2026年7月に成立・公布された改正建築物省エネ法(令和8年法律第75号)にもとづく最初の政令案が、いま意見募集にかかっています。中身は「上位住宅トップランナー事業者」を指定するための戸数ひとつだけ。建売戸建て住宅・分譲マンション・注文戸建て住宅が各2,000戸、賃貸アパートが15,000戸です。施行は2027年4月1日の予定。意見募集の締切は2026年9月6日17時です。改正法といえばライフサイクルカーボンの話が有名ですが、先に動くのはこちらです。公表資料を直接読んで整理しました。
① 改正建築物省エネ法の政令案が意見募集中。締切は2026年9月6日17時。② 定めるのは上位住宅トップランナー事業者の指定基準戸数だけ。③ 戸数は建売2,000戸・分譲マンション2,000戸・注文2,000戸・賃貸アパート15,000戸(前年度の供給戸数)。④ 現行の住宅トップランナー(150戸・300戸・1,000戸)とは桁がひとつ違う。狙いは市場の上位4分の1。⑤ 指定されると中長期的な計画の作成と取組状況の報告が義務になる。⑥ ライフサイクルカーボンの話はこの政令案には入っていません。施行は2027年4月1日。
2026年7月、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第75号)が成立・公布されました。この改正法は、建築物の使用段階の省エネ性能をさらに引き上げることに加えて、建設から解体までのライフサイクル全体の脱炭素化を進めることを目的にしています。
その改正法が政令に委任している事項を定めるため、国土交通省が建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案をまとめ、2026年8月7日から意見募集(パブリックコメント)を行っています。締切は2026年9月6日17時です。
この政令案が定めるのは、「上位住宅トップランナー事業者」を指定するための戸数ひとつだけです。改正法にはほかにも制度が入っていますが、それらは施行時期が違うため、政令も分かれて出てきます。今回の政令案の施行は2027年(令和9年)4月1日の予定です。
いつから:公布は令和8年9月、施行は令和9年(2027年)4月1日の予定。
誰に効くか:規格住宅を年2,000戸(賃貸アパートは15,000戸)以上供給する事業者。大手ハウスメーカー・大手デベロッパーが想定されています。
いま必要なこと:1棟ごとの申請実務は変わりません。該当しうる事業者は、意見募集の締切(9月6日17時)までに意見を出せます。
表1|意見募集の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 案件名 | 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集について |
| 案件番号 | 155260719 |
| 所管 | 国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付 |
| 案の公示日 | 2026年8月7日 |
| 受付期間 | 2026年8月7日17時 〜 2026年9月6日17時(郵送は期限必着) |
| 根拠法令条項 | 改正後の法 第22条の2 第1項・第5項、第25条の2 第1項・第5項 |
| 手続の種類 | 行政手続法に基づく手続 |
| 今後の予定 | 公布 令和8年9月/施行 令和9年4月1日(改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日) |
出典:e-Gov パブリック・コメント 案件番号155260719 の案件ページ、および「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案について(概要)」(令和8年8月・国土交通省住宅局)。
建築物省エネ法には、1棟ごとの適合義務とは別に、事業者単位で省エネ性能の引き上げを促す仕組みがあります。それが住宅トップランナー制度です。
対象になるのは、自らが定めた規格にもとづいて住宅を供給する事業者のうち、年間の供給戸数が政令で定める数以上のものです。現行法では、この条件に当てはまると自動的に「特定一戸建て住宅建築主」などに該当し、住宅トップランナー基準に適合させる努力義務を負います(法第21条・第24条)。
