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非住宅の省エネ基準と省エネ計算 — 規模と用途で変わる基準値を表で整理。中規模非住宅のBEI基準値が2026年4月に1.00から0.75〜0.85へ引き下げられたことを示す棒グラフ
解説 非住宅 省エネ適判

非住宅建築物の省エネ基準と省エネ計算
13の表で総まとめ【2026年4月 中規模引上げ対応】

2025年4月にすべての新築等へ省エネ基準適合が義務化され、2026年4月には中規模非住宅(300㎡以上2,000㎡未満)の基準がBEI 0.75〜0.85へ引き上げられました。非住宅には住宅のような仕様基準がなく、規模を問わず計算で適合を確認する必要があります。本記事では、規模・用途別の基準値、省エネ適判が要る建物・要らない建物、3つの計算方法の違い、そして新基準をクリアしている建物の設計仕様の実データまで、公的資料をもとに表で整理します。

01非住宅の省エネ規制はどう変わってきたか

非住宅建築物の省エネ規制は、「対象を広げる」段階から「水準を上げる」段階へ移っています。2021年4月に適合義務の対象が300㎡以上へ拡大され、2025年4月には原則すべての新築等が対象になりました。ここで規模の拡大は一巡し、いまは基準値そのものを引き上げるフェーズに入っています。

2024年4月に大規模(2,000㎡以上)が先行して引き上げられ、2026年4月には中規模(300㎡以上2,000㎡未満)も大規模と同じ水準になりました。さらに国は、遅くとも2030年度までにZEB基準の水準まで引き上げる方針を示しています。

表1|非住宅建築物に関する省エネ規制の施行スケジュール

施行内容公布
2017年4月1日省エネ基準適合性判定(省エネ適判)の開始(対象:2,000㎡以上)/届出義務の対象見直し(300㎡以上2,000㎡未満)/誘導基準の策定2016年11月30日
2021年4月1日省エネ適判の対象拡大(対象:300㎡以上)2020年9月4日
2022年10月1日誘導基準の見直し/低炭素建築物の認定基準の見直し2022年8月16日
2024年4月1日大規模非住宅(2,000㎡以上)の省エネ基準の引上げ(BEI 0.75〜0.85)2022年12月7日
2025年4月1日適合義務・省エネ適判の対象を全ての規模へ拡大(原則すべての新築等/床面積10㎡超)。あわせてモデル建物法(小規模版)が利用可能に2022年6月17日
2026年4月1日中規模非住宅(300㎡以上2,000㎡未満)の省エネ基準の引上げ(大規模と同水準へ)2024年10月16日
〜2030年度遅くともこの時期までに、住宅・建築物についてZEH・ZEB基準の水準まで引き上げる方針(エネルギー基本計画等)

出典:国土交通省「令和7年度 建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」ほかをもとに合同会社テト作成。

02規模・用途別のBEI基準値 — 2026年4月に何が変わったか

非住宅の省エネ基準は一次エネルギー消費量に関する基準のみで、住宅のような外皮基準(UA値・ηAC値)はありません。判断に用いる指標がBEI(Building Energy Index)で、「設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量」(いずれもその他一次エネルギー消費量を除く)で表します。値が小さいほど省エネ性能が高く、従来はこれが1.0以下であることが求められていました。

2026年4月の改正で変わったのは中規模です。改正前のBEI 1.0から、用途に応じて0.75〜0.85へ(現行基準から15〜25%の強化)。引上げ後の水準は大規模とまったく同じです。小規模(300㎡未満)は当面1.0のまま据え置かれています。

表2|規模・用途別のBEI基準値(現行/2026年4月〜/2030年度までに目指す水準)

規模 用途区分 〜2026年3月
(2025年度時点)
2026年4月〜
(現在)
遅くとも2030年度
までに目指す水準
大規模
2,000㎡以上
工場等0.750.750.60
事務所等・学校等0.800.80
ホテル等・百貨店等/病院等・飲食店等・集会所等
※ホテル等・百貨店等は0.80、病院等・飲食店等・集会所等は0.85
0.80/0.850.80/0.850.70
中規模
300㎡以上
2,000㎡未満
工場等1.000.750.60
事務所等・学校等1.000.80
ホテル等・百貨店等/病院等・飲食店等・集会所等
※ホテル等・百貨店等は0.80、病院等・飲食店等・集会所等は0.85
1.000.80/0.850.70
小規模
300㎡未満
用途による区分なし1.001.000.80

