シンガポール建築建設庁(BCA)は2026年9月2日、グリーンビルディング認証 Green Mark の改訂版 Version 7(GM v7)を施行し、同じ日から申請の受付を始めました。 目玉は、省エネ性能だけを見る「BCA Energy Rating」を独立した認証にしたことです。 総合評価を取った建物には、省エネの証書と総合評価の証書の2枚が出て、所有者はどちらを掲示してもかまいません。 実は旧版の Green Mark 2021 にも省エネだけの認証はありました。ただし対象は2005年の基準比60%以上の省エネを達成した建物に限られていました。 v7 は、SLEの名前が付かない段にも省エネだけの格付けを広げた改訂です。BCAの業界通達・報道発表と旧版の認証基準をもとに改訂内容を整理し、 日本のBELS・省エネ性能ラベルとCASBEEの関係と比較しました。
① GM v7 は2026年9月2日に施行。旧版 Green Mark 2021 を土台にした改訂で、狙いは「既存ストックの緑化を進める」「Super Low Energy(SLE)を主流にする」「業界の声に応えて実務的にする」の3つ。 ② 省エネ性能だけを見る BCA Energy Rating を独立した認証にした。BCAは、まだ認証に手を付けていない所有者の「新しい入口」と位置づけている。 ③ 総合評価は Energy Rating に5分野(各15点満点・10点以上でバッジ)の得点を足したもの。取った建物には証書が2枚出る。 ④ SLE70(2005年の基準比70%超の省エネ)を新設。代替冷却技術(ACTs)を、省エネ性能の不足分を補う手段として認める。 ⑤ 旧版では、省エネだけの認証は2005年比60%以上(SLE)に限られていた。新築などの認証では、GoldPLUS に50%超の省エネと30点、Platinum に55%以上と40点が必要だった。 ⑥ 旧版の申請は2027年3月31日まで。4月1日以降の新規申請は v7 だけで、政府売却地(GLS)の開発も含む。旧版の案件は2027年末までに審査完了。 ⑦ 日本は、省エネの表示(BELS・省エネ性能ラベル)と総合評価(CASBEE)が別の制度として並んでいる。シンガポールは1つの制度の中で分けた。詳細な採点方法と、SLE70以外の各段の定義・閾値は、本記事では確認していない(BCAは技術ガイドと要件を掲載するとしている)。
Green Mark は、シンガポールが2005年に始めたグリーンビルディング認証です。BCAによると、国内で2,700棟を超える建物を認証し、海外でも18か国・350件を超える案件に広がっています。当社の別記事「海外の省エネ計算とLEED・CASBEEの最新動向」では、旧版の Green Mark 2021 までを紹介しました。
その後継が今回の Green Mark Version 7(GM v7)です。2026年9月2日、国際建設環境週間(IBEW 2026)の開会式で国家開発大臣が発表し、BCAは同じ日付の業界通達で「GM v7 は2026年9月2日に施行する」と告知しました。
BCAは改訂の狙いを3つ挙げています。既存の建物ストックの緑化を進めること、Super Low Energy(SLE)の建物を主流にすること、業界の声に応えて持続可能性をより実務的で達成しやすいものにすることです。業界通達は、あわせて「より性能ベースにする」「国際的な規格との整合を強める」とも書いています。
中身でいちばん大きいのが、省エネ性能だけを見る「BCA Energy Rating」を独立した認証にしたことです。報道発表は、これを所有者が省エネ改修に投資するための「もう1つの認証の経路」と説明し、ファクトシートは「まだ緑化に取り組んでいない所有者のための、新しい入口」と書いています。
表1|Green Mark v7 の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度 | BCA Green Mark Version 7(GM v7)。旧版 Green Mark 2021(GM:2021)の改訂 |
| 運営 | シンガポール建築建設庁(Building and Construction Authority, BCA) |
| 施行・受付開始 | 2026年9月2日(BCA Energy Rating の申請もこの日から) |
| 告知 | 業界通達 BCA ID GM020926(2026年9月2日付・BCA環境持続可能性グループ) |
| 新設されたもの | 独立した BCA Energy Rating/新しい段 SLE70/代替冷却技術(ACTs)の評価 |