努力義務といっても放置されるわけではありません。国土交通大臣は、性能の向上を相当程度行う必要があると認めるときは目標を示して勧告でき(法第23条第1項・第26条第1項)、勧告に従わなければその旨を公表でき(同第2項)、正当な理由なく措置をとらない場合は社会資本整備審議会の意見を聴いて命令を出すこともできます(同第3項)。報告徴収と立入検査の規定もあります(同第4項)。
表2|現行の住宅トップランナー制度 — 4つの類型と戸数・基準
| 類型 | 現行の戸数 | 住宅トップランナー基準(省令) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 建売戸建て住宅 (分譲型一戸建て規格住宅) | 150戸 | 令和8年度までは設計一次エネルギー消費量の合計が基準一次エネルギー消費量の合計を超えないこと。令和9年度以降は誘導基準の外皮基準に適合させ、誘導設計一次エネルギー消費量の合計が基準を超えないこと、かつ太陽光発電設備の設置割合37.5%以上 | 令 第5条第1項 省令 第8条第1項 |
| 分譲マンション (分譲型規格共同住宅等) | 1,000戸 | 令和8年度以降、誘導基準の外皮基準に適合させ、設計一次エネルギー消費量の合計が基準一次エネルギー消費量の合計を超えないこと(太陽光の設置割合の要件はなし) | 令 第5条第2項 省令 第8条第2項 |
| 注文戸建て住宅 (請負型一戸建て規格住宅) | 300戸 | 令和8年度までは設計一次エネルギー消費量の合計が基準を超えないこと。令和9年度以降は誘導基準の外皮基準に適合させ、誘導設計一次エネルギー消費量の合計が基準を超えないこと、かつ太陽光発電設備の設置割合87.5%以上 | 令 第6条第1項 省令 第9条の2第1項 |
| 賃貸アパート (請負型規格共同住宅等) | 1,000戸 | 令和8年度までは設計一次エネルギー消費量の合計が基準を超えないこと。令和9年度以降は誘導基準の外皮基準に適合させ、誘導設計一次エネルギー消費量の合計が基準を超えないこと(太陽光の設置割合の要件はなし) | 令 第6条第2項 省令 第9条の2第2項 |
出典:建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令 第5条・第6条、建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令 第8条・第9条の2(いずれもe-Gov法令検索の現行条文)。※表中の「誘導基準の外皮基準」は省令第10条第2号イ(1)で、6地域なら外皮平均熱貫流率0.60以下・冷房期の平均日射熱取得率2.8以下です。※太陽光発電設備の設置割合は、垂直積雪量1m以上の地域や、敷地面積85㎡未満で北側斜線の高さ制限がかかる地域などを母数から除くことができます。
建売・注文の設置割合には、ただし書きで除外規定があります。国土交通省の技術的助言(令和8年4月24日 国住参建第617号)の別紙4では、除外できるケースが具体的に整理されています。
雪:垂直積雪量1m以上の地域(融雪機能付き太陽電池モジュールを用いて対応した場合を除く)
狭小地の高さ制限:敷地面積85㎡未満の住宅のうち、高さの最高限度が定められた地域内にあるもの(平屋を除く)。ここは根拠条文の対応が資料によって異なります。現行の省令条文(e-Gov法令検索)では、ただし書きロが建築基準法第56条第1項第3号(北側斜線)の高さの最高限度が定められた地域とされています。一方、別紙4の表ではただし書きロが建築基準法第58条(高度地区)による高度制限、ただし書きハの①が北側斜線かつ狭小地、と整理されています。どちらの資料も両方を除外対象として挙げている点は共通していますので、実務上は両方が対象になると理解したうえで、記号の対応は提出先にご確認ください。
別紙4がただし書きハ(国土交通大臣が認めるもの)として挙げるもの:日影規制(法第56条の2により条例で指定する区域内で北側に高さ制限を受けるもの)/周囲に高層建築物や傾斜地があり日照条件が著しく低下する可能性があるもの/景観地区等で形態・意匠のルールが課されているもの/光害を隣接住戸に与える可能性があるもの(防眩仕様で防止した場合を除く)/台風災害または風速制限/塩害/降灰/標高制限/屋根の形状が不整形または狭小で設置可能面積が小さいもの。
