)は、建設・住居法典 R.172-1条により、省エネ・炭素の規制指標(Bbio・Cep・Cep,nr・Icénergie・DH・Icconstruction)の計算から外れます。それでもFA10は、対象用途に属するプロセス用の室は、ACVでは「敷地」の第4ロットに入れるとしています(p5)。このとき入力する構成要素は、2021年8月4日付アレテの附属書IIの表5に挙がったものに限られます。なお早見表には、プロセスのために空調するごみ置場を「Composants(プロセス用の設備を除く)」とする行もあり、すべてのプロセス用の室が敷地に回るわけではありません。敷地に入力した構成要素は、規制の判定には影響しませんが、参考値として計上されます。

表3|FA10の早見表(抜粋):どの寄与に入れ、床面積に含めるか

室の種類住宅
CO2の区分
住宅
床面積
非住宅
CO2の区分
非住宅
床面積
暖房または冷房する水平動線Composants入れないComposants入れる
暖房も冷房もしない水平動線・ホールComposants入れないVICCならComposants、それ以外は敷地(第4ロット)VICCなら入れる
垂直動線(暖房も冷房もしない)Composants入れないComposants入れない
駐車場・駐輪場Composants入れないComposants入れない
ごみ置場(暖房・冷房しない)Composants入れないComposants入れない
機械室(暖房しない)Composants入れないComposantsVICCなら入れる
倉庫・書庫(快適のために暖冷房)--Composants入れる
倉庫・書庫(プロセスのために暖冷房)--敷地(第4ロット)入れない
その他のプロセス用の室--敷地(第4ロット)入れない

出典:仏 都市・住宅省 RE2020公式ポータル 適用シートFA10 v1(2026年9月24日)p7〜p8 の表を当社が抜粋・和訳。「-」は原典で「該当しない」とされた欄。VICC=暖房されているとみなす内部空間。住宅の床面積は居住面積(SHAB)で、原典は共用動線とホールを熱的な状態にかかわらず除外すると注記しています。

このほか、FA10は次のルールも示しています。

05上限値の側は、建物の条件に応じて補正する

共用部や駐車場を数えれば、建物によっては面積あたりの値が大きくなります。RE2020は、建物の条件に応じて上限値の側を補正係数で動かす仕組みを持っています。Ceremaのガイドに載っている式は次のとおりです(p30)。

Icconstruction_max = Icconstruction_maxmoyen ×(1 + Micombles + Misurf_moy + Misurf_tot)+ Miinfra + Mivrd + Migéo + Mipv + Mided + Miagrément_ext + Mi_HSP + Miclim_RCU

補正係数のうち、本記事の話に関係の深いものを抜き出しました。2024年12月30日の政令でMisurf(規模の補正)が2つに分けられ、2026年3月18日の政令(décret n° 2026-200)で3つが新しく加わっています。後者は、RE2020の評価報告書(RIVATON報告)を受けた改正とされています。

表4|上限値の主な補正係数(抜粋)

係数何に応じて補正するか(ガイドの説明)導入
Misurf_moy集合住宅の住戸の平均面積(40㎡以下が対象)。小さな住戸では面積あたりの衛生設備が多くなるため。例:平均20㎡なら、改正前の上限値に約50 kg CO2換算/㎡を足すのと同じ2024年12月30日の政令
Misurf_tot建物の規模(旧Misurf。1,300㎡未満の建物について上限値を調整するよう式を改めた)。小さな建物ではエレベーターのCO2が1㎡あたりで重くなるため。例:総面積500㎡なら約30 kg CO2換算/㎡を足すのと同じ。超高層(IGH)には専用の値2024年12月30日の政令(IGHの値は2026年3月18日の政令)
Miinfra基礎と地下空間。地盤が悪い場合や地下駐車場が必要な場合など当初から
Mivrd道路・設備網。建物に供給する設備網や、建物のための駐車場があるとき当初から
Miagrément_ext集合住宅のバルコニー・ロッジア・段状テラスの面積。外部空間をつくると不利になって計画が止まるのを避けるため2026年3月18日の政令
Mi_HSP各階の平均天井高(戸建・集合住宅)。天井を高くした分のCO2を打ち消すため2026年3月18日の政令
Miclim_RCU指定された地域熱供給網に接続し、冷房を入れる建物(全用途)。熱源を選べない建物で冷房の設置を妨げないため2026年3月18日の政令