※1 現行・2026年度の水準は、太陽光発電設備およびコージェネレーション設備の発電量のうち自家消費分を含んだ値です。
※2 2030年度までに目指す水準は、コージェネレーション設備の発電量のうち自家消費分を含む値(再生可能エネルギーを除く)として示されています。
※3 増改築については、2025年4月以降、増改築部分の面積の規模に応じて該当する規模の水準を使用します。
出典:国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)事務連絡(令和7年11月10日)別添「中規模非住宅建築物の省エネ設計かんたんガイド」(発行:国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付/編集協力:(一社)日本サステナブル建築協会)。

いつ申請したものから新基準? — 「着工日」ではなく「適判の申請日」

国土交通省の周知資料では、改正省令の施行日(2026年4月1日)以後に、所管行政庁または登録建築物エネルギー消費性能判定機関に対して省エネ適合性判定を申請する建築物について、引上げ後の基準への適合が必要とされています。設計期間が長い物件では、旧基準のつもりで進めた計画が申請時期のずれで新基準に当たる、ということが起こり得ます。手続き自体に変更はなく、これまでどおり省エネ適判を受け、建築確認において適合判定通知書を提出します。

参考|引上げ前の中規模建築物の適合状況

国の審議会資料では、引上げ前の中規模非住宅について、工場等でBEI 0.75以下への適合率が7割程度、事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等でBEI 0.80以下への適合率が6〜8割程度、病院等・集会所等・飲食店等でBEI 0.85以下への適合率が5〜6割程度と示されていました。用途によっては半数近くが従来の設計のままでは新基準に届かない計算になります。とくに病院等・飲食店等・集会所等は、早い段階での試算をお勧めしています。

03手続きの早見表 — 省エネ適判が要る建物・要らない建物

省エネ基準への適合義務は建築基準関係規定として位置付けられているため、原則すべての建築物の省エネ基準適合が建築確認・完了検査の対象になりました(2025年4月1日施行)。ただし「適合義務がある」ことと「審査を受ける」ことは別で、義務はあっても審査が不要になる区分があります。

まず押さえたいのは、義務の対象外なのか、義務はあるが審査が不要なのか、省エネ適判が必要なのかという3段階の切り分けです。

表3|適合義務と審査の要否(早見表)

建築物の条件省エネ基準
適合義務
適合性の審査
(省エネ適判)
備考
床面積10㎡以下の新築等対象外不要増改築は「増改築を行う部分」の床面積で判断します。
適用除外の用途対象外不要詳細は表4のとおりです。
都市計画区域・準都市計画区域の外の建築物
(平屋かつ200㎡以下)
義務あり不要そもそも建築確認自体を要しない区分です。適合義務は残ります。
都市計画区域・準都市計画区域の内の建築物
(平屋かつ200㎡以下)で建築士が設計・工事監理
義務あり不要審査は不要ですが、基準に適合させる義務は生じます。
上記以外
(建築基準法6条1項1号・2号に該当)
義務あり必要適合判定通知書が提出されるまで確認済証は交付されません。
増改築
(増改築部分の床面積10㎡超)
増改築部分
のみ義務
増改築後の規模が
1号・2号なら必要
完了検査も増改築部分のみが対象です。2025年3月末までの「全体で適合」から取扱いが変わりました。
修繕・模様替え(リフォーム)対象外不要省エネ基準適合義務制度の対象になりません。

出典:国土交通省「令和7年度 建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」をもとに合同会社テト作成。運用は所管により異なる場合がありますので、計画地の所管行政庁、審査機関にご確認ください。

表4|適用除外となる建築物

区分内容
居室を有しない/
高い開放性を有する用途
空気調和設備を設ける必要がないものとして政令で定める用途。自動車車庫、自転車駐車場、畜舎、堆肥舎、公共用歩廊 等。
歴史的建造物等文化財として指定・認定された建築物、景観重要建造物、伝統的建造物群保存地区内の建築物 等。
仮設建築物応急仮設建築物、工事現場の仮設事務所、仮設興行場等。
小規模(高い開放性を有する部分を除いた)床面積が10㎡以下のもの。

※用途が混在する建築物では、除外部分と評価対象部分の切り分けが論点になりやすい箇所です。区分の判断は所管行政庁・審査機関の取扱いによります。

04省エネ適合性判定の流れ

省エネ適判は建築確認とは別の手続きですが、適合判定通知書が提出されないと確認済証が交付されないため、実務では確認申請と並行して走らせます。ここで日程を読み違えると、確認だけが先に整って着工が止まる、という事態になります。

