国土交通省の資料ライブラリーには、木造住宅の外皮計算のテキストと演習用教材が掲載されています。2026年8月、そこに鉄骨造(S造)住宅の外皮計算のテキストと、設計図書・計算シート・解答がそろった自習用教材が加わりました。 S造の外壁で木造と大きく違うのは、間柱・スタッドの熱橋は補正熱貫流率で、柱・梁の熱橋は線熱貫流率と長さで評価することです。教材のモデル住宅では、外壁の熱貫流率が熱橋を考慮しないと0.328、考慮すると0.72 W/㎡Kになります。 教材と建築研究所の技術情報を読み、計算の手順と間違えやすい点を整理しました。
国土交通省の資料ライブラリーで、2026年10月27日の更新以降、S造住宅版テキストの欄が「ただいまメンテナンス中です」の表示になり、PDFの公開が止まっています(S造講座の動画も同じ表示です)。自習用教材(使い方・設計図書一式・解答資料・計算シート)は引き続き公開されています。差し替えの理由や内容の変更の有無は示されていません。本記事の数値と頁は、公開時に確認した令和8年8月版によります。再公開されたら内容を確認し、この記事を更新します。
① 国土交通省の資料ライブラリーの「標準計算マニュアル」に、2026年8月7日、S造の教材が加わった(同日にS造のオンライン講座も公開)。テキスト「住宅の省エネルギー基準と外皮性能の評価方法2026 鉄骨造住宅版」(令和8年8月版・62頁)と、自習用教材4点(使い方・設計図書一式・解答資料・計算シート)。 ② S造の外壁は、間柱・スタッドの熱橋を「補正熱貫流率」で一般部の熱貫流率に足し、柱と梁の熱橋を「線熱貫流率×長さ」で別に足す。値は技術情報 第三章第三節の表7・表9・表10で、いずれも「外装材+断熱補強材」の熱抵抗の区分から選ぶ(柱・梁は見付寸法の区分も組み合わせる)。 ③ モデル住宅(6地域・地上3階・延べ109.22㎡)の外壁は、一般部103.56+柱11.37+梁20.76=135.69 W/K を外壁面積188.97㎡で割って0.72 W/㎡K。熱橋を考慮しない0.328の約2.2倍(当社の計算)。 ④ 住宅全体のUA値は0.78で、6地域の省エネ基準0.87には適合。ただし教材の比較表では、充填断熱の性能向上案(窓・ドアの断熱性能を上げ、断熱材の種類・厚さを変更)は0.67でZEH水準の0.60に届かず、外断熱案(0.56)と内断熱案(0.57)は達成。 ⑤ 間違えやすい点:外装材の室内側に外気とつながる通気層があると外装材の熱抵抗は足せない/出隅の柱は長さ2倍・入隅の柱は対象外/断熱ラインより上の梁は対象外/突き出したバルコニーはS造とRC造の大きい方の値。 ⑥ テキストの引用元は技術情報のVer.18(2022年4月)。この記事で使った値は、建築研究所の公開ページに2026年10月26日時点で掲載されているVer.27(2026年10月)の表7・表9・表10と一致することを確認した。
国土交通省の「住宅:資料ライブラリー」には、「標準計算マニュアル」の欄があります。木造用(戸建・木造軸組工法、戸建・木造枠組壁工法のテキストと演習用教材)、鉄筋コンクリート造・鉄骨造用、小規模非住宅建築物設計者用の3つに分かれていて、2026年8月7日に、このうち「鉄筋コンクリート造・鉄骨造用」の欄にS造の教材が加わりました(国土交通省 建築物省エネ法のページの更新情報による)。
中心になるのは、テキスト「住宅の省エネルギー基準と外皮性能の評価方法2026 鉄骨造住宅版」です。地上3階建ての鉄骨造戸建住宅をモデルに、開口部・外壁・天井・床の計算から、外皮計算書と設計図書の作り方までを62頁で説明しています。これに、同じモデル住宅を自分で計算するための自習用教材がついています。
表1|資料ライブラリーの「鉄筋コンクリート造・鉄骨造用」の教材
| 教材 | 形式・分量 | 中身 |
|---|---|---|
| S造住宅版テキスト | PDF・62頁(令和8年8月版)。2026年10月28日時点は「メンテナンス中」で公開停止 | 第1章 評価方法編(外皮性能基準、標準計算ルート、外壁の熱橋を考慮したU値の計算)、第2章 申請図書編(外皮計算書・設計図書)、その他の断熱仕様(外断熱・内断熱との比較) |
| 1. 自習用教材の使い方 | PDF・2頁 | 計算シートの「A(北)」シートと「B(屋根・床等)」シートにある赤枠のセル①〜⑩を埋めると、建物全体の外皮性能が出る |