出典:Cerema「Guide RE 2020」2026年9月版 p30〜p31。政令・アレテの本文は当社では確認できていない(仏の法令サイトに接続できなかった)ため、係数の内容はガイドの説明によります。「約50」「約30」はガイドが挙げた例で、計算式そのものはガイドには載っていません。超高層(IGH)については、防火などの制約から達成が難しいとして、2028年と2031年に向けた脱炭素の目標の厳しさも緩められています(具体的な値はガイドに載っていません)。

ここで読み取れるのは、フランスが「数える範囲は広く取り、値が大きくなりやすい建物の条件には、上限値の補正で個別に対応する」という設計にしていることです。地下駐車場はMiinfra、建物のための駐車場はMivrd、小規模な建物のエレベーターはMisurf_tot、学生寮のような小さな住戸はMisurf_moyで手当てされています。

ただし、ガイドに挙げられた係数の一覧では、共用廊下やエントランスの量に直接対応する補正は確認できません。共用廊下の多い住棟計画では、上限値への適合を構成要素や仕様の工夫で確保することになると考えられます。これは当社の読み取りで、FA10やガイドがそう論じているわけではありません。

06日本の算定ルールの骨子案(2026年10月5日)との違い

日本では、改正建築物省エネ法(2026年7月公布)で、ライフサイクルカーボンの届出制度(法律上の名称は「建築物通算炭素排出量評価」)が設けられました。国土交通省の検討会資料によると、届出の対象は事務所用途5,000㎡以上(政令で定める。国が建設する庁舎等は2,000㎡以上の事務所)、制度の開始は2028年度が前提です。

2026年10月5日の第8回検討会では、算定ルールの骨子案が示されました(資料3)。本記事の論点に関係する部分を抜き出すと、次のとおりです。

定量基準値は、建設時などのCO2(エンボディドカーボン)の目安値と、使用段階のCO2(オペレーショナルカーボン)の目安値を足して求める方針です。このうちエンボディドカーボンの目安値は、算定事例の統計分析で差が大きく出た変数によってカテゴリーを分けることを検討するとしています。資料3は、算定事例(164件)の重回帰分析で、建設時のCO2(アップフロントカーボン)に統計的な有意差が見られた説明変数として用途・耐震性能・構造種別(木造)などを挙げています。説明変数の候補には延べ面積や地上階数も入っていましたが、有意差が見られたものとしては挙がっていません。資料自身が「サンプルデータや説明変数の変化によって今後結果が変わる可能性あり」と注記しています。