表5|省エネ適合性判定と建築確認の流れ

STEP手続き誰が誰に内容・提出物
1省エネ適判の申請建築主所管行政庁 または
登録省エネ判定機関
省エネ計画書、一次エネルギー消費量に関する計算書(Webプログラムの計算結果出力シート)、計算に用いた設備機器等の情報が記載された設計図書
2審査・質疑対応判定機関建築主(設計者)計算書と設計図書の整合、機器仕様の根拠などが確認されます。回答に要する期間も日程に織り込みます。
3適合判定通知書の交付所管行政庁 または
登録省エネ判定機関
建築主基準に適合していることの通知書が交付されます。
4建築確認申請建築主建築主事 または
指定確認検査機関
確認申請と並行して進め、適合判定通知書を提出します。
5確認済証の交付建築主事 または
指定確認検査機関
建築主適合判定通知書が提出されるまで交付されません。
6完了検査申請建築主建築主事 または
指定確認検査機関
省エネ計画に変更があった場合は「軽微な変更説明書」を添付します(表13)。
7完了検査・検査済証の交付建築主事 または
指定確認検査機関
建築主省エネ基準適合は建築基準関係規定のため、完了検査の対象です。図書どおりの機器が設置されているかが確認されます。

※手続きの運用や必要図書は所管により異なる場合があります。詳細は計画地の所管行政庁、登録省エネ判定機関にご確認ください。

実務でつまずきやすいところ

053つの計算方法 — 標準入力法/モデル建物法/小規模版

非住宅の一次エネルギー消費量の計算方法は標準入力法、モデル建物法、モデル建物法(小規模版)の3種類です。いずれも手計算はできず、建築研究所が公開する専用の入力シート(Excel)に入力し、Webプログラムにアップロードして計算します。

ここで住宅との決定的な違いがあります。非住宅建築物には仕様基準が設けられていないため、規模を問わずすべて計算によって適合を確認しなければなりません。「小さい建物だから仕様で逃げられる」という発想が使えないのが非住宅です。

表6|3つの計算方法の比較

項目標準入力法モデル建物法モデル建物法(小規模版)
位置づけ最も詳細な計算方法省エネ適判で広く利用されている簡易計算法小規模非住宅用の簡易な計算法
適用できる規模制限なし制限なし非住宅部分の床面積の合計が300㎡未満
(高い開放性を有する部分を除く)
入力の単位建築物に設ける全ての室単位で床面積・外皮性能・設置設備機器等を入力建築物全体としての外皮性能と、主たる室用途の設備機器の情報を入力モデル建物法をベースに入力項目を合理化
おおよその入力項目数室数に比例(室数が多いと非常に煩雑)約130項目約90項目
外皮面積の入力必要必要不要
面積が最大となる外壁・屋根・窓の仕様のみ入力
外皮性能の算出BPIも併せて算出BPImも併せて算出算出されない
昇降機評価できる評価できる入力できない
コージェネレーション設備評価できる評価できる入力できない
複数用途がある場合一度の計算で適否判断が可能用途ごとに計算(Webプログラムに複数用途集計機能あり)用途ごとに計算。集計機能がなく、全用途で「適合」が必要
一次エネの指標BEIBEImBEIs
省エネ適判での使用
(2025年4月1日以降に着工する新築等)
性能向上計画認定での使用不可
精度と作業量精緻/作業量が多い中間おおまか/作業量が少ない
評価結果は安全側(性能の低い値)になる傾向

出典:国土交通省「令和7年度 建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」表3-1ほかをもとに合同会社テト作成。外皮の標準計算・簡易計算(BPI/BPIm)は性能向上計画認定で用いる区分です。

表7|住宅と非住宅で何が違うか

項目住宅非住宅
基準の構成外皮基準+一次エネルギー消費量基準一次エネルギー消費量基準のみ
仕様基準あり(仕様基準か標準計算のいずれかに適合すればよい)なし(すべて計算で確認)
計算方法標準計算、仕様基準 ほか標準入力法、モデル建物法、モデル建物法(小規模版)
評価の単位住戸単位/住棟単位建築物(非住宅用途ごと)
昇降機の扱い住宅用途では計算対象外標準入力法・モデル建物法では対象、小規模版では対象外