設置率の計算方法は2通り考えられるとしたうえで、「設置が困難な住宅を母数から除く」方法1での報告が推奨されています。なお別紙4には、今後の設置困難事例の状況や次世代型太陽電池(ペロブスカイト等)の開発・普及状況を踏まえ、整理に変更が生じた場合は改めて通知する旨の注記があります。
今回の改正法は、この制度の上にもう一段を積みます。より高い省エネ性能を有する住宅の供給を促進する観点から、住宅の供給量が特に多い事業者を国土交通大臣が指定するという仕組みです(新法第22条の2、第25条の2)。指定を受けた事業者が「上位住宅トップランナー」です。
指定の基準は、前年度の住宅の供給量が「住宅市場に占める割合が特に大きいものとして政令で定める戸数以上である」こと。その戸数を決めるのが、今回の政令案です。
表3|現行の住宅トップランナー と 上位住宅トップランナー(政令案)の戸数対照
| 類型(改正後の法令上の呼称) | 一般的な呼び方 | 現行 | 上位(政令案) | 政令案の条項 |
|---|---|---|---|---|
| 特別特定一戸建て住宅建築主 (新法22条の2第2項) | 建売戸建て住宅 | 150戸 | 2,000戸 | 新 第6条第1項 |
| 特別特定共同住宅等建築主 (同条第6項) | 分譲マンション | 1,000戸 | 2,000戸 | 同条第2項 |
| 特別特定一戸建て住宅建設工事業者 (新法25条の2第2項) | 注文戸建て住宅 | 300戸 | 2,000戸 | 新 第8条第1項 |
| 特別特定共同住宅等建設工事業者 (同条第6項) | 賃貸アパート | 1,000戸 | 15,000戸 | 同条第2項 |
出典:政令案の概要(令和8年8月・国土交通省住宅局)。現行の戸数は建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令 第5条・第6条。※政令案では条番号が第6条・第8条に移ります。※現行の戸数は「その一年間に新築する戸数」、上位の戸数は「前年度の供給量」で、条文上の表現が異なります。
建売戸建てで150戸から2,000戸へ約13倍、注文戸建てで300戸から2,000戸へ約6.7倍、賃貸アパートで1,000戸から15,000戸へ15倍。分譲マンションだけが1,000戸から2,000戸への2倍で、他より上げ幅が小さくなっています。
賃貸アパートの15,000戸という数字は一見突出して見えますが、これは住戸の数で数えるためです。共同住宅等の類型は戸建てと母数の単位が違う、と考えると理解しやすくなります。
戸数の決め方は、規制の事前評価書にはっきり書かれています。
2021〜2024年度の4年間における住宅トップランナー事業者による供給実績を踏まえ、住宅市場全体の累積供給量の上位4分の1を占める事業者が上位住宅トップランナーとして指定されるように、前年度の供給戸数の基準を設定した、というものです。
つまり「市場の4分の1を握る事業者に、計画と報告を義務づける」という設計です。数を絞ることで実効性を確保する考え方で、規制の事前評価書の「利害関係者からの意見聴取」欄にも、市場への影響力が大きい大手事業者が牽引していくべきという意見があったことが記されています。
制度の出どころは、社会資本整備審議会建築環境部会(令和6年11月11日・12月12日、令和7年1月20日)での検討と、それを踏まえた第四次答申「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方」(令和7年1月29日公表)です。
ここが現行制度との一番大きな違いです。現行は「戸数の条件に当てはまれば自動的に該当し、基準に適合させる努力義務を負う」という形でした。改正後は、届出 → 大臣による指定 → 計画の作成と報告という手順を踏みます。
表4|現行の住宅トップランナー と 上位住宅トップランナーの義務の違い
| 項目 | 現行の住宅トップランナー | 上位住宅トップランナー(改正後) |
|---|---|---|
| 該当のしかた | 年間の新築戸数が政令の数以上であれば自動的に該当(指定の手続きはない) | 前年度の供給戸数が基準戸数以上になったら国土交通大臣に届け出る。そのうえで大臣が指定する |
| 課されるもの | 住宅トップランナー基準に適合させる努力義務(法第21条・第24条) | 中長期的な計画の作成(新法第22条の4・第25条の4)とその取組状況の報告(新法第22条の5・第25条の5)が義務 |