| 2. 設計図書一式 | PDF・24頁 | モデル住宅の建築概要、外壁求積図、床求積図、仕上表など |
| 3. 解答資料 | PDF・10頁(令和8年7月) | 計算シートの赤枠に入る正しい数値 |
| 4. 計算シート | Excel | モデル住宅の外皮性能計算用のシート(共通条件・結果、方位別のA、屋根・床等のB、基礎のC など) |
| RC造共同住宅版テキスト | PDF・41頁 | 同じ欄に並ぶ鉄筋コンクリート造の共同住宅版 |
| オンライン講座 | 動画 | 2026年8月7日にS造講座を公開(更新情報)。現在のS造講座の欄は「ただいまメンテナンス中」の表示(2026年10月26日時点)。RC造講座はリンクあり |
出典:国土交通省「住宅:資料ライブラリー」標準計算マニュアル欄(2026年10月26日に確認)、各教材の表紙・本文。テキストとS造用自習用教材のPDF・Excelは、いずれもサーバー上の更新日が2026年8月7日です。
モデル住宅は、6地域・鉄骨造・地上3階建て、延べ面積109.22㎡(1階30.55㎡・2階37.26㎡・3階41.41㎡)の戸建住宅です。敷地面積は112.01㎡で、1階に車庫とアプローチ、外壁から突き出したバルコニーがあり、2階・3階には外気に接する床もあります。外壁はALCパネル50mm+密閉中空層+軽量鉄骨スタッド+グラスウール充填の充填断熱で、窓はアルミサッシ・一般複層ガラスです。
木造の外壁は、柱・間柱の部分と断熱材の部分の「面積比率」で熱貫流率を出すのが基本です。鉄骨造は鋼材が熱を通しやすいため、技術情報は別の方法を定めています。教材はS造の外壁を4つの部材に分け、そのうち間柱・スタッド、柱、梁の3つで熱橋が生じるとしています。
表2|S造の外壁の部材の分類と、熱橋の評価方法
| 部材 | 分類 | 評価方法 | 値を読む表(技術情報 3-3) |
|---|---|---|---|
| 壁(断熱部分) | 一般部の断熱部 | 断熱部分の熱貫流率 Ug を層構成から計算 | 式(4)(5.1.4) |
| 間柱・スタッド | 一般部の熱橋部 | 補正熱貫流率 Ur を Ug に足して、一般部の熱貫流率 U=Ug+Ur(面積×Uで計算) | 表7(「外装材+断熱補強材」の熱抵抗で決まる) |
| 柱 | 構造熱橋部 | 線熱貫流率 ψ × 柱の長さ(長さ×ψで計算) | 表9(熱抵抗と柱の見付寸法で決まる) |
| 梁 | 構造熱橋部 | 線熱貫流率 ψ × 梁の長さ | 表10(熱抵抗と梁の見付寸法で決まる) |
出典:S造住宅版テキスト p25・p30、建築研究所 技術情報 3-3 Ver.27(2026年10月)5.1.3・表7(p5)、6.1.3・表9(p9)・表10(p10)。教材は、スタッドの上下のランナーの熱橋は考慮しないとしています(p26)。
3つの表は、どれも「外装材+断熱補強材」の熱抵抗(㎡K/W)の区分から値を選びます。熱抵抗が1.7以上なら、補正熱貫流率も線熱貫流率も0です。つまり、鋼材の外側をALCパネルなどの外装材と断熱補強材で十分に覆えば、これらの表による熱橋の分は計算上0として扱える、という作りです(突き出したスラブなど、鉄筋コンクリート造としての評価が必要な部分は別です)。柱と梁は、さらに見付寸法の区分を組み合わせます。柱は「300以上/200以上300未満/100以上200未満/100未満」、梁は「400以上/200以上400未満/200未満」(mm)の区分です。
外壁の熱貫流率は、最後に次の式でまとめます(テキスト p30)。
こうして求めた外壁の熱貫流率を、木造と同じ外皮計算シートの外壁欄に入れます。計算シートの側では、外壁は1つの熱貫流率として扱われます。
テキストは、第1章の「3. 外壁の熱橋を考慮した(U値の)計算」で、モデル住宅の外壁の熱貫流率を8つの手順で求めています。数字をそのまま追うと次のとおりです。
表3|モデル住宅の外壁の熱貫流率(テキストの手順①〜⑧)
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 外壁面積 A | 各方位の外壁から窓・ドアを除いて合計 | 188.97㎡ |
| ② 断熱部分 Ug | 部位U値計算シートから | 0.328 W/㎡K |
