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家庭用給湯器の新しい省エネ規制=メーカーが2034年度の化石エネルギー消費量の目標を自ら設定・公表する。国の目安は1台1人あたり5,605MJ。電気ヒーター温水器も対象に入る
最新情報 省エネ法 給湯設備

給湯器の省エネ規制が見直されます|
メーカーが化石エネルギー消費量の目標を定める新制度。電気ヒーター温水器も対象に

資源エネルギー庁は2026年9月29日、省エネ法の施行令を改正する政令案について、意見募集の結果を公表しました。公布は10月7日の予定です。 家庭用の給湯器について、メーカーが2034年度の「化石エネルギー消費量」の目標を自ら設定・公表し、国が達成を判定する新しい制度をつくるための改正です。 政令の上では、エコキュート(二酸化炭素を冷媒とするヒートポンプ)に限られていた電気温水機器の対象が広がり、電気ヒーター温水器も対象に入ります。 政令の新旧対照条文と、制度の具体的な内容を整理したワーキンググループの取りまとめを読み、制度の変更点と、住宅の設計者・建築主の実務への関わりを整理しました。

この記事の要点

① 改正するのは省エネ法の施行令(建築物省エネ法ではない)。義務を負うのは給湯器を作る・輸入する事業者。住宅の省エネ計算・適判・BELSの手順や基準を変える内容は含まれていない。 ② 政令で変わるのは2点。対象機器の号を「ガス温水機器及び電気温水機器(家庭用以外のものなどを除く)」にまとめ、エコキュートだけを対象にしていた号を削る。国の勧告の対象になる事業者の台数の要件は3,000台にそろう。 ③ 物差しは化石エネルギー消費量。ガスは消費量×0.991、電気は消費量×0.412×9.40MJ/kWhで換算して合計する。化石燃料に由来するエネルギーだけを数える物差し。 ④ 目標年度は2034年度。国の目安は給湯器1台・1人あたり5,605MJ。メーカーは出荷台数で平均した目標値と取組の方針を2027年度中に公表する。 ⑤ 国の目安は、高効率給湯器(ヒートポンプ・燃料電池・ハイブリッド)の出荷割合が2023年度の22%から39.3%へ増えると想定して計算されている。 ⑥ 新築の戸建住宅と新築の共同住宅は、条件を満たせば「高効率給湯器の導入可能性が高い環境」に当たり、メーカーはそこへ高効率給湯器を出荷することを求められる(それ以外の機器を出す場合は、需要条件と理由を取組の方針に書く)。 ⑦ 施行日は、今回確認した資料には書かれていない。既存のトップランナー基準との整理は告示で明確にするとされ、製品の表示の中身は2031年度末までに検討する。省令・告示の改正は別途意見募集の予定。

01何が決まったのか

2026年6月15日、資源エネルギー庁は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律施行令の一部を改正する政令案」の意見募集を始めました。締切は7月15日で、寄せられた意見は8件。9月29日に結果が公示され、意見を踏まえた案の修正はなし、公布は10月7日の予定とされています。

背景について、意見公募要領は次のように説明しています。家庭部門は最終エネルギー使用量の約15%を占め、その中で最も大きな割合を占めるのが給湯で、約30%に上ります。より効率のよい給湯器(ヒートポンプ給湯器、家庭用燃料電池、ハイブリッド給湯器=以下「高効率給湯器」)の普及を、補助金だけでなく制度でも後押しする必要がある、という考え方です。

制度の中身は、総合資源エネルギー調査会の家庭用温水機器判断基準ワーキンググループが2025年4月から審議し、取りまとめました(取りまとめの表紙の日付は令和8年5月)。エネルギーの種類をまたいで化石エネルギーの消費量を減らすため、メーカーが自分で目標を立てて公表し、それを達成する。国は目標を立てるときの目安を示す、という仕組みです。今回の政令改正は、この制度を動かすために必要な改正と位置づけられています。