| 行政の関与 | 勧告 → 従わない旨の公表 → 社会資本整備審議会の意見を聴いたうえでの命令。報告徴収・立入検査あり(法第23条・第26条) | 今回の政令案の概要には記載がありません(改正法本体の規定によります) |
| 根拠となる戸数 | その一年間に新築する戸数 | 前年度に供給した戸数 |
出典:建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律 第21条〜第26条(現行条文)、および政令案の概要・規制の事前評価書(令和8年8月)。※届出義務は改正法第22条の2第2項・第6項、第25条の2第2項・第6項に規定されています。
なお規制の事前評価書の「負担の把握」では、本規制案は指定の基準となる戸数を定めるものであり、新たな遵守費用・行政費用は想定されないとされています。義務そのものは改正法で決まっていて、政令案は「誰が対象か」の線を引くだけ、という整理です。
事後評価は、この政令の施行から5年を経過した時点で実施される予定です。
改正建築物省エネ法というと、ライフサイクルカーボンの評価が法制化されたことがよく話題になります。ここで取り違えが起きやすいので、切り分けておきます。
今回の政令案は、概要にあるとおり改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行に伴うものです。その施行日が2027年4月1日で、中身は上位住宅トップランナーの指定戸数だけ。ライフサイクルカーボンに関する規定は、この政令案には含まれていません。
ライフサイクルカーボンの届出義務は施行時期が異なり、その対象範囲は別途政令で定めることとされています。つまり同じ改正法から出てくる政令でも、施行時期ごとに分かれて出てくるということです。今回の意見募集で意見を出せるのは、あくまで戸数の部分に限られます。
東京都の建築物環境計画書制度でも、LCCO2算定の義務化に向けた改正案が示されていますが、こちらは都の制度で、国の制度に対象建物と施行日をそろえる方針が示されている段階です。制度の名前も担当も違いますので、混ぜないでください。
①「改正建築物省エネ法=ライフサイクルカーボン」ではありません。今回のように、事業者単位の制度が先に施行される部分があります。
② 上位住宅トップランナーは事業者単位の制度です。1棟ごとの省エネ適合性判定・届出とは別の話で、今回の政令案の範囲では申請実務は変わりません。
③ 現行の住宅トップランナー制度が無くなるわけではありません。150戸・300戸・1,000戸の線はそのまま残り、その上に2,000戸・15,000戸の線が加わる形です。
意見募集要領によれば、提出方法は4つ用意されています。電話での受付はありません。
表5|意見の提出方法(意見募集要領より)
| 方法 | 宛先・注意点 |
|---|---|
| インターネット | e-Gov(電子政府の総合窓口)の意見提出フォーム |
| 電子メール | hqt-kenshi@gxb.mlit.go.jp ※題名を「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案に関する意見」とすること |
| FAX | 03-5253-1630 |
| 郵送 | 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3 国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付 パブリックコメント担当 宛 ※上記の件名を明記。2026年9月6日必着 |
出典:「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集要領」(令和8年8月・国土交通省住宅局)。意見は日本語で提出します。意見提出用紙には氏名(フリガナ)・住所・所属(会社名・部署名)・電話番号・電子メールアドレス・ご意見の欄があります。
注意事項として、個別の回答はされないこと、および住所・電話番号・電子メールアドレスを除いて公開される可能性があることが明記されています。会社名は公開され得る前提で書くことになります。
資料は e-Gov のほか、国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付(東京都千代田区霞が関 中央合同庁舎3号館2階)の窓口でも配布されています。