住宅と非住宅の複合建築物は、住宅側に仕様基準を使っても適判が必要

複合建築物では住宅部分と非住宅部分をそれぞれの方法で計算し、建築物全体として適合を確認します。ここで見落とされやすいのが、住宅部分に仕様基準を用いた場合であっても、住宅部分を含めた建築物全体として省エネ適判が必要になるという点です。
また、住宅部分と非住宅部分で共用する部分は、①居住者以外の者が利用し、②居住者以外の者のみが利用する部分の床面積の合計が居住者のみが利用する部分の床面積の合計より大きい、という2要件を満たす場合、非住宅部分に含めて計算します。要件を満たさない場合は住宅部分として扱い、住宅共用部を計算対象に含めるかは設計者の判断となりますが、含める場合の計算には非住宅の標準入力法を用います。

06モデル建物法(小規模版)の中身

モデル建物法(小規模版)は、2025年4月の適合義務対象拡大に対応するため、モデル建物法をベースに小規模用へ入力を合理化した計算方法です。最大の効きどころは外皮で、面積の入力が一切不要になっています。そのぶん、昇降機やコージェネレーションが入力できず、結果は安全側に出やすいという性格を持ちます。

適用するモデル建物は任意に選べるものではなく、建築基準法の建築物用途に応じて、確認申請書第四面と整合するように選択します。ここを恣意的に選ぶと、後で計算方法の変更(=軽微な変更として扱えない変更)に発展します。

表8|適用するモデル建物の一覧(モデル建物法・小規模版で共通)

大分類小分類(選択するモデル建物)
事務所事務所
ホテルビジネスホテル/シティホテル
病院等総合病院/クリニック/福祉施設
百貨店等大規模物販/小規模物販
学校等学校/幼稚園/大学/講堂/アリーナ
飲食店飲食店
集会所アスレチック場/体育館/公衆浴場/映画館/図書館/博物館/劇場/カラオケボックス/ボーリング場/ぱちんこ屋/競馬場/競輪場/社寺
工場等工場/倉庫/屋外駐車場又は駐輪場

出典:国土交通省「令和7年度 建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」表4-1。選択肢はモデル建物法とモデル建物法(小規模版)で同一です。

表9|モデル建物法(小規模版)で仕様を入力する範囲

対象入力する範囲代表用途での例
外皮外気に接する主要な外壁・屋根・窓のうち、面積が最大となるものの仕様のみ。外気に接する床、地盤に接する壁等は対象外。面積・寸法の入力は不要。窓は、全ての空調室の外壁に設置される窓のうち面積が最大のもの(同一面積が複数ある場合はガラスの断熱性能が最も低いもの)
空気調和設備設備が設置され空調される「空調室」の全てが入力対象。空調の評価には外皮の入力が必要。厨房に設置された空調は機械換気設備として扱う(給気・排気の送風機のみ入力)
機械換気設備室ではなく「当該用途に使用する設備」が対象(主たる使用用途)。単相の送風機は入力を省略してもよい。事務所=便所/飲食店=便所・厨房/福祉施設=便所・厨房
照明設備「主たる室用途」に供する室に設置する設備の仕様。事務所=事務室/ビジネスホテル・シティホテル=客室/小規模物販=売場/飲食店=客席/学校=教室
給湯設備室ではなく「当該用途に使用する設備」が対象(主たる使用用途)。事務室内の湯沸し(流し台・ミニキッチン等)は対象外。事務所=洗面・手洗い/ホテル=浴室/飲食店=厨房/福祉施設=浴室
昇降機設備対象外(入力できない)
太陽光発電設備全て(売電のために設置される太陽光発電設備は除く)
コージェネレーション対象外(入力できない)

※照明設備および給湯設備については、上記の主たる室用途・主たる使用用途以外にも、モデル建物法と同様の範囲まで仕様を入力してもよいとされています。
出典:国土交通省「令和7年度 建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」表4-1。

入力シートは最大9シート — 入力ルールにも作法があります

使用するのは専用のExcelファイルで、SA_基本情報/SB-1_開口部仕様/SB-2_断熱仕様/SC-1_空調熱源/SC-2_空調外気処理/SD_換気設備/SE_照明設備/SF_給湯設備/SH_太陽光発電設備の最大9シートです。Webプログラムは原則として毎年4月と10月の年2回更新されるため、最新の入力マニュアルと入力シートを使う必要があります。

※アップロード時のエラー表示では「どの様式の何行目か」が示されます。修正して再アップロードします。

07新基準をクリアする設計仕様の目安(実データ)