表1|これまでの経緯とこれからの日程

時期出来事
2024年7月26日省エネルギー小委員会で、家庭用の給湯器を対象にした制度の大枠が示される
2025年4月〜家庭用温水機器判断基準ワーキンググループで、制度の詳細を審議
2026年6月15日〜7月15日施行令の改正案の意見募集(意見8件)
2026年9月29日意見募集の結果を公示。案の修正はなし
2026年10月7日政令の公布(予定)
時期の記載なし省令・告示の改正案の意見募集(「別途実施する予定」)
2027年度中メーカーが目標基準値と取組の方針を公表する期日
2031年度末まで製品の表示のあり方の検討を終える
2034年度目標年度。国は、この年度の実績値が目標基準値を達成しているかを判定する

出典:e-Gov パブリック・コメント 案件番号620126015 の結果公示ページ・意見公募結果、意見公募要領(令和8年6月15日)、家庭用温水機器判断基準ワーキンググループ取りまとめ。施行日は、当社が読んだ資料には記載がありません。

02政令で変わるのは、対象機器と台数要件の2点

省エネ法の施行令は、第18条で「特定エネルギー消費機器」、つまり国が判断の基準を定める機器を並べています。エアコンや冷蔵庫と同じ並びに、給湯器が入っています。第19条は、国が勧告できる事業者の要件として、年間の生産量または輸入量(国内向けの出荷分)の下限を機器ごとに決めています。新旧対照条文で変わるのは、この2つの条の給湯器の部分だけです。

表2|省エネ法施行令の新旧対照(給湯器の部分)

条・号現行改正案
第18条 第14号ガス温水機器(貯蔵式湯沸器その他経済産業省令で定めるものを除く。)ガス温水機器及び電気温水機器(家庭用以外のものその他経済産業省令で定めるものを除く。)
第18条 第26号電気温水機器(ヒートポンプ(二酸化炭素を冷媒として使用するものに限る。)を用いるものに限り、暖房の用に供することができるものその他経済産業省令で定めるものを除く。)削る(現行の第27号〜第29号が第26号〜第28号に繰り上がる)
第19条の表 第14号ガス温水機器 3,000台ガス温水機器及び電気温水機器 3,000台
第19条の表 第26号電気温水機器 500台削る

出典:「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律施行令の一部を改正する政令案 新旧対照条文」(全8頁)。条文は原文のまま(数字だけ算用数字に直しています)。

読み取れることは3つあります。1つめは、電気温水機器の対象が「二酸化炭素を冷媒とするヒートポンプを用いるもの」、つまりエコキュートに限られなくなることです。どの機種が入り、どれが外れるかの線は経済産業省令に委ねられますが、ワーキンググループの取りまとめでは電気ヒーター温水機器が対象に挙がっています(表3)。

2つめは、業務用が外れる書き方になったことです。現行のガス温水機器の号は「貯蔵式湯沸器」などを除く形でしたが、改正案は「家庭用以外のもの」を除く形です。

3つめは台数の要件です。現行は電気温水機器が500台でしたが、改正後はガスと電気をまとめて3,000台になります。意見募集では「500台から3,000台になり、対象が縮小される」という意見が出ました。国は、この要件は法第150条第1項の勧告の要件の一部で、業界の実態(年間の国内出荷量など)を踏まえて決めたものであり、規制の対象そのものを縮小するものではないと答えています。

03新しい物差し「化石エネルギー消費量」

新しい制度の特徴は、ガス給湯器もエコキュートも電気温水器も、同じ物差しで比べることです。物差しは「化石エネルギー消費量」で、機種ごとに年間の電力消費量とガス消費量を計算し、それぞれ化石燃料に由来する分に換算して足し合わせます。

年間の給湯の負荷は、生活パターンと世帯人数を考えた年間の生活スケジュールに沿って、台所水栓・浴室シャワー水栓・洗面水栓・浴槽湯はり・浴槽水栓さし湯・浴槽追焚に要する湯の量を、給水温度(地域区分に応じた外気温度などから算出)から給湯温度まで温めるのに必要な熱量として計算します。暖房に使うエネルギーは含めません。