| 総合評価 | Energy Rating + 5分野(Intelligence・Health & Well-being・Whole Life Carbon・Resilience・Maintainability)。各15点満点、10点以上でバッジ |
| 業界協議 | 150を超える団体、280人を超える専門家 |
| パイロット | 26件(全用途)で完了 |
出典:BCA 業界通達 BCA ID GM020926(2026年9月2日)、BCA 報道発表および Media Factsheet IBEW 2026 の ANNEX B(2026年9月2日)。訳語は当社によるもので、公式な日本語訳ではありません。
v7 で何が変わったかを見るには、旧版の形を押さえておく必要があります。Green Mark 2021 の認証基準(第3版・2026年6月1日改訂)は、「エネルギー効率は GM:2021 で唯一の必須項目」と書いています。そのうえで、健康・ライフサイクルカーボン・レジリエンスなどの5分野を点数で評価します。
省エネ性能は、2005年の基準に対する削減率で測ります。評価の経路は3つあり、年間エネルギー消費量を延床面積で割ったEUI、主要な設備ごとの仕様を満たす方法、参照モデルとの比較によるエネルギー計算のいずれかで示します。
等級の組み合わせは次のとおりです。
表2|Green Mark 2021 の等級(新築・大規模改修などの Full GM:2021 certification)
| 等級 | 省エネ(2005年の基準比) | 総合評価の点数 |
|---|---|---|
| SLE(ZE・PEを含む) | 60%以上、またはZE | 不要(省エネだけの認証) |
| Platinum SLE(ZE・PEを含む) | 60%以上、またはZE | 40点 |
| GoldPLUS SLE(ZE・PEを含む) | 60%以上、またはZE | 30点 |
| Platinum | 55%以上 | 40点 |
| GoldPLUS | 50%超 | 30点 |
出典:BCA「Green Mark 2021 Certification Standard(3rd Edition)」p18 の表を当社で整理。ZE(Zero Energy)は、コンセント負荷を含む全消費エネルギーを再生可能エネルギーで賄うSLE建物、PE(Positive Energy)は全消費エネルギーの115%を敷地内の再生可能エネルギーで賄うSLE建物と定義されています(同 p4)。
表2でいちばん上の SLE が、旧版の「省エネだけの認証」です。認証基準は「GoldPLUS または Platinum の総合的な認証と、省エネだけに着目した Green Mark SLE の認証のどちらか、または両方を目指せる」と書いています。つまり省エネ単独の認証は旧版にもありました。
ただし、その入口は2005年比60%以上、SLEの水準に届いた建物だけです。表2の新築などの認証(Full GM:2021 certification)では、それより下の建物は、GoldPLUS なら50%超の省エネと総合評価30点、Platinum なら55%以上と40点をそろえる必要がありました。既存建物の運用段階の認証(In-Operation)は別の表で定められています。
なお、シンガポールでは認証とは別に、建築規制で最低水準が決まっています。同じ認証基準の附属書1によると、BCAの環境持続可能性規制は、規制の対象となる新築で50%、大規模改修など規制の対象となる既存建物で40%の省エネ(2005年の基準比)を最低水準として求めています。Green Mark はこれを上回る性能を認証する制度です。
v7 では、省エネの評価が BCA Energy Rating という独立した認証になりました。業界通達は、これを「段階(tiered)の枠組み」と書き、所有者が自分の建物の省エネ性能を比べたり、外に示したりしやすくするためのものだと説明しています。
どんな段があるかは、報道発表のファクトシートにあるパイロット26件の一覧から読み取れます。一覧の「Energy Rating」欄には、ZE・PE・SLE70・SLE60・EE55・EE50・EE45 の7種類が出てきます。このうち定義が書かれているのは SLE70 だけで、「建物用途の2005年の基準に対して70%を超える省エネ」とされています。BCAは SLE70 を、2030年までに最優良の建物で2005年比80%の省エネ改善を目指す国の目標への「足がかり」と位置づけています。