「BEIを0.8まで下げてください」と言われても、設計者が知りたいのは具体的にどの機器をどこまで変えればよいのかです。国土交通省と(一社)日本サステナブル建築協会が公表した「中規模非住宅建築物の省エネ設計かんたんガイド」では、2018〜2021年度に新築された建築物の申請データを分析し、旧基準水準(BEI≒1.0)の建物と新基準水準(BEI≒0.8/0.85)の建物とで、設計仕様の平均値がどう違うかが用途別に示されています。

これはガイドラインではなく実際に基準をクリアしている建物の平均値です。目標設定の当たりをつけるうえで、これほど使える資料はありません。

表10|用途別 設計仕様の平均値(旧基準水準 → 新基準水準)

用途(新基準BEI)項目BEI≒1.0の建物
(旧基準水準)の平均
新基準水準の建物
の平均
変化
事務所等
BEI 0.80
n=345→1,262
空調 定格熱源能力(冷房/暖房)321/359 W/㎡249/280 W/㎡▲22%/▲22%
空調 定格熱源効率(冷房/暖房)1.18/1.341.23/1.39+4%/+3%
照明 消費電力(事務室)12.2 W/㎡7.9 W/㎡▲35%
BEIの平均0.950.77▲0.18
ホテル等
(ビジネスホテル)
BEI 0.80
n=51→167
空調 定格熱源能力(冷房/暖房)281/342 W/㎡208/243 W/㎡▲26%/▲29%
空調 定格熱源効率(冷房/暖房)1.22/1.301.24/1.42+2%/+9%
照明 消費電力(客室/ロビー)7.2/10.8 W/㎡4.2/5.8 W/㎡▲42%/▲46%
給湯 熱源効率(浴室/厨房)0.86/0.780.90/0.86+4%/+10%
BEIの平均0.890.74▲0.15
学校等
(幼稚園)
BEI 0.80
n=46→444
空調 定格熱源能力(冷房/暖房)305/360 W/㎡250/312 W/㎡▲18%/▲13%
空調 定格熱源効率(冷房/暖房)1.22/1.341.23/1.35+1%/+1%
換気 電動機出力(厨房)0.4 W/㎡0.3 W/㎡▲25%
照明 消費電力(教室/職員室/ロビー)9.1/8.6/11.6 W/㎡7.4/7.8/6.6 W/㎡▲19%/▲9%/▲44%
BEIの平均0.930.80▲0.13
百貨店等
(小規模物販)
BEI 0.80
n=25→300
空調 定格熱源能力(冷房/暖房)296/333 W/㎡172/194 W/㎡▲42%/▲42%
空調 定格熱源効率(冷房/暖房)1.15/1.361.17/1.45+2%/+7%
照明 消費電力(売場)16.2 W/㎡10.7 W/㎡▲39%
BEIの平均0.870.78▲0.09
病院等
(福祉施設)
BEI 0.85
n=298→740
空調 定格熱源能力(冷房/暖房)251/294 W/㎡209/241 W/㎡▲17%/▲18%
空調 定格熱源効率(冷房/暖房)1.23/1.411.31/1.51+7%/+7%
照明 消費電力(診察室/ロビー)7.2/6.1 W/㎡6.0/4.6 W/㎡▲17%/▲25%
給湯 熱源効率(厨房)0.790.89+11%
給湯 配管保温仕様(厨房)なし(裸管)仕様2または3保温を追加
BEIの平均0.920.79▲0.13
飲食店等
BEI 0.85
n=272→139
空調 定格熱源能力(冷房/暖房)405/453 W/㎡360/403 W/㎡▲11%/▲11%
換気 電動機出力(機械室/厨房)0.32/0.33 W/㎡0.18/0.30 W/㎡▲44%/▲9%
照明 消費電力(客席)8.3 W/㎡6.8 W/㎡▲18%
給湯 熱源効率(浴室・厨房)0.840.85+1%
給湯 配管保温仕様(厨房)なし(裸管)保温仕様2または3保温を追加
BEIの平均1.000.82▲0.18