| ③ 補正熱貫流率 Ur | ALCパネル50mm(0.263)+断熱パッキン35mm(0.583)=熱抵抗0.846 → 表7「0.9未満0.7以上」 | 0.22 W/㎡K |
| ④ 一般部の熱損失量 | 188.97 × (0.328+0.22=0.548) | 103.56 W/K |
| ⑤ 柱の熱損失量 | 柱の長さ63.16m(P1〜P4の合計)。ALCパネル(0.263)+押出法ポリスチレンフォーム3種bA 20mm(0.714)=0.977、柱見付200mm → 表9「1.1未満0.9以上・200以上300未満」ψ=0.18 | 63.16 × 0.18 = 11.37 W/K |
| ⑥ 梁の熱損失量 | 見付250mmの梁27.3m・見付300mmの梁20.93m。ALCパネル(0.263)+吹付ウレタンフォームA種1H相当25mm(熱伝導率0.026 W/mK・熱抵抗0.962㎡K/W)=1.225 → 表10「1.3未満1.1以上・200以上400未満」ψ=0.35 | 9.56+7.33 = 16.89 W/K |
| ⑦ 特別な部位(バルコニーの梁) | 長さ4.55m。S造の梁としては熱抵抗2.895(1.7以上)でψ=0、RC造の構造熱橋部としてはψ=0.85 → 大きい方の0.85 | 4.55 × 0.85 = 3.87 W/K |
| ⑧ 外壁の熱貫流率 | (103.56+11.37+20.76)÷ 188.97 ※20.76=⑥+⑦ | 0.72 W/㎡K |
出典:S造住宅版テキスト p32〜p46。⑤の柱の長さは、テキスト p36 の式では「1.76×4」と表示されていますが、表の長さ合計(7.06m)と根拠図(1,764mm)から、P3は高さ1.764mで計算されています。熱抵抗は「厚さ÷熱伝導率」です。ALCパネルの室内側の空気層は密閉中空層で外気とつながっていないので、ALCパネルの熱抵抗を足しています。
熱橋を考慮しない場合の外壁の熱貫流率は0.328 W/㎡Kでした。熱橋を考慮すると0.72 W/㎡Kで、約2.2倍です。熱損失量で見ると、熱橋を考慮しない場合の約62 W/K(188.97×0.328)に対して、考慮した場合は135.69 W/Kで、外壁の熱損失の半分以上が熱橋の分という計算になります(いずれも当社の計算)。S造で熱橋を数え漏らすと、UA値を大きく甘く見積もることになります。
こうして求めた0.72を計算シートの外壁欄に入れると、住宅全体では外皮面積の合計284.78㎡、外皮熱損失量の合計222.09 W/Kで、UA値0.78 W/㎡Kになります。6地域の省エネ基準0.87に対して適合、冷房期の平均日射熱取得率 ηAC も1.9で基準値2.8に適合し、断熱等性能等級4に当たります(テキスト p22・p54)。
テキストの注意書きと、住宅・建築SDGs推進センターの「鉄筋コンクリート造・鉄骨造 Q&A」(令和8年2月20日 初版。省エネ適判機関などへの問い合わせが多いもの・間違えやすいものをまとめたもの)から、S造で間違えやすい点を拾いました。
表4|S造の外皮計算で間違えやすい点
| 論点 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 通気層 | 通気層がある場合は、外装材の熱抵抗を足せない。教材のモデル住宅では、ALCパネルの室内側の空気層が外気とつながっていれば、ALCパネルの熱抵抗を含められない。補正熱貫流率・柱・梁のどれも同じ | 技術情報 表7・表9・表10の注記/テキスト p34 |
| 出隅の柱 | 外気に2つの面で接するので、熱橋部の長さを2倍にする | テキスト p38 |
| 入隅の柱 | 外気に接する面積がほとんど無いので対象外 | テキスト p38 |
| 断熱ラインの外の柱 | 袖壁の中など、断熱ラインの外の柱は対象外(袖壁の室内側と外気側の境界には断熱が必要)。対象にした柱・外した柱は断熱範囲図などに書く | テキスト p38 |
| 最上階の梁 | 天井断熱で、梁が断熱ラインより上にあれば対象外。断熱ラインより下(勾配天井など)なら熱橋として数える | テキスト p16・p29 |
| 見付寸法の違う梁 | 見付寸法ごとに長さを合計し、それぞれの区分のψで計算する | テキスト p39・p40 |