表5|フランスRE2020と日本の骨子案の比較

項目フランス RE2020(Icconstruction)日本 骨子案(2026年10月5日)
割り算に使う面積住宅は居住面積(SHAB)、非住宅は有効床面積(SU)。共用動線・ホール・駐車場は住宅では含まない建築基準法の延べ面積(免震層の扱いは検討中)
期間と単位50年/kg CO2換算/㎡60年/kg-CO2e/㎡・年
上限・基準の対象建物の構成要素と工事(使用段階のエネルギーは別の上限値)用途別に、ライフサイクル全体で1つの定量基準値(内訳の目安値は示す)
駐車場屋内・屋外を問わずComposantsに入れる。上限値側にMiinfra・Mivrdの補正骨子案に駐車場だけを取り上げた記述は見当たらない
外構駐車場・建物の設備網などを除く敷地の工作物は、敷地(Parcelle)として入力するが、規制の指標には影響しない建築物に当たらない外構の工事は対象外
プロセス用の室・生産設備規制対象の用途に属する非住宅のプロセス用の室は、規制指標の計算から外れ、ACVでは原則として敷地の第4ロットに入力する(構成要素の限定あり)。ただし早見表では、プロセス用に空調するごみ置場はComposants(プロセス用の設備を除く)生産設備等は算定の対象外
複合用途用途ごとに割り当て、共用のものは原則として面積按分(エレベーター・駐車場・共用のエネルギー供給設備には個別のルール)算定対象の用途だけ(躯体等は面積按分)か建物全体かを選べる
建物ごとの事情の扱い補正係数で上限値を個別に動かす(住戸平均面積・規模・地下・バルコニー・天井高など)エンボディドカーボンの目安値は、統計分析で差の出た変数でカテゴリーを分けることを検討(例は用途)。使用段階の目安値は建物ごとに算定し、合計して基準値とする
住宅の扱い新築の住宅は規制の対象(2022年から)届出の対象は事務所用途の面積5,000㎡以上(政令で定める。国が建設する庁舎等は2,000㎡以上)。住宅だけの建物は対象の案に入っていない。住宅を含む複合用途の建物は事務所用途の面積で判定

出典:フランス側はFA10 v1・Cerema「Guide RE 2020」2026年9月版(p10・p12・p14〜p16・p29〜p31・p57)。日本側は国土交通省 第8回 建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会 資料2(右下の番号で2〜4頁)・資料3(同5頁・9頁・13頁・18〜20頁)。日本側はいずれも「案」で、詳細は第9回以降に議論されます。

建築基準法施行令第2条第1項第4号は、延べ面積を「建築物の各階の床面積の合計」としたうえで、容積率(上限)の算定に使う延べ面積に限って、自動車車庫・備蓄倉庫・蓄電池・自家発電設備・貯水槽などの部分を算入しないと定めています。算入しない面積には同条第3項で限度があり、自動車車庫等は、同じ敷地内の建築物の各階の床面積の合計の5分の1までです。LCCO2の評価面積に、この容積率用の不算入を使うのか、各階の床面積の合計をそのまま使うのかは、骨子案には書かれていません。駐車場を持つ建物では、この扱いで1㎡あたりの値が変わります。

また、算定ツールJ-CATの中で床面積をどう扱っているかは、本記事では確認していません(操作マニュアルを確認していないため)。

07設計者・建築主がいま押さえておくこと

EUの算定枠組み(委任規則2026/52)では、駐車場と別棟は「排出量は入れるが床面積は入れない」とされており、この点は「EUは建物のCO2の数え方を法令で決めました」で紹介しました。フランスのFA10は、それを住宅と非住宅で分けて、部屋の種類ごとに書き下ろしたものと読めます。

当社は、省エネ計算とあわせて、ライフサイクルカーボンの算定に向けた数量の整理についてもご相談を受けています。日本の算定ルールの素案が出たら、このページと関連記事でお知らせします。

08よくあるご質問(FAQ)

フランスの規制は、日本の設計に関係がありますか。

直接の義務はありません。ただ、日本でも改正建築物省エネ法でライフサイクルカーボンの届出制度が2028年度に始まる予定で、国土交通省の検討会は2026年11月9日の第9回から算定ルールの素案を議論する予定です。フランスは2022年からライフサイクルCO2に上限値を置いて運用しており、どの部屋を数えるか、何で割るかといった、日本でこれから決まる論点の先行例になります。

「Parcelle(敷地)」に入れると、何が変わるのですか。

規制の判定に使う指標に入らなくなります。RE2020で上限値と比べるIcconstructionは「Composants(建物の構成要素)」と「Chantier(工事)」の合計で、Ceremaのガイドは「Parcelle」の構成要素について、入力はするが規制上の指標には影響しないと説明しています。非住宅の非暖房室やプロセス用の室で「Parcelle」に回されるものは、参考値として扱われることになります。