用語|空調・定格熱源能力=空調熱源機器の定格能力の合計値を空調対象床面積で除した値。空調・定格熱源効率=空調熱源機器の定格効率(一次エネルギー換算)の平均値。照明消費電力=照明器具の定格消費電力の合計値を、当該器具が設置されている床面積の合計値で除した値。給湯・熱源効率=給湯熱源機器の定格効率(一次エネルギー換算)の平均値。
「BEI≒1.0の建物」はBEI=0.95〜1.05、「新基準水準の建物」はBEI=0.75〜0.85である建築物の平均値です。nはサンプル件数(旧基準水準→新基準水準)。
出典:国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付 発行/(一社)日本サステナブル建築協会 編集協力「中規模非住宅建築物の省エネ設計かんたんガイド」(令和7年11月10日 事務連絡 別添)。分析の基礎は国総研資料No.1254「非住宅建築物の省エネ基準適合率と外皮・設備設計仕様の実態調査」。

この表の読みどころ

表11|用途別 エネルギー消費の特徴と対策のポイント

用途エネルギー消費量の特徴対策のポイント
事務所等空調と照明のエネルギー消費量が大きい断熱性能の向上/空調設備の高効率化/照明設備の高効率化
ホテル等(ビジネスホテル)空調が大きく、次いで照明と給湯が大きい断熱性能の向上/空調設備の高効率化/給湯設備の高効率化
学校等(幼稚園)空調、換気、照明のエネルギー消費量が大きい空調設備の高効率化/換気設備の高効率化/照明設備の高効率化
百貨店等(小規模物販)空調と照明のエネルギー消費量が大きい断熱性能の向上/空調設備の高効率化/照明設備の高効率化
病院等(福祉施設)空調と給湯のエネルギー消費量が大きい断熱性能の向上/空調設備の高効率化/給湯設備の高効率化
飲食店等空調、換気、給湯のエネルギー消費量が大きい空調設備の高効率化/換気設備の高効率化/給湯設備の高効率化

出典:同上「中規模非住宅建築物の省エネ設計かんたんガイド」。あわせて公的資料では、事務所であれば空調設備と照明設備、飲食店等であれば給湯設備と空調設備を中心に見直すと計算結果が良くなる傾向がある、と示されています。

ご相談は、機器を決める前が最も安上がりです

合同会社テトでは、非住宅の省エネ計算省エネ適合判定の申請サポートを、計算ルートの選定から申請図書の作成、指摘対応、変更対応まで一貫してお引き受けしています。担当は省エネ適合判定員・一級建築士(一級建築基準適合判定資格者検定 合格)です。基本設計の段階で試算しておけば、機器発注後に「容量を落とす」「保温を足す」といった手戻りを避けられます。

08設計図書に書いておくこと

省エネ適判の申請では、法定様式の省エネ計画書、Webプログラムの計算結果出力シート、そして計算に用いた設備機器等の情報が記載された設計図書を提出します。指摘の多くは、この「図面に書いていない」「図面と計算書が食い違う」に集中します。以下は、モデル建物法(小規模版)を用いた場合に設計図書へ記載すべき項目です。

表12|様式別 設計図書への記載項目と、記載する図書の例

種別(入力様式)主な記載項目の概要記載する設計図書の例
基本情報(様式SA)建築物所在地、地域の区分 等案内図、配置図
建物モデルの種類、床面積(延べ面積、計算対象部分の床面積および空調対象床面積)等平面図、求積図
外皮(様式SB-1、SB-2)窓の仕様または熱物性値、ブラインド・庇の有無平面図、立面図、建具表
外皮(外壁・屋根)の断熱仕様または熱貫流率平面図、立面図
空気調和設備(様式SC-1、SC-2)熱源機種の種類、台数、定格能力、定格消費電力 等平面図、機器表
全熱交換器の設計風量、仕様 等平面図、機器表
換気設備(様式SD)室用途、床面積、換気方式平面図、機器表
機器の送風量・電動機出力、仕様 等機器表
照明設備(様式SE)室用途、床面積、室指数(室の高さ)平面図、仕上表
照明器具の消費電力、種類、台数 等照明設備平面図
照明制御等の有無機器表
給湯設備(様式SF)給湯用途、熱源機の種類・台数、定格加熱能力、定格燃料消費量 等機器表
給湯配管の保温の仕様仕様書
節湯器具の使用の有無器具表
太陽光発電設備(様式SH)太陽電池アレイのシステム容量、種類、設置方式仕様書、機器表
パネルの数、設置方位角、傾斜角パネル設置計画図

※省エネ計算の対象となる機器が設置された室の名称や面積等の情報も、平面図に記載する必要があります。
※外壁や窓に複数の断熱仕様がある場合は、最も使用面積が大きい仕様を入力するため、判別が難しい場合は設計図書に計算式等の根拠を併記します。
※窓の熱貫流率の求め方(建研技術情報による方法/JIS等に基づく試験・計算による方法 等)によって、記載すべき項目が変わります。どの方法を用いたかを設計図書に明示してください。
出典:国土交通省「令和7年度 建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」表7-1。あわせて省エネ計算に必要な図面・資料の一覧もご覧ください。