ほかの段(EE45〜EE55・SLE60)の定義は、ファクトシートには書かれていません。段の名前の数字は削減率を示しているようにも見えますが、これは当社の推測で、BCAの資料で確かめたものではありません。閾値は技術ガイドで確認する必要があります。
総合評価の BCA Green Mark は、この Energy Rating に5分野の得点を足したものです。各分野は15点満点で、10点以上の分野には「バッジ」が付きます。ここは旧版のバッジと同じ考え方です。変わったのは証書の出し方で、総合評価を取った建物には、省エネの等級を示す証書と、総合評価の等級を示す証書の2枚が別々に出ます。所有者は目的や相手に応じて、どちらか一方、または両方を掲示できます。
もう1つの新しい要素が代替冷却技術(ACTs)です。ハイブリッド冷却、アクティブチルドビーム、パッシブな置換冷却などで、BCAは「従来の空調に比べて最大50%の省エネを達成できる」としています。v7 では、これらが省エネ性能の不足分を補う手段として認められます。
表3|旧版 Green Mark 2021 と v7 の違い
| 項目 | Green Mark 2021 | Green Mark v7 |
|---|---|---|
| 省エネだけの認証 | Green Mark SLE(2005年比60%以上、またはZE)に限られる | BCA Energy Rating として独立。パイロットでは EE45〜ZE・PE の段が出ている |
| 総合評価の構成 | 省エネ(唯一の必須項目)+5分野の点数 | Energy Rating + 5分野の点数 |
| 5分野の配点 | 各15点満点・10点以上でバッジ | 各15点満点・10点以上でバッジ |
| 省エネと総合評価の証書の分離 | — | 2枚(省エネの等級/総合評価の等級)。どちらか、または両方を掲示できる |
| SLE関連の等級 | SLE・ZE・PE | SLE70(2005年比70%超)を新設。パイロット一覧には SLE60・ZE・PE も出ている |
| 代替冷却技術 | — | 省エネ性能の不足分を補う手段として認める |
| 認証の有効期間 | 3年 | 省エネ性能を維持できている建物は最長5年 |
| 複数棟の同時再認証 | — | 似た建物を多数持つ所有者は複数棟を同時に再認証できる(In-Operations の Pathway 1 EUI の案件のみ) |
出典:Green Mark 2021 側は Certification Standard(3rd Edition)p16〜p19(有効期間3年は報道発表 第13項とファクトシート ANNEX B 第12項の「現行3年」の記載による)、v7 側は BCA 業界通達(2026年9月2日)と報道発表・ファクトシート ANNEX B。「—」は、当社が読んだ資料に該当する記載がなかったことを示します(制度に存在しないという意味ではありません)。
ファクトシートには、v7 のパイロットを終えた26件の一覧が載っています。「Green Mark & Badges」の欄が空欄(「-」)になっている建物は、総合評価を付けずに Energy Rating だけを受けたものと読めます。旧版で省エネだけの認証が取れたのは SLE(2005年比60%以上)に限られていました。v7 では、EE55・EE50 のように SLE の名前が付かない段でも、総合評価の欄が空欄の案件が出ています(各段の閾値は確認していません)。
表4|パイロットのうち、総合評価の欄が空欄の5件
| No. | 建物 | Energy Rating |
|---|---|---|
| 22 | Benoi Factory | PE |
| 23 | UOB Tower 80 | SLE60 |
| 24 | SMU Administration Building(大学の管理棟・2005年竣工) | SLE60 |
| 25 | NUS E7 Building | EE55 |
| 26 | 30 Teban Gardens Crescent | EE50 |
出典:BCA Media Factsheet IBEW 2026 ANNEX B「Full List of Pilot Projects」。No. は一覧の番号です。一覧の「Green Mark & Badges」欄が「-」の案件を当社で抜き出しました。「-」を「Energy Rating だけを受けた」と読むのは当社の解釈です。
わかりやすいのが SMU Administration Building です。2005年6月に竣工した延床約22,000㎡、14階建ての大学の管理棟で、2026年に熱源機の更新、空調機の最適化、太陽光パネルの設置、計測機器の更新、照明の高効率化などの改修を行いました。BCAによると、この建物は v7 のパイロットで SLE60 の暫定(Provisional)の格付けを受け、改修の投資回収期間は4年未満とされています。