取りまとめは、この考え方に準拠した各種ツールを使って計算してもよいとし、例として「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」を挙げています。家庭用燃料電池については、建築研究所の技術情報(住宅)の第二章第二節と第八章(コージェネレーション設備)で計算すると書かれています。住宅の省エネ計算で使っている給湯の考え方と、かなり近い土台の上に作られた制度だと言えます。

表3|機種ごとのエネルギー消費量の計算の考え方

機種測定・算定の考え方対象外になるもの
ガス燃焼温水機器暖房機能のないものは JIS S2075 のモード熱効率。暖房機能付きは JIS S2109 の定格熱効率既存の告示(平成16年経済産業省告示第316号)の対象機器のうち、自然通気式のガス瞬間湯沸器
家庭用燃料電池JIS C8852 附属書B 表B-5 の設備仕様で計算。ガス消費量から、自家消費した発電分のガス消費量相当分を差し引く。逆潮流を行う場合は、所定の方法で売電分も差し引く業務用/都市ガスのうち13A以外のガスを燃料とするもの/暖房専用
ヒートポンプ温水機器JIS C9220 の年間給湯保温効率・年間給湯効率、または31日間の特定条件の性能試験業務用/冷媒に二酸化炭素以外を用いるもの/暖房用
電気ヒーター温水機器機器間の性能差が小さいので一律の計算。給湯の負荷を外気温度などで補正し、3.6MJ/kWh で電力量に換算業務用/暖房用/貯湯容量50L以下
ハイブリッド温水機器ヒートポンプの基準加熱効率と、補助熱源機(ガス瞬間式)の給湯モード熱効率業務用/都市ガスのうち13A以外のガスを燃料とするもの

出典:家庭用温水機器判断基準ワーキンググループ取りまとめ p1〜p7(「対象とする範囲」「効率値等の測定方法及び給湯エネルギー消費量の算定方法」)。ガス燃焼温水機器は「ガス温水機器の判断の基準等(平成16年経済産業省告示第316号)の対象となる機器」と定義されています。表は当社が要約したもので、細かい条件は原文をご確認ください。

こうして計算した電力消費量とガス消費量を、次の係数で化石エネルギー消費量に直します。

電気の0.412は、電気のうち化石燃料に由来する分の比率です。取りまとめは、目標年度に流通するガスや電気の化石由来の比率がこれより小さい場合は、実績値を計算するときに実際の数値を使ってもよいとしています。

電気1kWhあたりに直すと、0.412×9.40=約3.87MJです。どの機種が有利になるのかをつかむため、貯湯の損失や補機の電力を省いた単純な計算をしてみます(あくまで当社の試算で、制度の計算方法そのものではありません)。

表4|お湯の熱1MJをつくるときの化石エネルギー(貯湯の損失や補機の電力を省いた当社の単純試算)

機種と仮の効率使うエネルギー化石エネルギー
電気ヒーター(効率100%)1÷3.6=約0.278kWh約1.08MJ
ガス(仮に効率95%)1÷0.95=約1.05MJ約1.04MJ
ガス(仮に効率80%)1÷0.80=1.25MJ約1.24MJ
ヒートポンプ(仮にCOP3.0)1÷3.6÷3.0=約0.093kWh約0.36MJ

当社の試算。係数(ガス0.991、電気0.412×9.40MJ/kWh、電気ヒーターの3.6MJ/kWh)はワーキンググループ取りまとめの値ですが、効率95%・80%とCOP3.0は説明のために置いた仮の値で、特定の製品の性能ではありません。実際の制度の計算は、貯湯の熱損失、補機の電力、外気温度による補正などを含みます。

この単純な計算でも、ヒートポンプは電気ヒーターやガスの3分の1程度になり、電気ヒーターは効率95%のガスとほぼ同じ水準になります。国も意見への回答の中で、資源エネルギー庁の試算では高効率給湯器の化石エネルギー消費量は電気ヒーター温水機器より小さくなることを確認した、と述べています。