| 突き出したバルコニー | S造の梁のψと、RC造の構造熱橋部のψを両方求め、大きい方を使う | テキスト p41〜p45/Q&A 2-A6 |
| 床の断熱 | 断熱材を全面に密着して貼るなら面積比率の補正は不要、根太などの間に入れる工法なら必要 | テキスト p18 |
| 仕様基準で判定する場合 | 熱的境界の内にある梁の熱橋は、仕様基準では加算しないが、誘導仕様基準では加算する | Q&A 2-A5 |
出典:表中の各資料。Q&Aは、住宅・建築SDGs推進センター「<改正>平成28年省エネルギー基準対応 住宅の省エネルギー基準と評価方法 鉄筋コンクリート造・鉄骨造 Q&A」(令和8年2月20日 初版発行・国土交通省住宅局 監修)。
仕様基準と誘導仕様基準の違いは、Q&Aの例がわかりやすいので紹介します。平屋のS造で、外壁面積89.6㎡、一般部の熱貫流率0.407、柱の線熱貫流率0.08、熱的境界の内にある梁の線熱貫流率0.50という条件です。仕様基準では梁を加算しないので外壁は0.447 W/㎡Kで、6地域の0.53に適合。誘導仕様基準では梁の分(32m×0.50=16.0 W/K)を加えて0.626 W/㎡Kとなり、6地域の0.44に不適合です。仕様基準で通っている外壁でも、誘導仕様基準(ZEH水準)では梁の扱いが変わるので、計算し直す必要があります。
テキストの最後には、同じモデル住宅で断熱の方法を変えた比較表があります。国は省エネ基準を遅くとも2030年度までにZEH水準へ引き上げる方針で、6地域のZEH水準の外皮はUA値0.60です(「住宅の省エネ基準のZEH水準への引き上げ」)。S造の戸建住宅を設計する方には、いちばん気になる表だと思います。
表5|断熱の方法を変えたときのUA値(モデル住宅・6地域)
| 案 | 主な変更点 | UA値 | ZEH基準 |
|---|---|---|---|
| ① モデル住宅(充填断熱) | 壁:ALCパネル50mm・密閉中空層25mm・スタッド+グラスウール100mm(λ0.038)/窓:アルミサッシ・一般複層ガラス/ドア:金属枠金属製ハニカムフラッシュドア | 0.78 | 未達成 |
| ①-2 充填断熱の性能向上 | 壁のグラスウールをλ0.034に、天井を200mmに、床をフェノールフォーム100mmに、窓をアルミ樹脂複合サッシ・Low-E複層ガラスに、ドアをアルミ樹脂複合枠金属断熱ドアに | 0.67 | 未達成 |
| ② 外断熱 | 壁の屋外側に金属断熱サンドイッチパネル50mm(λ0.020)を用いる案 | 0.56 | 達成 |
| ③ 内断熱 | スタッドの室内側に木軸+押出法ポリスチレンフォーム3種bC 50mm(λ0.024)を設ける案 | 0.57 | 達成 |
出典:S造住宅版テキスト p60「性能比較表」。②・③のその他の部位は、表では「①と同様」と書かれています。一方、テキスト p58・p59 の断面図では、外断熱案にはALCパネルと充填のグラスウールが、内断熱案には充填のグラスウールが描かれておらず、壁の構成は①に断熱材を足したものとは限りません。外断熱・内断熱の特徴はテキスト p57〜p59。
ポイントは、教材で検討した充填断熱の性能向上案(窓・ドアの断熱性能を上げ、天井・床・壁の断熱材の種類や厚さを変更)では0.67で、ZEH水準の0.60に届いていないことです。比較表でUA値が0.60以下になったのは、壁の断熱層をスタッドの外側か内側に連続して設ける外断熱案と内断熱案でした。テキストも、外断熱・内断熱は「熱橋が無いため、充填断熱と比べ外皮計算が単純になる」と書いています。一方で、内断熱は断熱化によって床面積が縮小し、外断熱はサンドイッチパネルなど断熱材によっては耐火性能を確保できる、と特徴の違いも挙げています。
狭小地のS造3階建てでは、内断熱で室内が狭くなるのは痛手です。ZEH水準を見すえるなら、外装材と断熱補強材の熱抵抗を1.7以上にして、表7・表9・表10の熱橋の分を計算上0にできないか、外断熱にできないかを、構造・防耐火の条件とあわせて早い段階で検討するのがよいと当社は考えています。
当社では、次のような使い方をおすすめしています。
テトでは、鉄骨造を含む住宅の外皮計算・一次エネルギー消費量の計算を図面からお引き受けしています。熱橋部リストや根拠図の作成、ZEH水準を目標にした断熱仕様の比較もご相談ください(省エネ計算 代行/省エネ適合判定 代行)。