既存の建物の所有者に、まず省エネ改修の投資回収で認証の世界に入ってもらう。BCAが Energy Rating を「新しい入口」と呼ぶのは、こうした使い方を想定しているからだと考えられます。
反対に、両方を取った例もあります。一覧の1番、オーチャード地区の Comcentre(20階建てのオフィス2棟・延床10万㎡超)は、Energy Rating が ZE、総合評価が Platinum、バッジ5つです。アクティブチルドビームと2温度の熱源プラントなどの代替冷却技術で、2005年比70%を超える省エネを見込んでいます。
移行のしかたは、業界通達の第7・8項に書かれています。旧版はすぐには終わらず、6か月の猶予期間が置かれています。
表5|Green Mark 2021 から v7 への移行
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年9月2日 | GM v7 施行。v7 の申請受付を開始(BCA Energy Rating を含む) |
| 2027年3月31日 | Green Mark 2021 の申請受付の最終日(6か月の猶予期間) |
| 2027年4月1日 | 新規の申請はすべて v7 だけで審査。2022年6月30日以降に政府売却地(GLS)プログラムで売却された土地の開発も含む |
| 2027年末 | 2027年4月1日より前に Green Mark 2021 で申請した案件は、この時までに審査を終えて Letter of Award を受ける |
出典:BCA 業界通達 BCA ID GM020926(2026年9月2日)第7項・第8項。ファクトシートは同じ内容を「Green Mark 2021 は並行して続け、申請は2027年4月1日から締め切り、進行中の審査は2027年末までにすべて終える」と書いています。
申請の締切と、審査完了の締切が別々に置かれている点に注意が必要です。2027年3月に旧版で申請しても、2027年のうちに審査が終わらなければ旧版では認証を受けられません。設計の工程が長い案件ほど、どの版で審査されるかを申請の時期と合わせて早めに確かめておく必要があります。
もう1つ、日本の読者に知っておいてほしいのが政府売却地(GLS)の扱いです。シンガポールでは、政府が売却した土地の開発のうち、建築規制(Building Control (Environmental Sustainability) Regulations 2008)でより高い Green Mark の水準を求められる案件は、Green Mark の申請が義務になっています。旧版の認証基準(2026年6月1日改訂)によると、設計・施工段階で暫定の Green Mark 証書を取り、仮使用許可(TOP)の手続きでその証書を出し、TOPから12か月以内に検証を終え、CSC(法定完了証明)の前に本証書を受ける流れです。認証が行政の手続きの中に組み込まれているわけで、v7 の移行もこの手続きに直接かかわります。
日本では、省エネ性能の表示と環境性能の総合評価は、別の制度です。
省エネ性能は、建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度(2024年4月開始)のラベルで示します。国土交通省によると、ラベルにはエネルギー消費性能(BEIを星の数で表示)が載り、住宅のラベルでは断熱性能も必須項目です。評価は販売・賃貸事業者の自己評価か、評価機関による第三者評価(BELS)のどちらかです。
環境性能の総合評価は CASBEE です。IBECsによると、CASBEE は省エネや資機材の環境配慮に加え、室内の快適性や景観への配慮まで含めて建物を総合的に評価する手法で、BEE(建築物の環境性能効率)を指標に、Sランクから Cランクまでの5段階で格付けします。IBECsは、一部の地方公共団体で届出制度としての活用が進んでいるとしています。
シンガポールの v7 は、1つの認証制度の中で、省エネの格付けと総合評価を2枚の証書に分けた形です。日本は、2つの制度が並んでいて、同じ建物で両方を取る形になります。制度の組み立ては違いますが、「省エネだけの評価」と「総合評価」を別々に示せる、という点では近い形になりました(当社の整理です)。
表6|シンガポールの Green Mark v7 と、日本の BELS・CASBEE
| 項目 | シンガポール(Green Mark v7) | 日本 |