04国の目安とメーカーの目標

国は、メーカーが目標を立てるときの「目安」を、定性的なものと定量的なものの2つ示しています。

定性的な目安は、給湯器を届ける先の「環境」を2つに分け、それぞれに求める出荷を決めています。

定量的な目安は、給湯器1台・1人あたりの化石エネルギー消費量で5,605MJです。目標年度の世帯のタイプ別・給湯器の区分別の導入割合などをもとに計算した値で、前提になった出荷の割合は次のとおりです。

表5|目安の前提になった給湯器の区分別の出荷台数比率

区分目安の前提(目標年度)(参考)2023年度実績
高効率給湯器39.3%22%
潜熱回収型給湯器42.5%29%
その他の給湯器18.1%49%
全体100%100%

出典:家庭用温水機器判断基準ワーキンググループ取りまとめ p8「給湯器区分別の導入割合の集計値」。高効率給湯器はヒートポンプ給湯器・家庭用燃料電池・ハイブリッド給湯器を指します。

メーカーがすることは3つです。

国は、目標年度の実績値が目標基準値を達成しているかを判定します。方針や目標値が判断の基準を踏まえたものと認められない場合や、実績値が目標基準値を達成しない場合で、エネルギー消費性能の向上を相当程度進める必要があると認めるときは、勧告などを行う場合があるとされています。

ここで大事なのは、数値目標は個々の製品に一律に適用する基準ではなく、出荷台数で加重平均した値で見るという点です。ただし、平均値だけを満たせばよいわけではなく、環境ごとの取組の方針も判断の基準を踏まえている必要があります。化石エネルギー消費量の小さい機器の出荷割合を高めれば平均値を下げられるので、メーカーには高効率給湯器の出荷を増やす動機が生まれます。

05電気ヒーター温水器の追加に関する意見と国の回答

意見は8件寄せられ、結果の資料には、意見を整理・要約した4つの論点と国の考え方が載っています(省令・告示の改正に関する意見など、今回の対象外とされた意見には考え方が示されていません)。電気ヒーター温水機器についての意見と回答は次のとおりです。

当社の読み方では、電気ヒーター温水器を対象に入れるのは、それを優遇するためではなく、平均の計算から漏らさないためです。対象外の機器は、その出荷台数も化石エネルギー消費量も、メーカーの平均値に直接は入りません。制度の対象となるガス・電気の家庭用給湯器を同じ物差しで評価することで、「どの機器を出荷するか」が平均値に反映されやすくなります(この整理は当社の解釈で、資料にそう書かれているわけではありません)。

そのほかの論点としては、「省エネ法第149条第1項のトップランナー制度は化石・非化石の両方の合理化が対象で、化石エネルギーだけを減らす制度をそこに置くのは適切でない」という意見に対し、国は「政策目的に応じて特定のエネルギーの合理化に着目することは妨げられない」と答えています。また「ガス温水機器・電気温水機器の既存のトップランナー制度との関係が分かりにくい」という意見には、機器ごとの判断の基準は告示で定めるので、告示で既存制度との整理を明確にしたうえで、混乱が生じないよう運用すると答えています。

06住宅トップランナー制度とは別の制度です

「トップランナー」という言葉は、住宅の分野でもう1つ使われています。建築物省エネ法の住宅トップランナー制度です。名前は似ていますが、根拠の法律も、義務を負う人も違います。

表6|給湯器の新制度と、建築物省エネ法の住宅トップランナー制度

項目給湯器の新制度(今回)住宅トップランナー制度
根拠の法律省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)建築物省エネ法
義務を負う人給湯器を作る・輸入する事業者自ら定めた規格に基づいて住宅を分譲する建築主、または建設工事を請け負う者のうち、年間の戸数が政令で定める数以上のもの(努力義務)
見るもの出荷する給湯器の化石エネルギー消費量(出荷台数の加重平均)新築する規格住宅のエネルギー消費性能
基準と勧告判断の基準は告示で定める(意見募集の問合せ先は資源エネルギー庁 省エネルギー課)基準は経済産業省令・国土交通省令で定め、勧告は国土交通大臣が行う