結論から言うと、いま設計中・申請中の物件で変えることはありません。この制度は事業者単位で、1棟ごとの計算方法や提出図書に手を入れるものではないからです。そのうえで、立場によって見ておくとよい点が違います。
① 規格住宅を大量に供給している事業者の方。前年度の供給戸数が2,000戸(賃貸アパートは15,000戸)に届くかどうかを確認してください。届く場合、施行後は届出が必要になり、指定されれば中長期的な計画の作成と報告が義務になります。意見があれば9月6日17時までです。
② 大手ハウスメーカー・デベロッパーの仕事を受けている設計事務所の方。直接の手続きは増えませんが、発注者が中長期計画を作る立場になると、標準仕様の省エネ水準やその引き上げ時期が計画に書き込まれます。求められる水準が発注者側の都合で動く可能性があるという意味で、間接的に効いてきます。
③ それ以外の設計事務所・工務店の方。年2,000戸は現実的な射程ではありませんので、今回の政令案の直接の影響はありません。ただし令和9年度(2027年度)以降の現行トップランナー基準のほうは、太陽光発電設備の設置割合(建売37.5%・注文87.5%)を含めて既に省令に書かれています。取引先が対象事業者なら、そちらの影響のほうが先に出ます。
当社は省エネ計算の代行を、省エネ適合性判定やBELS・住宅性能評価まで同じ担当者が通しで見る形でお受けしています。制度改正のたびに前提から説明し直す手間がかかりません。今回のような法令改正が自社の案件にどう効くのか分からない、というご相談も承ります。
対象は、自らが定めた規格に基づいて住宅を供給する事業者のうち、前年度の供給戸数が政令で定める戸数以上のものです。政令案の戸数は、建売戸建て住宅・分譲マンション・注文戸建て住宅がそれぞれ2,000戸、賃貸アパートが15,000戸。規制の事前評価書には、2021〜2024年度の4年間の供給実績を踏まえ、住宅市場全体の累積供給量の上位4分の1を占める事業者が指定されるように設定した、と書かれています。つまり想定されているのは大手ハウスメーカーや大手デベロッパーです。年間2,000戸というのは、一般的な工務店や設計事務所が届く水準ではありません。
今回の政令案が定めているのは戸数だけです。概要によれば、指定を受けた事業者に課されるのは、中長期的な計画の作成(新法第22条の4、第25条の4)と、その計画の取組状況の報告(新法第22条の5、第25条の5)です。上位向けの上乗せの基準値を政令で定めるという記載は、今回公表されている概要と規制の事前評価書のどちらにもありません。なお現行の住宅トップランナー基準そのものは省令で定められており、そちらは別に令和9年度以降の水準が既に規定されています。
今回の政令案の範囲では、ありません。上位住宅トップランナー制度は事業者単位の制度で、対象になるのは規格住宅を大量に供給する事業者です。1棟ごとの省エネ適合性判定や届出の手続き、計算方法、提出図書が変わるという記載は、概要にも規制の事前評価書にもありません。規制の事前評価書の「負担の把握」でも、本規制案について新たな遵守費用・行政費用は想定されない、とされています。影響が出るとすれば、指定を受けた発注者側が中長期計画の中で自社の標準仕様を引き上げ、その結果として設計に求める水準が上がる、という間接的な形になります。
違います。ここは取り違えやすいところです。改正建築物省エネ法にはライフサイクルカーボンの評価制度も入っていますが、今回の政令案は改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行に伴うもので、施行日は2027年4月1日。中身は上位住宅トップランナーの指定戸数だけです。ライフサイクルカーボンの届出義務は施行時期が異なり、その対象範囲を定める政令は今回の案には含まれていません。同じ改正法から出てくる政令でも、施行時期ごとに分かれて出てくる、と理解しておくのが安全です。
今回の政令案とは別に、省令のほうで令和9年度(2027年度)以降の水準が既に定められています。建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令の第8条・第9条の2によれば、建売戸建て住宅と注文戸建て住宅は、令和9年度以降に新築するものについて誘導基準の外皮基準(省令第10条第2号イ(1))に適合させ、誘導設計一次エネルギー消費量の合計が基準一次エネルギー消費量の合計を超えないようにしたうえで、太陽光発電設備が設置されているものの割合を建売で37.5%以上、注文で87.5%以上とすることが求められます。これは今回の政令案で新設されるものではなく、すでに省令に書かれている水準です。