|---|---|---|
| 省エネだけの評価 | BCA Energy Rating(Green Mark の中の独立した認証) | 省エネ性能表示制度のラベル。第三者評価は BELS |
| 総合評価 | BCA Green Mark(Energy Rating + 5分野) | CASBEE(BEE で S〜C の5段階) |
| 制度の関係 | 1つの制度。総合評価を取ると証書が2枚出る | 別々の制度。第三者の評価・認証を受ける場合は、それぞれの制度で手続きする |
| 省エネの物差し | 建物用途ごとの2005年の基準に対する削減率 | BEI(国の省エネ基準からどの程度エネルギー消費を削減できているかを見る指標) |
| 断熱性能の表示 | 当社が読んだ v7 の資料には記載なし | 住宅のラベルでは必須項目 |
| 行政手続きとの関係 | 旧版の認証基準によると、政府売却地の一部の開発は Green Mark の申請が義務。建築規制は、規制対象の新築に50%、大規模改修など規制対象となる既存建物に40%の省エネを最低水準として求める(v7 で変わるかは未確認) | 一部の地方公共団体で、CASBEE が届出制度として活用されている |
出典:シンガポール側は BCA 業界通達・報道発表・ファクトシート ANNEX B・Green Mark 2021 Certification Standard(3rd Edition)、日本側は国土交通省「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」と IBECs「CASBEEの概要」「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」。対比は当社による整理で、両国の制度が同じ役割を持つことを示すものではありません。
物差しの違いにも触れておきます。シンガポールの削減率は2005年の基準に対するもので、日本のBEIは国の省エネ基準に対してどの程度削減できているかを見る指標です。基準線が違うので、「SLE70 だから BEI0.3」のように読み替えることはできない、というのが当社の整理です。基準線の考え方の違いは、別記事「日本と海外の省エネ基準を比較する」で整理しています。
実務に引き寄せると、v7 は2つの場面で関係してきます。1つは、日本の会社がシンガポールで建物を計画・保有する場合です。申請の時期で版が変わり、政府売却地の案件では手続きそのものに Green Mark が入ってきます。もう1つは日本国内で、既存の建物の省エネ改修を先に進め、省エネの評価を取ってから総合評価に進む、という順番を施主に説明するときの参考になります。日本でも BELS と CASBEE は別の制度なので、シンガポールが制度として用意した「新しい入口」に近いことは、取る順番の組み立てで実現できると考えられます(当社の考えで、制度として用意されたものではありません)。
本記事は、BCAの業界通達・報道発表・ファクトシートと、旧版の認証基準を読んで書いています。次の点は、当社が確認した資料には書かれていないため扱っていません。
go.gov.sg/gmv7 に置くとしていますが、今回は読めていませんBCAは、技術ガイドと要件を go.gov.sg/gmv7 に掲載するとしています。確認できた点は、この記事に追記します。
初めてではありません。旧版の Green Mark 2021 の認証基準(第3版)には、総合評価の Platinum・GoldPLUS とは別に、省エネだけに着目した「Green Mark SLE」の認証が用意されていました。ただしその条件は2005年の基準比で60%以上の省エネ、またはゼロエネルギーで、Super Low Energy の水準に届いた建物に限られていました。新築などの認証では、それより下の建物は、GoldPLUS なら50%超の省エネと30点、Platinum なら55%以上と40点をそろえる必要がありました。v7 では省エネだけを見る BCA Energy Rating が独立した認証になり、パイロット26件の一覧には、SLE の名前が付かない EE55・EE50 の段で総合評価の欄が「-」になっている建物も載っています(これを省エネの格付けだけを受けたものと読むのは当社の解釈です)。