住宅トップランナー制度の欄の出典:建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律 第21条〜第26条、同法施行令 第5条・第6条(e-Gov法令検索の現行条文)。詳しい仕組みと、改正建築物省エネ法による「上位」の制度は、当社の別記事「上位住宅トップランナー制度とは」で整理しています。

2つの制度は別物ですが、同じ方向を向いています。住宅を供給する事業者は住宅の省エネ性能を、給湯器のメーカーは給湯器の出荷の中身を、それぞれの制度で問われます。住宅トップランナー制度の対象になる事業者にとっては、住宅の一次エネルギー消費量の中で大きな割合を占めやすい給湯設備の選び方が、両方の制度から後押しされる形になります(当社の整理です)。

07設計者・建築主にとって何が変わるか

最初に確認しておくと、今回の改正は省エネ法の施行令の改正で、義務を負うのはメーカーです。住宅の省エネ計算、省エネ適判、BELSの手順や基準値を変える内容は含まれていません。そのうえで、実務に関係しそうな点を3つ挙げます。

1. 新築では、高効率給湯器が「最初の提案」になっていく
定性的な目安の①には、新築の戸建住宅と新築の共同住宅がはっきり入っています。気候・設置の空間・給湯需要の3つの要件を満たす住宅には、メーカーは高効率給湯器を出荷することを求められます。それ以外の機器を出す場合の需要条件と理由を取組の方針に書くことも想定されているので、例外のない出荷の義務ではありません。それでも、メーカーや販売店からの提案は、エコキュート、燃料電池、ハイブリッド給湯器が中心になっていくと考えられます(当社の見通しで、資料にそう書かれているわけではありません)。

2. 設置の空間を、計画の早い段階で確保する
国の目安は、①の環境の条件の1つに「設置に一定の空間を要する給湯器の設置可能性が高い住宅」を挙げています。エコキュートの貯湯タンクやヒートポンプユニットのように、機種によっては置き場所が要ります。共同住宅では、バルコニーやパイプスペースに置けるかどうかで、選べる給湯器が決まることがあります(当社の実務上の経験です)。当社では、平面計画の早い段階で、給湯器の種類と設置スペースを検討することをお勧めしています。

3. 給湯器の「化石エネルギー消費量」が表示される可能性がある
取りまとめは、表示事項の案として、品名・型名、区分名、単位化石エネルギー消費量、給湯器1台・1人あたりの一次エネルギー消費量、算定条件などを挙げています。ただし、具体的な表示事項は決まっておらず、2031年度末までに検討を終えるとされています。化石エネルギー消費量が表示されるようになっても、その値は建築物省エネ法の一次エネルギー消費量とは別の物差しです。表示の値を、そのまま省エネ計算の入力に置き換えることはできないと考えてください(当社の考えです)。

給湯設備の選び方は、住宅の一次エネルギー消費量を大きく左右します。仕様基準で給湯・温水暖房一体型を使う場合の考え方は、別記事「仕様基準でも給湯・温水暖房一体型が使えます」で、共同住宅の一次エネルギーの組み立ては「共同住宅の一次エネルギー消費量」で整理しています。

08今後決まることと、今回の資料で確認できないこと

本記事は、e-Govに掲載された意見公募要領・新旧対照条文・ワーキンググループの取りまとめと、意見募集の結果を読んで書いています。次の点は、当社が確認した資料には書かれていないか、今後決まることです。

省令・告示の改正案の意見募集が始まったら、この記事に追記します。

09よくあるご質問(FAQ)