09変更が出たとき — 軽微な変更のルートA・B・C

省エネ基準適合は建築基準関係規定であり、完了検査の対象です。したがって完了検査までの間に省エネ計画に変更があった場合は、省エネ適判の再実施か、軽微な変更の手続きが必要になります。設備機器は現場で頻繁に変わるため、軽微な変更の手続きを踏むケースは実際とても多くなります。

ポイントはルートCだけは、完了検査申請の前に「軽微な変更該当証明書」を取得しなければならないことです。ここに要する期間を見込んでいないと、完了検査の日程が押します。

表13|軽微な変更のルート(非住宅用途)

ルート考え方該当する変更の例必要な手続き
ルートAエネルギー消費性能を向上させる変更、または性能に影響しないことが明らかな変更建築物の高さまたは外周長の減少/外壁・屋根・外気に接する床の面積の減少/空気調和設備等の効率が低下しない、損失が増加しない変更(制御方法等の変更を含む)/エネルギーの効率的利用を図ることのできる設備の新設・増設完了検査申請時に軽微な変更説明書を添付
ルートB変更前の設計一次エネルギー消費量が基準値より10%以上少ない建築物における、一定範囲内の性能低下 空調:外壁・屋根・外気に接する床・窓の平均熱貫流率、窓の平均日射熱取得率の増加(5%以内)または減少/熱源機器の平均効率の低下(10%以内)
換気:送風機の電動機出力の増加(10%以内)/算定対象床面積の増加(5%以内・駐車場または厨房に限る)
照明:単位床面積あたりの消費電力の増加(10%以内)
給湯:平均効率の低下(10%以内)
太陽光:システム容量の減少(2%以内)/方位角30度以内・傾斜角10度以内の変更
軽微な変更説明書を添付。範囲内であることを、建築研究所が公開する「軽微な変更用の確認シート」等で示す
ルートC再計算により基準に適合することが明らかな変更(左記の除外事項を除く) 除外(=軽微な変更にできない):建築物の用途の変更/標準入力法とモデル建物法の間の変更/適用する一次エネルギー消費量モデル建築物の変更/BEST省エネ基準対応ツールとの間の確認方法の変更 完了検査申請の前に、所管行政庁または登録省エネ判定機関の「軽微な変更該当証明書」を取得

※上記は非住宅用途のルートです。住宅用途の軽微な変更は内容が異なります。
出典:国土交通省「令和7年度 建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」。詳しくは省エネ適判の軽微変更と計画変更・再適判の違いもご覧ください。

テナント工事で起きがちな不整合

物販店舗や飲食店の新築工事で、テナント部分の機器がC工事となるため「当該設備は設置されていないもの」として適判を受けた場合、完了検査では設置されていないことが検査されます。現場で設置されていれば省エネ計画書との整合が取れませんので、事前に計画変更の手続きを行うか、完了検査申請時に軽微な変更説明書を提出する必要があります。テナント確定の時期と検査の時期は、早めに突き合わせておくことをお勧めします。

10よくあるご質問(FAQ)

300㎡未満の小さな非住宅でも省エネ計算は必要ですか。

必要です。2025年4月1日以降、原則としてすべての新築等(床面積10㎡超)に省エネ基準への適合が義務付けられました。さらに非住宅建築物には住宅のような仕様基準が設けられていないため、規模にかかわらず計算によって適合を確認する必要があります。300㎡未満であれば入力を簡略化したモデル建物法(小規模版)が使えます。ただし平屋かつ200㎡以下で建築士が設計・工事監理を行う場合など、適合性の審査が不要となる区分がありますので、計画地の所管行政庁、審査機関にご確認ください。

非住宅に仕様基準はありますか。

公的資料では、非住宅建築物には仕様基準が設けられておらず、すべて計算によって省エネ基準への適合を確認する必要があると整理されています。住宅では仕様基準と標準計算のいずれかに適合すればよいという点が、非住宅との大きな違いです。また非住宅の省エネ基準は一次エネルギー消費量に関する基準のみで、住宅のような外皮基準はありません。