共用廊下が床面積に入らないと、何が起きますか。

CO2の量(分子)には共用廊下やホールの構成要素が入るのに、割り算に使う床面積(分母)は居住面積のままなので、住戸の居住面積や構成要素の仕様などが同じ条件なら、共用部が増えるほど1㎡あたりの値は大きくなります。上限値の側には建物の規模や住戸の平均面積に応じた補正係数がありますが、Ceremaのガイドに挙げられた係数の中に、共用廊下の量そのものに応じたものは見当たりません。

日本の算定ルール案では、駐車場や共用廊下は床面積に入りますか。

2026年10月5日の検討会資料(骨子案)は、評価面積を「建築基準法の延べ面積」としています。建築基準法施行令第2条第1項第4号は、延べ面積を各階の床面積の合計としたうえで、容積率(上限)の算定に使う延べ面積に限って、自動車車庫などの部分を同条第3項の限度内(自動車車庫等は、同じ敷地内の建築物の各階の床面積の合計の5分の1まで)で算入しないと定めています。LCCO2の評価面積にこの容積率用の扱いを使うかどうかは、骨子案には書かれていません。細部は第9回以降の素案で決まります。

J-CATで計算した値は、そのまま国の届出に使えますか。

今回確認した資料では決まっていません。骨子案は、算定ルールや建材のCO2原単位(個社データ・業界代表データ・国のデフォルト値)の素案を第9回以降に議論し、省令・告示の公布を2027年夏頃としています。J-CATの操作マニュアルは、本記事では確認していません。

フランスの上限値と日本の算定事例の数値を比べてもよいですか。

公表されている数値を、そのまま比べることはできません。フランスのIcconstructionは50年の期間で、居住面積または有効床面積で割った kg CO2換算/㎡ です。日本の骨子案は60年の期間で、延べ面積と評価年数で割った kg-CO2e/㎡・年 を基本単位とし、算定の範囲も違います。同じ「ライフサイクルCO2」でも、分母・期間・範囲をそろえないまま数値を並べないことをおすすめします。

09関連するページ

オーストラリアの建物CO2算定の手引き

EPDの有効期限・業界平均は最悪値・1%ルールと、日本の届出制度との違い。

フランスは電気の一次エネルギー換算係数を1.7へ下げます

建物を変えずに評価が変わる仕組みと、日本の9.76MJ/kWh。

ライフサイクルカーボンの届出が義務になります

建築物通算炭素排出量評価の中身と、LCCO2の計算のしかた。

EUは建物のCO2の数え方を法令で決めました

参照期間50年と、日本のJ-CATとの違い。

フランスは新築のガスを「79g/kWh」で止めます

2027年住宅・2030年その他、日本のBEIとの違い。

LEED v5の必須項目にJ-CATが使えるようになりました

日本国内・BD+C限定の適用条件と提出物。

東京都の環境計画書制度が2028年度に変わります

LCCO2算定の義務化と省エネ性能基準の強化。

CASBEE 評価・届出代行

自治体のCASBEE届出と評価の代行。

Sources — 出典・参考資料

仏 都市・住宅省 RE2020公式ポータル 適用シート「FA10 Périmètre des locaux intégrés à l'ACV」v1(2026年9月24日・全9頁。表3はこの資料によります)/掲載告知「[RE2020] Créations et mises à jour de fiches d'application」(2026年10月2日)
Cerema「Guide RE 2020」2026年9月版(全108頁。表1・表2・表4はこの資料によります)/掲載告知「[RE2020] Guide Cerema - mise à jour du 17 septembre 2026」
国土交通省「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」第8回(2026年10月5日)資料2 検討事項と検討スケジュール(案)・資料3 各検討事項における検討の骨子と方向性(案)(表5の日本側)/報道発表(2026年10月1日)
建築基準法施行令 第2条第1項第4号(延べ面積)
※décret n° 2026-200(2026年3月18日)、2026年3月19日付のアレテ、2021年8月4日付のアレテの本文は、当社では確認できていません。これらに関する記述はCeremaのガイドとFA10の記載によります。

Supervised by — 監修

営業・勧誘のお電話はご遠慮ください

電話050-3702-2868 お問合せお問合せフォーム LINEで相談