住宅の省エネ計算(建築物省エネ法)のやり方は変わりますか。

今回の改正は、省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)の施行令の改正で、義務を負うのは給湯器を作る・輸入する事業者です。建築物省エネ法の省エネ計算、省エネ適判、BELSの手順や基準値を変える内容は含まれていません。ただし、国が示した考え方では、給湯器のエネルギー消費量の計算に「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」などを使ってもよいとされています。給湯の負荷の考え方は、住宅の省エネ計算と近いものになっています。

電気温水器(電気ヒーター式)は、今後は使えなくなるのですか。

当社が読んだ資料には、電気ヒーター温水器の製造や設置を禁止する記載はありません。新しい制度は、メーカーが国内向けに出荷する制度対象の給湯器全体について、化石エネルギー消費量を出荷台数で加重平均した値の目標を立てて守る仕組みです。数値目標は個々の製品に一律に適用する基準ではありません(ただし、環境ごとの出荷の方針も求められます)。電気ヒーター温水器は、この平均の計算に入る機器として対象に加わります。

エコキュートの現行のトップランナー基準はどうなりますか。

政令の上では、今の「電気温水機器(二酸化炭素を冷媒とするヒートポンプを用いるもの)」の号は削られ、「ガス温水機器及び電気温水機器(家庭用以外のものなどを除く)」の号にまとめられます。既存のトップランナー制度と新しい制度の関係は、意見募集でも「分かりにくい」という意見が出ており、国は「告示で既存制度との整理を明確にする」と答えています。具体的な中身は、今後の省令・告示の案を待つ必要があります。

新制度はいつから始まりますか。

e-Govの結果公示によると、政令の公布日は2026年10月7日の予定です。当社が読んだ資料(新旧対照条文)には附則が載っておらず、施行日は確認できていません。ワーキンググループの取りまとめでは、目標年度は2034年度、メーカーが目標と取組の方針を公表する期日は2027年度中とされています。省令と告示の改正については、別途意見募集をする予定とされています。

「化石エネルギー消費量」と、省エネ計算の「一次エネルギー消費量」は同じものですか。

違います。新しい制度の化石エネルギー消費量は、ガスの消費量に0.991を掛けた値と、電気の消費量に0.412と9.40MJ/kWhを掛けた値を合計したものです。電気やガスのうち化石燃料に由来する分だけを数える物差しです。建築物省エネ法の省エネ計算で使う一次エネルギー消費量とは、別の制度のために定められた指標です。当社では、この値を住宅の省エネ計算にそのまま使える値とは扱わず、用途と算定条件を確認する必要があると考えています。

業務用の給湯器も対象ですか。

対象外です。改正後の政令は「家庭用以外のもの」を除くと書いています。ワーキンググループの取りまとめでも、家庭用燃料電池・ハイブリッド・ヒートポンプ・電気ヒーターの各機種で「業務の用に供するために製造されたもの」が対象外とされています。

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Sources — 出典・参考資料

e-Gov パブリック・コメント「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律施行令の一部を改正する政令案に対する意見募集の結果について」(案件番号620126015・結果の公示日 2026年9月29日・命令等の公布日 2026年10月7日・提出意見数8・案の修正なし)
資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課「意見募集の結果について(御意見の概要及び御意見に対する考え方)」(令和8年9月29日・全2頁)
e-Gov パブリック・コメント「公募時の画面」(案の公示日 2026年6月15日・受付締切 2026年7月15日)と、添付の「意見公募要領」(令和8年6月15日・全3頁)、「新旧対照条文」(全8頁。表2はこの資料によります)
総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会「家庭用温水機器判断基準ワーキンググループ 取りまとめ」(表紙の日付 令和8年5月・全12頁。表3・表5と係数はこの資料によります)
※意見公募要領には、制度を「2025年5月に取りまとめました」とあり、取りまとめの表紙の日付(令和8年5月)と一致しません。本記事では表紙の日付を記載しています。
※表4は当社の単純試算です。仮の効率を置いたもので、特定の製品の性能や、制度の正式な計算結果ではありません。

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