BCAの業界通達によると、総合評価(holistic)の BCA Green Mark を取った建物には、省エネの等級を示す証書と、総合評価の等級を示す証書が別々に発行されます。所有者は目的や相手に応じて、どちらか一方、または両方を掲示できます。総合評価は Energy Rating に、Intelligence・Health & Well-being・Whole Life Carbon・Resilience・Maintainability の5分野の得点を足したものです。各分野は15点満点で、10点以上を取った分野には「バッジ」が付きます。
単純には換算できません。シンガポールの削減率は、建物用途ごとに2005年の基準を置いて測ったものです。日本のBEIは、国の省エネ基準からどの程度エネルギー消費を削減できているかを見る指標です。基準線の置き方が違うので、「70%削減=BEI0.3」のようには読み替えられない、というのが当社の整理です。基準線の違いについては、当社の別記事「日本と海外の省エネ基準を比較する」で整理しています。
BCAの業界通達では、Green Mark 2021 の申請は6か月の猶予期間として2027年3月31日まで受け付け、2027年4月1日以降の新規申請はすべて v7 で審査するとしています。2022年6月30日以降に政府売却地(GLS)のプログラムで売却された土地の開発も含みます。また2027年4月1日より前に Green Mark 2021 で申請した案件は、2027年末までに審査を終えて Letter of Award(認証の通知)を受けなければなりません。申請の締切と審査完了の締切が別に置かれているので、設計の工程が長い案件ほど注意が必要です。個別の案件の扱いは、BCAの最新の資料で確認してください。
当社が参照した資料には、そうした制度改正の記載はありません。日本では、省エネ性能の表示は建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度(BELSによる第三者評価、または事業者の自己評価)、環境性能の総合評価はCASBEEと、別の制度として並んでいます。シンガポールの v7 は、1つの認証制度の中で省エネの格付けと総合評価を2枚の証書に分けた例で、日本とは制度の組み立てが違います。どちらの形が良いかを本記事で評価するものではありません。
Green Mark 2021 第2版、LEED v5、BREEAM V7、CASBEEの海外実績。
窓のU値・BEIの基準年・評価の枠組み。削減率とBEIが読み替えられない理由。
省エネ性能ラベルの第三者評価から評価書の取得まで。
CASBEE建築評価員が目標ランクから逆算。認証・自治体への届出まで。
CASBEE-ウェルネス不動産・TSUNAG認定・ResReal認証。
東京都の環境計画書制度の届出と根拠資料の作成。
Sources — 出典・参考資料
シンガポール建築建設庁(BCA)業界通達「Industry Circular on Launch of BCA Green Mark Version 7 (GM v7)」(BCA ID GM020926・2026年9月2日・全6頁。表1・表5はおもにこの資料によります)
同 報道発表「Next Phase of Research and Innovation Funding Initiatives, Refreshed Green Mark and New Accreditation Scheme Drive Singapore's Built Environment Forward」(2026年9月2日)および添付の Media Factsheet IBEW 2026 ANNEX B(表4はこの資料によります)
同「Green Mark Version 7」(掲出ページ)
同「Green Mark 2021 Certification Standard (3rd Edition)」(2021年9月7日公表・2026年6月1日改訂。表2はこの資料によります)
国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」
一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)「CASBEEの概要」、同「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」
※本記事の訳語はすべて当社によるもので、公式な日本語訳ではありません。数値・定義・日付を実務で用いる際は、上記の原文をご確認ください。
※GM v7 の詳細な採点方法と各段の閾値(技術ガイド)は、本記事の時点で当社は読んでいません。段の名前(EE45〜SLE70)はパイロット一覧に出てくる表記で、SLE70 以外の定義は確認していません。
※表4の「総合評価の欄が空欄=Energy Rating だけを受けた」という読み方は当社の解釈です。