2026年4月からの中規模非住宅の基準引上げは、いつ申請したものから対象ですか。

国土交通省の周知資料では、改正省令の施行日である2026年4月1日以降に、所管行政庁または登録建築物エネルギー消費性能判定機関に対して省エネ適合性判定を申請する建築物から、引上げ後の基準への適合が必要とされています。着工日ではなく適判の申請日が基準となる点にご注意ください。引上げ後の水準は大規模非住宅と同じで、工場等は0.75、事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等は0.80、病院等・飲食店等・集会所等は0.85です。

モデル建物法(小規模版)はどんな建物で使えますか。使えない設備はありますか。

非住宅部分の床面積の合計が300㎡未満(高い開放性を有する部分を除く)の場合に使用でき、省エネ適判では2025年4月1日以降に着工する新築等が対象です。昇降機やコージェネレーション設備は入力できないため、これらの省エネ効果を見込みたい場合は標準入力法またはモデル建物法を使う必要があります。また複数用途の集計機能がないため、非住宅用途が複数ある場合は用途ごとに計算し、すべての用途で適合となることが必要です。

計算方法を途中で変えることはできますか。

省エネ適判を受けた後に計算方法を変更する場合、軽微な変更のルートCの除外事項に該当し、軽微な変更としては扱えません。標準入力法とモデル建物法の間の変更や、適用するモデル建物そのものの変更、建築物の用途の変更も同様です。この場合は計画変更として省エネ適判を受け直すことになりますので、計算ルートは計画の早い段階で決めておくことをお勧めします。

増改築の場合はどの範囲を計算しますか。

2025年4月以降は、増改築を行う部分のみ(増改築部分の床面積が10㎡を超える場合に限る)が適合義務の対象となり、完了検査でも増改築部分のみが検査対象となります。モデル建物法(小規模版)も、増改築を行う部分の非住宅用途の床面積の合計が300㎡未満であれば使用できます。なお修繕・模様替え、いわゆるリフォームは省エネ基準適合義務制度の対象になりません。

BEIが基準に届かないとき、どこから見直すのが効率的ですか。

用途によって一次エネルギー消費量に占める設備の割合が異なるため、割合の大きい設備から見直すのが合理的です。公的資料では、事務所であれば空調設備と照明設備、飲食店等であれば給湯設備と空調設備を中心に見直すと結果が良くなる傾向があると示されています。実務では、熱源機器の容量適正化と効率向上、照明器具の消費電力の低減、給湯配管の保温強化が効きやすい項目です(表10・表11をご覧ください)。

住宅と非住宅が混在する建物では、どちらの計算をすればよいですか。

住宅部分と非住宅部分をそれぞれの方法で計算し、建築物全体として適合を確認します。住宅部分に仕様基準を用いた場合であっても、住宅部分を含めた建築物全体として省エネ適判が必要になる点にご注意ください。住宅と非住宅で共用する部分は、居住者以外の者が利用し、かつ居住者以外の者のみが利用する部分の床面積の合計が居住者のみが利用する部分の床面積の合計より大きい場合、非住宅部分に含めて計算します。共同住宅側の考え方は共同住宅・マンションの省エネ計算のページにまとめています。

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Sources — 出典・参考資料

国土交通省「令和7年度 建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」(令和7年7月 第2版・国土交通省補助事業/発行:(一社)日本建築士事務所協会連合会)
国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)事務連絡「令和8年度からの中規模非住宅建築物の省エネ基準の引き上げについて(周知)」(令和7年11月10日)および別添「中規模非住宅建築物の省エネ設計かんたんガイド」
国土交通省 国土技術政策総合研究所「国総研資料No.1254 非住宅建築物の省エネ基準適合率と外皮・設備設計仕様の実態調査
国立研究開発法人 建築研究所「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」(入力マニュアル・入力シート)
(一社)住宅性能評価・表示協会「温熱・省エネ設備機器等ポータル
※本記事は2026年8月12日時点の公表資料に基づいています。制度・基準は改正されることがあるため、実際のご判断にあたっては各公表元の最新情報と、計画地の所管行政庁・審査機関の取扱いをご確認ください。

非住宅の省エネは、住宅のように「仕様で逃げる」という選択肢がありません。だからこそ、機器を決める前の一度の試算が、後の設計変更を何度も減らします。300㎡未満の小さな建物でも、2,000㎡を超える計画でも、考え方の順番は同じです。まず規模と用途で基準値を確定し、手続きの要否を切り分け、計算ルートを決める。そのうえで、どの設備を触ればBEIが動くかを見極める——この順で進めれば、慌てずに済みます。

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