意見募集要領によれば、受付は2026年8月7日17時から2026年9月6日17時まで(郵送は必着)。提出方法は、e-Govの意見提出フォーム、電子メール(hqt-kenshi@gxb.mlit.go.jp/題名を「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案に関する意見」とする)、FAX(03-5253-1630)、郵送(〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3 国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付 パブリックコメント担当 宛)のいずれかです。電話での受付はありません。個別の回答はされないこと、住所・電話番号・電子メールアドレスを除いて公開される可能性があることが明記されています。
第四次答申で決まっていること・まだ示されていないこと。
経産省の告示改正案(基準2.97・2030年度)と省エネ計算の関係。
メーカーが2034年度の化石エネルギーの目標を公表。電気ヒーター温水器も対象に。
2050先導型住宅推進事業 第2回。断熱等級5・一次エネ等級6が必須要件。10月19日締切。
法第30条の2「同等性の認定」。誘導基準に「同等以上」で性能向上計画認定と容積率の特例。
建築物通算炭素排出量評価と、LCCO2の計算のしかた。
参照期間50年・必須16のライフサイクル段階。日本のJ-CATとの違い。
住宅・非住宅の省エネ計算をまとめてお受けします。
改正建築物省エネ法とライフサイクルカーボン評価。
LCCO2算定の義務化と省エネ性能基準の強化。
2026年10月改定で変わる7項目。
窓のU値・BEI・評価の枠組みの違い。
省エネ性能ラベルと評価書の作成。
分譲マンション・賃貸アパートの計算の前提。
BEI・誘導基準・トップランナー基準など。
Sources — 出典・参考資料
e-Govパブリック・コメント「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集について」(案件番号155260719・案の公示日2026年8月7日)
国土交通省住宅局「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案について(概要)」(令和8年8月・全1ページ)
同「規制の事前評価書」(令和8年8月7日・全3ページ)/同「意見募集要領」
建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号) 第21条〜第26条(現行条文)
建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令(平成28年政令第8号) 第5条・第6条(現行条文)
建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令(平成28年経済産業省・国土交通省令第1号)第8条・第9条の2・第10条(現行条文)
国土交通省「建築物省エネ法 最新の法令」技術的助言(令和8年4月24日 国住参建第617号)別紙4「太陽光発電設備の設置が困難な住宅について」
国土交通省「住宅トップランナー制度」
※本記事で扱っているのは意見募集中の「政令案」です。公布・施行までに内容が変わる可能性があります。
※改正法において上位住宅トップランナーに課される義務の詳細は、政令案の概要に記載された範囲(中長期的な計画の作成・取組状況の報告・届出)で記述しています。改正法本体の逐条は確認していません。
※表2の現行基準は、e-Gov法令検索で取得した現行条文を当社が読み取って整理したものです。
※太陽光発電設備の設置が困難な住宅について、現行の省令条文と技術的助言 別紙4とで、ただし書きの記号(ロ・ハ)と根拠条文の対応が一致していません。本記事ではその旨を明記したうえで両方を記載しています。当社が確認した範囲での相違であり、いずれかが誤りであると断定するものではありません。
※本記事は2026年8月26日時点の公表資料に基づいています。実際のご判断にあたっては、国土交通省およびe-Govの最新の情報をご確認ください。