できません。建築研究所の技術情報 第三章第三節は、鉄骨造の一般部位の熱貫流率を「断熱部分の熱貫流率+補正熱貫流率」とし(5.1.3)、外皮に接する柱と梁の線熱貫流率も表9・表10で定めています(6.1.3)。国の教材のモデル住宅では、熱橋を考慮しない外壁の熱貫流率0.328 W/㎡Kが、考慮すると0.72 W/㎡Kになります。
足せません。補正熱貫流率(表7)、柱の線熱貫流率(表9)、梁の線熱貫流率(表10)のいずれも、注記で「通気層がある場合は、外装材の熱抵抗を加算することはできない」としています。教材は、ALCパネルの室内側の空気層が外気とつながっている場合は、ALCパネルの熱抵抗を含められないと説明しています。モデル住宅はこの空気層が密閉中空層なので、ALCパネルの熱抵抗0.263を足しています。
教材は、出隅の柱は外気に2つの面で接するので熱橋部の長さを2倍、入隅の柱は外気に接する面積がほとんど無いので熱橋の対象外としています。断熱ラインの外にある柱(袖壁の中の柱など)も対象外です。どの柱を数えたかは断熱範囲図などに書いておくよう求めています。
鉄骨造の梁としての線熱貫流率と、鉄筋コンクリート造の構造熱橋部としての線熱貫流率を両方求め、大きい方(性能の低い方)を使います。住宅・建築SDGs推進センターのQ&A(2-A6)も、PCスラブが突出している場合は両方の値を表から選び、大きい方を用いるとしています。教材のモデル住宅では、鉄骨造の梁としては0、鉄筋コンクリート造としては0.85 W/mKで、0.85を採用しています。
できます。住宅・建築SDGs推進センターのQ&A(2-Q5)が、熱的境界の内に熱橋となる梁がある鉄骨造の建物の判定例を示しています。注意点は、仕様基準ではその梁の線熱貫流率を加算しなくてよいのに対し、誘導仕様基準では加算することです。Q&Aの例(6地域)では、同じ外壁が仕様基準(0.53)では適合、誘導仕様基準(0.44)では梁の分を加えて0.626となり不適合でした。
2026年10月28日時点の国土交通省の資料ライブラリーでは、S造講座の欄に加えて、S造住宅版テキストの欄にも「ただいまメンテナンス中です」と表示され、テキストのPDFは公開が止まっています。自習用教材(使い方・設計図書一式・解答資料のPDFと計算シートのExcel)は引き続き公開されています。RC造講座へのリンクは同じ欄に載っています。
断熱ラインの決め方と、熱橋の対象を図に書くときの注意。
遅くとも2030年度まで。6地域のUA値は0.87から0.60へ。
旧評価方法は11月以降も当面使える。新旧の違い。
RC造の共同住宅で、どちらの評価方法を選ぶか。
熱橋の数え方を変えたときの、基準値と移行期間。
外皮計算と一次エネルギー消費量の計算を、図面からお引き受けします。
Sources — 出典・参考資料
国土交通省「住宅:資料ライブラリー」標準計算マニュアル(鉄筋コンクリート造・鉄骨造用)
国土交通省「住宅の省エネルギー基準と外皮性能の評価方法2026 鉄骨造住宅版」(令和8年8月版・全62頁)。2026年10月28日時点で、国土交通省の資料ライブラリーの該当欄は「ただいまメンテナンス中です」の表示で、PDFは公開が止まっています(本記事は公開時に確認した令和8年8月版によります)
国土交通省 S造用 自習用教材「1.自習用教材の使い方」「2.設計図書一式」「3.解答資料」(解答資料は令和8年7月)「4.計算シート」(Excel)
国土交通省「RC造共同住宅版テキスト」/「改正建築物省エネ法オンライン講座 RC造講座」
建築研究所「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラムに関する技術情報 第三章第三節 熱貫流率及び線熱貫流率」Ver.27(2026年10月)5.1.3・表7・6.1.3・表9・表10(公開ページ)
一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター「<改正>平成28年省エネルギー基準対応 住宅の省エネルギー基準と評価方法 鉄筋コンクリート造・鉄骨造 Q&A」(令和8年2月20日 初版発行)2-Q1〜2-Q6
※ 第3節の「約2.2倍」「半分以上」、第5節の検討の順序、第6節の使い方は当社の計算・考えによるものです。